【連載】櫻井ジャーナル

【櫻井ジャーナル】2025.07.10XML: 帝国主義の幹部を育成してきた米国の有力大学のひとつ、エール大学の黒歴史

櫻井春彦

ロシアの検事局はアメリカのエール大学を「望ましくない組織」に指定したと報じられている。アイビー・リーグと呼ばれているアメリカの有力大学は支配システムの一部であり、さまざまな国からエリートを集め、アメリカの支配層が望む人間を作り上げてきた。帝国主義の幹部候補を育ててきたとも言える。アメリカの外から見れば、いずれの大学とも「望ましくない組織」であり、アメリカの大学に留学し、出世する人物は怪しい。エール大学は特に情報機関や金融機関との関係が強いと言われている。

 

ジャクソン国際問題大学院のモーリス・R・グリーンバーグ・ワールド・フェロー・プログラムが各国の反体制指導者を育成しているということのようだが、この大学にあるスカル・アンド・ボーンズなる学生の結社とCIAとの関係も知られている。

 

この結社はアヘン戦争と深い繋がりがある。経済的に行き詰まっていたイギリスは中国を食い物にするため、東インド会社を介し、インド産のアヘンを清(中国)へ売りつけようとする。そして始めたのがアヘン戦争(1840年から42年)と第2次アヘン戦争(1856年)だ。

 

アヘン取引で儲けていたのはイギリス人だけでなく、アメリカ人も含まれていた。そのひとりであるウィリアム・ハンチントン・ラッセルは1833年にスカル・アンド・ボーンズを創設したことでも知られている。ラッセル家はイギリスの東インド会社とも繋がっていた。(James Bradley, “The China Mirage,” Little, Brown and Company, 2015)

 

ラッセル家はアヘン取引の前、奴隷の売買で儲けていたのだが、麻薬の売買を始めてからは奴隷制度反対を言い始め、嘲笑の対象になっていたという。(George Canning, “The bones in Bush’s closet,” EIR, January 22-28, 1980)

 

プレスコット・ブッシュ、ジョージ・H・W・ブッシュ、ジョージ・W・ブッシュはいずれもスカル・アンド・ボーンズのメンバー。プレスコットの友人で富豪のW・アベレル・ハリマンもこの結社に所属、大学を卒業した後、ふたりとも銀行家になる。

 

ウォール街には弁護士として働いていたアレン・ダレスがいて、プレスコットは親しくなる。息子のジョージ・H・W・ブッシュはエール大学でボート部のコーチ、アレン・ウォルツと親しくしていたが、この人物はCIAのリクルート担当者だったと言われている。1976年から77年までCIA長官を務めているが、これは必然だった。

 

プレスコットは1924年に義理の父親が社長を務める投資銀行A・ハリマンの副社長に就任、同じ年に創設されたユニオン・バンキングの共同経営者になる。1931年にプレスコットはブラウン・ブラザース・ハリマンの共同経営者にもなった。ユニオン・バンキングはナチスへの資金パイプだ。

 

タイム誌が掲載したニキータ・フルシチョフの回想録を英訳したストローブ・タルボットもエール大学の出身。当時、オックスフォード大学に留学していた。回想録のロシア語版を手に入れたのはオックスフォード大学でルームメートだったビル・クリントンだと言われている。クリントンは1969年にモスクワを訪問していた。CIAの幹部だったコード・メイヤーは友人のジャック・ウィーラーに対し、CIAがクリントンをリクルートしたのは彼がオックスフォードで学び始めた最初の週だと語ったという。クリントンがモスクワを訪問した目的はフルシチョフの回想録を入手することあったのだろう。(Jeremy Kuzmorov, “There is Absolutely No Reason in the World to Believe That Bill Clinton Is a CIA Asset,” CovertAction Magazine, January 3, 2022)

 

クリントンは帰国後にエール大学のロースクールへ入り、そこでヒラリーと出会い、ふたりは1975年10月に結婚。その間、1972年にビル・クリントンはジョージ・マクガバンの選挙キャンペーンに参加、テキサス州における責任者に選ばれる。戦争に反対していたマクガバンの陣営をスパイすることが目的だったのかもしれない。その時から彼は権力の階段を登り始め、1993年、アメリカ大統領に就任。マデリーン・オルブライトやビクトリア・ヌランドと親しいヒラリーはビルを戦争へと導いたと言われている。クリントン政権でストローブ・タルボットは国務次官補を務めているが、その首席補佐官を務めたのがヌランドにほかならない。

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のテーマは「帝国主義の幹部を育成してきた米国の有力大学のひとつ、エール大学の黒歴史 」(2025.07.10ML)
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