【連載】今週の寺島メソッド翻訳NEWS

☆寺島メソッド翻訳NEWS(2025年7月10日):ポール・クレイグ・ロバーツ:ガザをリヴィエラにするというトランプ大統領の中東計画に賭けてみよう!

寺島隆吉

※元岐阜大学教授寺島隆吉先生による記号づけ英語教育法に則って開発された翻訳技術。大手メディアに載らない海外記事を翻訳し、紹介します。

昨日、YouTubeチャンネルの「ダイアログ・ワークス」でニマとイスラエルやイラン、トランプ、ネタニヤフの情勢について話し合った際、私は、トランプが国連総会での演説で世界に提示すべき、大胆かつ革新的な中東政策を提案し、演説原稿の執筆まで申し出た。https ://www.youtube.com/live/L-8j_NSxC14

私がそのような提案を熟考した基礎には、ギルバート・ドクトロウやミシェル・チョスドフスキーによるトランプの中東に対する姿勢に関する見解がある。さらには、トランプが「ガザは米国の領土である」との米国側の主張を述べたネタニヤフとの記者会見にもある。

ドクトロウは、トランプがイランの地下核施設3カ所を破壊したかどうかは重要ではない、と指摘した。そして重要なのは、トランプの主張が真実であろうと虚偽であろうと、ネタニヤフのイランとの戦争の口実を破壊したことにある、とのことだった。ネタニヤフはトランプ大統領に反論することで、米国側からの保護を危険にさらすつもりはないだろう、と。

チョスドフスキーの指摘は、トランプ大統領がガザに対する米国政府の領有権主張を表明した記者会見において、ガザをリゾート地にすることで大イスラエルに代わる米国の中東植民地の拠点とする構想を表明した、というものだった。

ネタニヤフ首相の前で、トランプは米国による中東統治という視点を披露した。この視点は、「植民地から資産を搾取して英国とフランスに送金する」という英仏流のやり方とは異なる、植民地主義的な統治形態を示すものだ。トランプの構想は、「植民地」が株主となり、宗主国と経済発展の利益を分配する、という友好関係を築く、というものだ。このような状況はイスラエルにとっても好ましいことだろう。ある売女マスコミがネタニヤフ首相に意見を求めた際、彼はそれを否定しなかった。

トランプによるガザとその再建に対する主張、そして過去の米国政権がイスラエルのために破壊した中東諸国の再建という彼の構想が、大きく報道されなかったことに私は驚いた。しかし、チョスドフスキーはそれを見抜き、私にもそれを理解させてくれた。

自分自身に問いかけてみてほしい。中東におけるイスラエルとイスラム教の問題に対して、この構想よりももっと良い解決策はあるだろうか?

イスラエルの面積はニュージャージー州よりも小さい。イランの面積はテキサス州の2.5倍だ。イスラエルの人口は1000万人未満だが、イランの人口は9000万人以上だ。イランは、米国からイスラエルへの供給量を上回る量の最新ミサイルを生産できる。最近の記者会見で、ネタニヤフ首相はイスラエルの狂気を露呈し、大イスラエル構想にパキスタンの領土まで加えていた。パキスタンは核兵器を保有し、人口は2億5000万人だ。

イスラエルがイランとの戦争に勝つ可能性はゼロであり、パキスタンに勝つ可能性も同様だ。

イスラエルはそれを承知しているが、「イスラエル圧力団体は、愚かな米国民の命と金銭に対して行使できる力を有しており、そのおかげで米国民がイスラエルのためにさらに多くの戦争に参加することができる」と確信している。イスラエルの援助を受けているキリスト教シオニスト(よく考えればおかしなことだが)は、これを全面的に支持している。驚くべきことに、イスラエルはキリスト教福音派を堕落させ、彼らの説教師に金銭を支払って米国民をイスラエルのために戦争に送り込んでいる。

米国に対するイスラエルの統制力を弱めているのは、イスラエルの裁判所によるネタニヤフの汚職などに関する2件の犯罪起訴と、イスラエルの無責任なイラン攻撃によってもたらされた破壊によってネタニヤフ首相の立場が弱まり、イスラエルが和平を訴えざるを得なくなる前に戦争を止めるようネタニヤフ首相がトランプ大統領に嘆願したことによるものかもしれない。

これにより、トランプが優位に立つことになる。イスラエルは今や、米国側の保護なしには存在できないことを理解している。したがって、トランプはネタニヤフに「大イスラエル構想」という非現実的なシオニストの目標を放棄させ、「米国による中東再開発の下で植民地を築く」というトランプの視座に従わせることができる。

もしトランプがこの計画を国連に持ち込めば、イスラエルと米国のネオコン・シオニストたちは沈黙し、核戦争に発展する恐れのある戦争から我々を救うことができるだろう。

トランプが中東で平和と協力関係を確立できれば、西側諸国やロシアとも同様の関係を築くことができるだろう。ロシアは第一次世界大戦と第二次世界大戦の両方で英国とフランスの同盟国だった。かつての同盟国と和解することは難しくない。西側諸国とロシアの間の紛争には、政治思想的な理由も領土的な理由もない。

21世紀の最初の四半世紀における米国による資源と威信の無駄遣いを考えてみて欲しい。イラクやリビア、シリア、ソマリアの破壊に何兆ドルも費やしたが、何の利益も得られなかった。これらの戦争から利益を得たのは、軍事・安全保障上の戦争利益だけだった。テロの脅威など存在しなかった。米国政府は誰にも民主主義をもたらさず、破壊だけをもたらしてきた。

米国政府がイスラエルの「大イスラエル」という馬鹿げた構想のために、諸国にもたらした破壊について考えてみて欲しい。何百万人もの人々が命を落とし、重傷を負い、故郷を追われた。その多くはヨーロッパや米国に居住し、納税者に生活費を負担させている。誰が得をしたというのか?

トランプに機会を与えてみよう。米国が中東において友好関係を築くという構想は、大イスラエル構想によりもたらされる紛争よりもはるかに優れた考え方だ。もしイスラエルが従わないのであれば、トランプは彼らを踏みにじればいい。イスラエルは世界において取るに足らない存在だ。イスラエルは建国以来、紛争や死、そして破壊の源泉であり続けてきた。なぜこのような民族が容認されてきたのか、私には理解できない。

スンニ派とシーア派、そしてイスラム教徒とユダヤ教徒を一つにまとめることはできるのだろうか? 素晴らしい話に思える。しかし、もしかしたら彼らは、終わりのない流血の継続よりも、それの方が望ましいと考えるかもしれない。

もしネタニヤフに分別があるなら、トランプにイスラエル国民を救わせるのが最善の手だ。

※なお、本稿は、寺島メソッド翻訳NEWS http://tmmethod.blog.fc2.com/

の中の「ポール・クレイグ・ロバーツ:ガザをリヴィエラにするというトランプ大統領の中東計画に賭けてみよう!(2025年7月10日)

http://tmmethod.blog.fc2.com/

からの転載であることをお断りします。

また英文原稿はこちらです⇒President Trump’s Plan for the Middle East
筆者:ポール・クレイグ・ロバーツ(Paul Craig Roberts)
出典:自身ブログ 2025年7月1日https://www.paulcraigroberts.org/2025/07/01/president-trumps-plan-for-the-middle-east/

寺島隆吉 寺島隆吉

国際教育総合文化研究所所長、元岐阜大学教授

ご支援ください。

ISFは市民による独立メディアです。広告に頼らずにすべて市民からの寄付金によって運営されています。皆さまからのご支援をよろしくお願いします!

Most Popular

Recommend

Recommend Movie

columnist

執筆者

一覧へ