【連載】櫻井ジャーナル

【櫻井ジャーナル】2025.07.11XML: 自国軍の兵器が枯渇しつつある欧米諸国が兵器をウクライナへ供与する茶番

櫻井春彦

アメリカのピート・ヘグゼス国防長官はウクライナへのミサイルと弾薬の輸送を一時停止するよう命じたとアメリカの有力メディアは7月2日に伝えた。国防総省の政策責任者エルブリッジ・コルビーが主導した見直しでアメリカ軍の備蓄兵器が枯渇していることを確認しての命令だったのだが、この命令をドナルド・トランプ大統領は取り消し、ウクライナへ155mm砲弾と精密誘導式GMLRSロケットを含む武器の輸送を再開したと10日には報じられている。

 

アメリカだけでなく、NATO加盟国はいずれも備蓄兵器が枯渇、機器的な状態になっているのだが、それでもウクライナやイスラエルへ兵器を供給するというパフォーマンスをするという主張が通ったのだろう。

 

ロシアとの戦争は「簡単に勝てる」という前提で2014年2月に戦争を始めたネオコンやその追随者はロシアに負けているという印象が広まることを恐れている。これまでメディアを使ったプロパガンダで誤魔化してきたものの、現実とのギャップが大きくなり、収拾がつかなくなってきた。

 

その現実を知らせるため、ロシア軍は7月9日から短距離弾道ミサイルのイスカンデルのほか、長距離精密誘導兵器や攻撃型ドローンをキエフの軍事施設や産業施設などに向けて発射した。その様子はスマートフォンなどで撮影され、世界に向かい、発信されている。キエフは燃えている。

 

この攻撃でロシア軍はキエフにあるアルチョム航空宇宙工場やクズニャ・ナ・ルィバルスコム造船所(旧レーニン・フォージ)などの製造施設、電子戦基地、アメリカ製AN/TPQ-50対空レーダー基地、そしてバシルキフ軍用飛行場などを高精度長距離兵器と無人機で攻撃し、ロシア国防省は目的を達成したとしている。

 

ウクライナでの戦争は軍事的にロシア軍が圧倒している。アメリカ/NATOは敗れ、アメリカ、イギリス、ウクライナの情報機関は破壊工作(テロ攻撃)でロシアを攻撃するしかなくなっている。こうした攻撃には軍事衛星からの情報、誘導が必要で、アメリカやイギリスの情報機関が関与しなければ不可能だ。アメリカ中央軍のマイケル・E・クリラ司令官が関係している可能性もある。

 

ウクライナの治安機関SBUは6月1日、約120機のドローンでロシアのオレニャ(ムルマンスク)、ベラヤ(イルクーツク)、イバノボ(イバノボ)、ディアギレフ(リャザン)、ウクラインカ(アムール)の戦略核基地を攻撃した。「スパイダーズ・ウェブ作戦」だ。大半のドローンはロシア領内から発射したようだが、一部はアゼルバイジャンから飛び立った可能性がある。

 

アゼルバイジャンはロシアでのテロ攻撃だけでなく、イスラエルがイランを攻撃する際の拠点。​イランのIRIBテレビはアゼルバイジャンとの国境近くにあるイランの村の住民を取材、複数の住民がアゼルバイジャンからイランに向かって飛行するイスラエルのドローンを見たと語っている​。中にはイスラエル軍の戦闘機も見たとしている。

 

テロ攻撃にはエージェントを匿ったり工作に協力するネットワークが必要だが、そのネットワークにアゼルバイジャン系犯罪組織が組み込まれている疑いがある。ロシアの治安当局はアゼルバイジャン系犯罪組織の取り締まりを強化し、モスクワを拠点にしていた犯罪組織のボスからロシア国籍を剥奪、国外へ追放した。

 

アゼルバイジャンはイスラム世界において、イスラエル製兵器の最大の顧客であり、イスラエルが輸入している石油の40%を供給している。アゼルバイジャンのシャー・デニス・ガス田を管理しているのはイギリスを拠点とする巨大石油会社BPであり、輸送ルートにはトルコも含まれている。

 

アゼルバイジャン政府は戦略核基地への攻撃でロシアのウラジミル・プーチン政権を揺るがせ、イランへの奇襲攻撃で少なからぬ軍の幹部や核科学者を殺害し、屈服させられると計算したのかもしれないが、そうした展開にはならなかった。おそらく、報復に怯えているだろう。

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のテーマは「自国軍の兵器が枯渇しつつある欧米諸国が兵器をウクライナへ供与する茶番 」(2025.07.11ML)
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