
植草一秀【連載】知られざる真実/2025年7月11日 (金) 見た目は野党、中身は与党
社会・経済参議院議員通常選挙の投票日は7月20日。
政治は主権者である国民が国会に代表者を送って行われる。
主権者が自分の意思に沿う政治の実現を求めるなら、選挙に行って最適と思える候補者や政党に投票する必要がある。
選挙に行かず、参政権を放棄して、自分の意に沿う政治が行われないと嘆いても自業自得ということになる。
『25%の人が政治を私物化する国』(詩想社新書)
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に詳述したが、現在の日本では全有権者の25%の人々によって政治が私物化されてしまっている。
政治の作用の最大のものは財政である。
国は1年間に約70兆円の政策支出を行っている。
地方への財源付与である交付税を含めれば約90兆円のお金を配分している。
巨大な権能=権限=権力である。
このおこぼれに預かろうと多数の人々が群がる。
その勢力が主権者全体の25%。
25%の人が政治を私物化する構造は次のもの。
選挙に行く国民が半分しかいない。
半分のうちの半分が、これまで自公に投票してきた。
反自公の投票者が残り半分だが、この人々がいくつもの小勢力に分裂してしまっている。
衆議院選挙の中核は小選挙区。
当選者が1人しか出ない。
すると分裂した小勢力の政治勢力は議席を獲得できない。
投票者の半分がひとつにまとまると小選挙区で勝利できるから国会を支配してしまう。
こうして、自公支配の国会構造が形成されてきた。
最大の狙いは予算配分だ。
90兆円の予算のなかに多くの利権支出が含まれている。
このカネを獲得するために政治に参画している。
近年の財政運営の特徴は超巨大補正予算が編成されること。
本予算についてはかなり厳しい予算査定が行われるが補正予算になると一変する。
各省庁が利権予算を山積みにして取り放題になる。
20年度から23年度の4年間に154兆円の財政支出追加が補正予算に計上された。
そのほとんどが利権予算。
この予算資金を獲得するために政権与党にすり寄る者が大量に存在する。
メディアで政府応援団の発言を示す者の多くは、財政資金配分から恩恵を受けている。
しかし、絶対的権力は絶対的に腐敗する。
自公もご多分に漏れない。
自公の金権腐敗体質が改めて浮き彫りになっている。
「政治とカネ」問題を解決する最重要の方策は企業団体献金全面禁止。
25年の通常国会で法律を制定することができた。
ところが、自公と国民民主がこれを潰した。
これら勢力は企業献金によって巨大なカネを獲得することを目指していると考えられる。
自公の腐敗が進み、主権者の自公離れが顕著になっている。
「運がいいことに能登で地震が起きた」と平然と語る自民党議員が存在する。
問題を指摘されても半笑いで責任を取ることを否定する。
「自滅の刃(やいば)無限ループ編」
自公凋落で日本政治刷新のチャンスが訪れている。
ところが、反自公勢力が結集して政治刷新を実現しないように力が注がれている。
「ゆ党」の育成。
「ゆ党」とは「見た目は野党、中身は与党」の政治勢力。
自公が衰退しても「ゆ党」を伸長させれば腐敗政治を維持できる。
参院選では維新、国民、参政、保守、NHK、立民の「ゆ党」勢力に投票しないことが重要になる。
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植草一秀の『知られざる真実』2025年7月11日 (金)「見た目は野党、中身は与党」
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植草一秀(うえくさ かずひで) 1960年、東京都生まれ。東京大学経済学部卒。大蔵事務官、京都大学助教授、米スタンフォード大学フーバー研究所客員フェロー、早稲田大学大学院教授などを経て、現在、スリーネーションズリサーチ株式会社代表取締役、ガーベラの風(オールジャパン平和と共生)運営委員。事実無根の冤罪事案による人物破壊工作にひるむことなく言論活動を継続。 経済金融情勢分析情報誌刊行業務の傍ら「誰もが笑顔で生きてゆける社会」を実現する『ガーベラ革命』を提唱。人気政治ブログ&メルマガ「植草一秀の『知られざる真実』」を発行。1998年日本経済新聞社アナリストランキング・エコノミスト部門1位。『現代日本経済政策論』(岩波書店、石橋湛山賞受賞)、『日本の独立』(飛鳥新社)、『アベノリスク』(講談社)、『国家はいつも嘘をつく』(祥伝社新書)、『25%の人が政治を私物化する国』(詩想社新書)、『低金利時代、低迷経済を打破する最強資金運用術』(コスミック出版)、『出る杭の世直し白書』(共著、ビジネス社)、『日本経済の黒い霧』(ビジネス社)、『千載一遇の金融大波乱』(ビジネス社、2023年1月刊)など著書多数。 スリーネーションズリサーチ株式会社 http://www.uekusa-tri.co.jp/index.html メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」 http://foomii.com/00050