
7月12日のウクライナ情報
国際7月12日のウクライナ情報
安斎育郎
❶ゼレンスキー大統領「毎晩何百ものドローン攻撃に直面」ウクライナ復興会議で更なる支援を呼びかけ ロシアの攻撃激化(TBS NEWS DIG, 2025年7月11日)
ロシアによるウクライナへの攻撃が激化する中、ゼレンスキー大統領はイタリアで開催されているウクライナ復興会議で更なる支援を呼びかけました。
ウクライナ復興会議はおよそ100か国の政府代表団と2500以上の民間企業が参加し、10日からローマで開かれています。
ゼレンスキー大統領はロシアによる攻撃が激しさを増していると強調し、更なる支援を呼びかけました。
ウクライナ ゼレンスキー大統領
「ウクライナ国民は、毎晩何百ものドローン攻撃に直面している。ロシアが攻撃を強めている時に、ドローン生産が資金不足に陥ることがあってはならない」
会議ではEUが日本円にしておよそ3900億円の支援を表明するなど、総額で1兆7000億円あまりの追加支援が見込まれているということです。
https://news.yahoo.co.jp/articles/7df85f945fd7f52e65a1ac4d1cc568b7df77c825
❷ 欧州がウクライナ復興基金 英、防空兵器5千発供与へ(KYODO, 2025年7月11日)
【ローマ共同】欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長は10日、ローマでのウクライナ復興会議で演説し、ドイツ、フランス、イタリア、ポーランドと共同でウクライナ向けの復興基金を設立すると発表した。英国は会議に合わせ、防空ミサイル5千発のウクライナへの供与に関する協定締結を発表した。
EU主導の基金設立は、ウクライナのエネルギーや交通、鉱物資源分野への外国投資を呼び込むのが狙い。米国は既に、ウクライナへの投資基金の設立を発表している。
フォンデアライエン氏は「公的資金を活用し、ウクライナの未来に投資する。国の再建に貢献する」と訴えた。
英国が供与するミサイルは主に無人機の迎撃に使用され、最大射程は数キロ。英国のレイナー副首相は演説で「ウクライナの防衛を強化する。英国の防衛産業にとっても前進となる」と強調した。
レイナー氏は、2025~26年度にウクライナの人道支援やエネルギー、復興事業などへの約2億8千万ポンド(約560億円)規模の支援を実施することも発表した。
https://news.yahoo.co.jp/articles/3c26983fbd7176db522024bc9c1a66b083c37e7f/images/000
❸ 英仏首脳、核抑止で連携合意 ウクライナ支援も強化へ(ロイター、2025年7月11日)
[ロンドン 10日 ロイター] – 英国のスターマー首相は10日、国賓として訪問しているフランスのマクロン大統領と会談し、核兵器の抑止力での連携のほか、ウクライナ支援などについて合意した。
両首脳は防衛協力の強化で合意し、両国の核抑止力を連携する協定に署名。現在ウクライナで使用されている英国製の長距離巡航ミサイル「ストームシャドー」の追加調達も確約した。
両首脳はまた、ロシアの侵攻を受けているウクライナを支援する国で構成する「有志連合」の電話会議に共に参加。同電話会議にはトランプ米政権のケロッグ特使(ウクライナ・ロシア担当)も参加した。
スターマー首相は、平和協定確保を目指してロシアのプーチン大統領を交渉のテーブルに着かせるときが来たとし、和平交渉が実現するまでウクライナが可能な限り強い立場に立てるようにすることに焦点を当てる必要があるとの考えを示した。
英仏首脳はまた、ウクライナを支援する「有志連合」の拠点を当初パリに設置し、1年後にロンドンに移すことでも合意した。
https://news.yahoo.co.jp/articles/9588c7459879ffbfa0bb64f5d3849f3fc7b40205/images/000
❹英仏、核抑止で連携強化 ロシア脅威や米政権発足受け(KYODO,2025年7月10日)
【ロンドン共同】英国を国賓訪問中のフランスのマクロン大統領とスターマー英首相は10日、ロンドンの英首相公邸で会談した。両国の主要閣僚も出席。ロシアのウクライナ侵攻と欧州軽視のトランプ米政権発足で軍事的な脅威が高まる中、スターマー氏は会談後の共同記者会見で、核兵器の抑止力に関し、英仏が連携を強化することで合意したと明らかにした。
合意文書は、英仏それぞれの核抑止力は独立しているが、連携は可能で、欧州に対する「極度の脅威」には両国が共同で対応するとしている。スターマー氏は会見で「欧州、世界にとって歴史的な合意だ」と強調した。
英仏が共同開発した巡航ミサイル「ストームシャドー」を追加発注し、次世代型の開発に取り組むことでも合意した。英国はストームシャドーをウクライナに積極供与してきた。
会談後の共同宣言ではウクライナへの持続的な支援を約束。パレスチナ自治区ガザの人道危機に対処し、即時停戦とイスラム組織ハマスが拘束する全ての人質の解放に取り組むと強調した。
https://news.yahoo.co.jp/articles/b945d14fa983fdb04e58301856cc7827765ffd25/images/000
❺ 米露外相会談 「率直な意見交換」 ウクライナやイラン情勢協議(毎日新聞、2025年7月10日)
ルビオ米国務長官とロシアのラブロフ外相が10日、マレーシアの首都クアラルンプールで開かれている東南アジア諸国連合(ASEAN)関連の会議に合わせて会談した。ウクライナ情勢について協議し、露外務省は会談後、「紛争の平和的解決に向けた相互の意思を確認した」と発表した。
露外務省によると、協議ではイランやシリア情勢、米露間の経済協力などについても話し合った。有益で率直な意見交換が行われたと強調し「外交政策部門の間での建設的な対話は継続される」としている。
一方、ロイター通信によると、ルビオ氏も会談後、率直で重要な協議だったと述べた。ロシア側が柔軟な態度を示さないことにトランプ米大統領が失望していると訴えたといい「紛争をどう終わらせるかに向けた展望を示す必要がある」と語った。
ラブロフ氏とルビオ氏の直接会談は、サウジアラビアの首都リヤドで2月に米露代表団の協議が開かれて以来、2回目。両外相は電話協議でもウクライナ情勢や米露関係の正常化について協議を続けてきた。
米露首脳は3日に電話協議したが、トランプ氏は「全く進展がなかった」と語り「数多くのでたらめを聞かされている」などとプーチン露大統領に対するいらだちをあらわにしている。早期停戦を求めるトランプ氏に対し、プーチン氏は紛争に至った「根本原因の排除」を目指すと述べ、従来の主張を繰り返した。
またAP通信によると、米国は一時的に停止していたウクライナに対する一部の兵器供給を再開した。トランプ氏は防空システム「パトリオット」の追加供与も検討しており、ロシアに対する圧力を強めている。【モスクワ山衛守剛】
https://news.yahoo.co.jp/articles/a72ba7e301c6ed6f65395a554e05883ce4ee274f/images/000
〈関連情報〉米、ロシアに停戦へ妥協促す 外相会談、対面2回目(2025年7月10日)
【クアラルンプール共同】ルビオ米国務長官とロシアのラブロフ外相は10日、マレーシアの首都クアラルンプールで会談し、ウクライナ和平について協議した。米ロ外相の対面会談は第2次トランプ政権発足以降、2回目。AP通信などによると、ルビオ氏は会談後、記者団に「トランプ大統領は戦争終結に向けてロシア側に柔軟性がないことに失望している。変化を期待している」と強調し、ロシアに妥協を促した。
一方でルビオ氏は約1時間の会談について、率直で重要な会話をしたとも述べた。トランプ氏は8日、対ロ追加制裁の検討を表明していた。
トランプ氏は、一時停止していたウクライナへの兵器供給の再開も承認。米議会では超党派の議員が対ロ制裁法案を提出しており、圧力強化を求める声が強まっている。
プーチン氏は3日のトランプ氏との電話会談で、早期の戦闘終結を求められたが応じなかった。ロシア軍はウクライナ首都キーウなどへの大規模空爆を継続しており、今回の外相会談が停戦に向けた動きにつながるかどうかは見通せない。
https://news.yahoo.co.jp/articles/dbc40e6d66f18550f39f6350d9648c5536bf4920/images/000
❻ キエフへの10時間におよぶ電撃攻撃:ロシアがウクライナ全土から攻撃、プーチン大統領が戦術的再始動を実行(APT、2025年7月10日)
ウクライナはかつてないほどの攻撃にさらされている。ロシアは10時間に及ぶ凄惨な夜間電撃攻撃を仕掛け、ウクライナを四方八方から攻撃した。400機のドローンと18発のミサイル(弾道ミサイル8発を含む)が発射され、キエフと主要軍事地域の奥深くまで攻撃を仕掛けた。これは戦争の残忍な新たな局面を告げるものであり、ウラジーミル・プーチン大統領は劇的な戦術転換を断行し、ウクライナの防空網を圧倒し、最前線旅団を壊滅させた。プーチン率いる軍は728機以上のドローンを連続攻撃に投入し、スムイ、ハリコフ、ドネツク、ムィコライウで壊滅的な被害をもたらし、ウクライナに甚大な被害を与え、NATOが供給した兵器を破壊した。ゼレンスキー大統領は救援を求めているが、ロシアの軍事力は今や全力で稼働しており、その攻撃は精密で容赦なく、そして致命的である。
https://youtu.be/25ssKcH6FIo
https://www.youtube.com/watch?v=25ssKcH6FIo
❼トランプ政権のリーダーシップの混乱:私たちを脆弱にする /ダニエル・デイビス中佐(2025年7月10日)
国防総省は、ウクライナへの米軍事支援に関する能力レビューを実施することで、トランプ大統領の「アメリカ・ファースト」政策を支持するというコミットメントを改めて表明した。このレビューは、支援が米軍の即応態勢と防衛上の優先事項と整合していることを確認することを目的としている。当局者は支援に関する具体的な詳細は明らかにしなかったものの、米国は世界中であらゆる軍事作戦を実施する能力を維持していると強調した。
しかし、米国のミサイル備蓄の実態については、相反する報道が出ている。NBCニュースはすべて順調であると主張したのに対し、ガーディアン紙は、米国は必要なパトリオット迎撃ミサイルの25%しか保有しておらず、そのため輸送が一時的に停止されていると報じている。この矛盾は、どちらが真実を語っているのか、あるいはどちらかが実際に真実を知っているのかという疑問を投げかけている。
米国は、特に最近のイランとの「12日間戦争」において、ウクライナとイスラエル両国を支援するためのミサイル備蓄を大幅に枯渇させてきた。年間約600基の迎撃ミサイルの生産能力しかないことから、専門家は米国が現在の要求を満たすことは不可能であり、ウクライナへの追加支援がロシアに対する戦況を逆転させる可能性は低いと指摘している。
ロシアによるウクライナへの空爆が激化すると、トランプ大統領は短期間の中断を経て方針を転換し、支援を再開した。しかし、批評家たちは、これは象徴的な措置に過ぎず、米国の備蓄をさらに圧迫するだけで、軍事的に意味のある効果はないと指摘している。トランプ大統領は、西側諸国の指導者やメディアがウクライナ国民に誤った希望を与えていると非難し、この戦争はロシアがゆっくりと、しかし確実に勝利を収めつつある一方的な戦いだと主張している。
要するに、国内の混乱と物資の枯渇が進む中、米国の支援は継続されており、ウクライナ国民は希望を持ち続けているものの、アナリストたちは、たとえ新たな支援があっても戦争の結果を変えることはできず、苦しみを長引かせるだけだと主張している。
https://youtu.be/kN-bLe94ttg
https://www.youtube.com/watch?v=kN-bLe94ttg
e.com/watch?v=5KLQ22r_kXc2025年7月12日ウクライナ情報pdfはこちら
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1940年、東京生まれ。1944~49年、福島県で疎開生活。東大工学部原子力工学科第1期生。工学博士。東京大学医学部助手、東京医科大学客員助教授を経て、1986年、立命館大学経済学部教授、88年国際関係学部教授。1995年、同大学国際平和ミュージアム館長。2008年より、立命館大学国際平和ミュージアム・終身名誉館長。現在、立命館大学名誉教授。専門は放射線防護学、平和学。2011年、定年とともに、「安斎科学・平和事務所」(Anzai Science & Peace Office, ASAP)を立ち上げ、以来、2022年4月までに福島原発事故について99回の調査・相談・学習活動。International Network of Museums for Peace(平和のための博物館国相ネットワーク)のジェネラル・コ^ディ ネータを務めた後、現在は、名誉ジェネラル・コーディネータ。日本の「平和のための博物館市民ネットワーク」代表。日本平和学会・理事。ノーモアヒロシマ・ナガサキ記憶遺産を継承する会・副代表。2021年3月11日、福島県双葉郡浪江町の古刹・宝鏡寺境内に第30世住職・早川篤雄氏と連名で「原発悔恨・伝言の碑」を建立するとともに、隣接して、平和博物館「ヒロシマ・ナガサキ・ビキニ・フクシマ伝言館」を開設。マジックを趣味とし、東大時代は奇術愛好会第3代会長。「国境なき手品師団」(Magicians without Borders)名誉会員。Japan Skeptics(超自然現象を科学的・批判的に究明する会)会長を務め、現在名誉会員。NHK『だます心だまされる心」(全8回)、『日曜美術館』(だまし絵)、日本テレビ『世界一受けたい授業』などに出演。2003年、ベトナム政府より「文化情報事業功労者記章」受章。2011年、「第22回久保医療文化賞」、韓国ノグンリ国際平和財団「第4回人権賞」、2013年、日本平和学会「第4回平和賞」、2021年、ウィーン・ユネスコ・クラブ「地球市民賞」などを受賞。著書は『人はなぜ騙されるのか』(朝日新聞)、『だます心だまされる心』(岩波書店)、『からだのなかの放射能』(合同出版)、『語りつごうヒロシマ・ナガサキ』(新日本出版、全5巻)など100数十点あるが、最近著に『核なき時代を生きる君たちへ━核不拡散条約50年と核兵器禁止条約』(2021年3月1日)、『私の反原発人生と「福島プロジェクト」の足跡』(2021年3月11日)、『戦争と科学者─知的探求心と非人道性の葛藤』(2022年4月1日、いずれも、かもがわ出版)など。