
植草一秀【連載】知られざる真実/2025年7月17日 (木) 全国民に毎年1億円支給
社会・経済参院選の最大争点は財政政策。
減税政策、給付金などに関する公約が提示されている。
この問題について詳論したのが
『財務省と日銀 日本を衰退させたカルトの正体』
ぜひご高覧賜りたい。
日本財政が危機に直面していると喧伝される。
しかし、その理由として挙げられているのは政府債務のGDP比が高いということ。
借金の大きさが財務の健全性の尺度とされている。
しかし、これは完全な間違い。
財務状況は資産と負債のバランスで考えるもの。
負債から資産を差し引いた「純債務」のGDP比を見るなら理解できる。
しかし、借金の規模のGDP比だけを見ても意味がない。
その意味がないことを喧伝しているのが日本経済新聞。
7月11日付記事
「税収上振れなら給付問題ない?
膨らむ国債利払い、将来にツケ
参院選2025・選択の夏」
https://x.gd/OXqoz
に二つのグラフを掲載した。
「歳出と税収の比較」と「政府債務GDP比国際比較」だ。
財務省の指令に従って記事を掲載していると見られる。
だから「日本重罪新聞」と揶揄される。
内閣府が日本政府のバランスシートを公表している。
2023年末の計数を見ると
政府負債残高は1442兆円でGDPの2倍を超えている。
しかし、政府資産残高が1701兆円あり、差し引き259兆円の資産超過。
259兆円の資産超過の経済主体が破たんすることは理論上あり得ない。
借金の金額だけを取り出して財政危機を叫ぶのは詐欺である。
日本政府は財政政策を発動する資力を有している。
しかし、私は放漫財政に反対だ。
政府は国債を発行できるのだから、どんどん政府支出を増やせばよいとの主張がある。
「金に糸目をつけず、ばんばん大盤振る舞いすればよい」
というのは間違いだ。
これが認められるなら、すべての政党が究極のバラマキに走るだろう。
今回の参院選で、子どものいる家庭には子ども一人につき、毎月10万円の現金給付を行うとの施策を提示する政党がある。
これが実現されるなら国民は大喜び。
これが通るなら、もっと大胆な公約を提示すればよい。
たとえば、
「すべての労働者に毎月50万円のボーナスを支給」
「高齢者には毎月100万円の現金を給付」
「子育て世帯には子ども一人につき、毎月100万円を支給」
「すべての国民に毎月100万円の給付金」
などなど。
なんでもできる。
財源はすべて国債発行で賄う。
もっと激しい政策を打つなら、
「すべての国民に毎年一人1億円の現金を給付する」
ことを公約に掲げればよい。
すべてを国債発行で賄えばよい。
国債は全額を日銀に購入してもらう。
日銀の直接引き受けは財政法が禁じているから、市中銀行に引き受けさせて、その直後に日銀が市中銀行から国債を買い取ればよい。
しかし、経済に魔法は存在しない。
このような放漫財政政策は確実にハイパーインフレによって消し去られることになる。
したがって、地に足を付けた堅実な政策対応を模索しなければならない。
「財務省解体と消費税ゼロを問う」シンポジウムが7月27日(日)に東京湯島の家電会館で開催される。
https://isfweb.org/post-58186/
日本財政の闇に光を当てて、取られるべき施策を検証する必要がある。
シンポへのお早目の参加申し込みをお願いしたい。
————————————————————————————————-
★経営指導の神様と言われた故・舩井幸雄氏の次男で(株)舩井本社社長の舩井勝仁氏と対談しました。
対談テーマは
【参院選とその後、
政治経済学者の植草一秀先生は、こう見る
(プロローグ)】
対談動画は7月18日(金)までの限定視聴(無料)です。
ぜひ7月20日投開票の参院選前にご高覧ください。
https://payment.51dc.jp/p/r/IXSTUfdf
————————————————————————————————-
『ザイム真理教』(森永卓郎著)の神髄を深堀り、参院選最大争点財務省・消費税問題を徹底解説する新著が公刊されました。
『財務省と日銀 日本を衰退させたカルトの正体』
(ビジネス社)
ご高読、アマゾンレビューぜひお願いします。
メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」
のご購読もよろしくお願いいたします。
続きは本日の
メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」
第4133号
「バラマキ財政でなくメリハリ財政」
でご購読下さい。
メールマガジンの購読お申し込みは、こちらからお願いします。(購読決済にはクレジットカードもしくは銀行振込をご利用いただけます。)なお、購読お申し込みや課金に関するお問い合わせは、support@foomii.co.jpまでお願い申し上げます。
※なお、この記事は下記からの転載であることをお断りします。
植草一秀の『知られざる真実』2025年7月17日 (木)「全国民に毎年1億円支給」
http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2025/07/post-d9f696.html
– – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – –
スリーネーションズリサーチ株式会社
http://www.uekusa-tri.co.jp/index.html
メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」
http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2025/03/post-317af8.html
– – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – –
※ISF会員登録およびご支援のお願いのチラシ作成しました。ダウンロードはこちらまで。
ISF会員登録のご案内

植草一秀(うえくさ かずひで) 1960年、東京都生まれ。東京大学経済学部卒。大蔵事務官、京都大学助教授、米スタンフォード大学フーバー研究所客員フェロー、早稲田大学大学院教授などを経て、現在、スリーネーションズリサーチ株式会社代表取締役、ガーベラの風(オールジャパン平和と共生)運営委員。事実無根の冤罪事案による人物破壊工作にひるむことなく言論活動を継続。 経済金融情勢分析情報誌刊行業務の傍ら「誰もが笑顔で生きてゆける社会」を実現する『ガーベラ革命』を提唱。人気政治ブログ&メルマガ「植草一秀の『知られざる真実』」を発行。1998年日本経済新聞社アナリストランキング・エコノミスト部門1位。『現代日本経済政策論』(岩波書店、石橋湛山賞受賞)、『日本の独立』(飛鳥新社)、『アベノリスク』(講談社)、『国家はいつも嘘をつく』(祥伝社新書)、『25%の人が政治を私物化する国』(詩想社新書)、『低金利時代、低迷経済を打破する最強資金運用術』(コスミック出版)、『出る杭の世直し白書』(共著、ビジネス社)、『日本経済の黒い霧』(ビジネス社)、『千載一遇の金融大波乱』(ビジネス社、2023年1月刊)など著書多数。 スリーネーションズリサーチ株式会社 http://www.uekusa-tri.co.jp/index.html メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」 http://foomii.com/00050