【連載】植草一秀の「知られざる真実」

植草一秀【連載】知られざる真実/2025年7月21日 (月) 自滅の刃で自民が自滅

植草一秀

『自滅の刃(やいば)-無限ループ編-』が公開され初週末興行収入記録を塗り替えた。

自民党が自滅ループで突き抜けた参院選だった。

裏金金権腐敗事件

選挙買収2万円給付

そして極めつけは

「運がいいことに能登で地震があった」発言。

税収が激増しているため、自然増収分を国民に還元しなければ財政活動が景気に急ブレーキになる。

ところが、減税を全否定。

これでは人心は離れるばかり。

石破氏は、首相になる前は自民党において党内野党の役割を果たしたから国民の受けが悪くなかった。

ところが、自民党総裁=首相になってからは保身まっしぐら。

今回参院選で争う125議席のうち自公で50議席獲得を勝敗ラインに定めた。

低すぎる勝敗ライン。

自公の非改選議席は75。

参院過半数は125だから、非改選75に対して新たに自公が50議席を獲得すれば参院過半数を維持できる。

しかし、仮に獲得議席が50の場合、3年後の参院選では自公で75議席獲得しなければ参院過半数を維持できない。

目標としてあり得ない低いハードルを設定した。

このハードルをクリアできなければ責任問題に発展するのは自明。

ところが、自公過半数割れの見通しが濃厚になるなかで石破首相は首相続投の意向を表明。

政治家の出処進退は自分自身で決めるもの。

勝敗ラインを低すぎる自公で50と定めたのであるから、これを割り込めば引責辞任は免れない。

続投を表明しても異論が噴出し、首相辞任に追い込まれることは明白だ。

引き際の美学を示せないことはあまりにも(鬼舞辻)無惨。

自公は衆参両院で過半数割れとなり、政権基盤は極めて弱くなる。

野党が連携すれば内閣不信任案を可決することが可能。

また、参院では国務大臣に対する問責決議案を可決できる。

連立政権を組み換えなければ政権を安定的に運営できない。

今後の政権のかたちについては次の四つのケースを想定できる。

1.自公少数与党

2.自公プラスゆ党

3.ゆ党連立政権

4.自公立大連立

3のゆ党連立内閣には共産、れいわ、社民の野党は加わらない。

だが、立民、国民、維新、参政、保守、NHKの連立内閣は想定し難い。

船頭多くして船山に登ることになる。

自公の少数与党が継続され、個別事案ごとに野党がパーシャル連合を形成する可能性はある。

しかし、少数与党ではいつでも政権運営は行き詰まるから、長期間にわたり少数与党が継続される可能性は低い。

消去法で残るのは、2の「自公プラスゆ党」の連立か、4の「自公立大連立」。

ゆ党には、国民、参政、維新、保守、NHKなどがある。

どの勢力も本音は与党入りして利権獲得を目指したい。

しかし、次の総選挙への悪影響を懸念する。

立民も本音は大連立で与党入りしたい。

しかし、これも次の総選挙への悪影響を懸念する。

結局、国民、維新、参政のいずれかまたは複数党が連立政権に加わる選択を示すことになるのではないか。

ただし、参政は衆院勢力が小さいため、連立に加わっても衆院過半数を形成できないから、参政単独での連立入りは想定しにくい。

自公は維新か国民との連立を指向する可能性が高い。

他方、財務省は自公と立民による大連立を成立させて消費税増税に誘導する考えを有していると見られる。

参院選後、日本政治は流動化局面を迎える。

今回参院選は応仁の乱。

今回参院選を契機に政局流動化=政局戦国時代を迎えることになる。

政治の不安定化は避けられない。

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植草一秀 植草一秀

植草一秀(うえくさ かずひで) 1960年、東京都生まれ。東京大学経済学部卒。大蔵事務官、京都大学助教授、米スタンフォード大学フーバー研究所客員フェロー、早稲田大学大学院教授などを経て、現在、スリーネーションズリサーチ株式会社代表取締役、ガーベラの風(オールジャパン平和と共生)運営委員。事実無根の冤罪事案による人物破壊工作にひるむことなく言論活動を継続。 経済金融情勢分析情報誌刊行業務の傍ら「誰もが笑顔で生きてゆける社会」を実現する『ガーベラ革命』を提唱。人気政治ブログ&メルマガ「植草一秀の『知られざる真実』」を発行。1998年日本経済新聞社アナリストランキング・エコノミスト部門1位。『現代日本経済政策論』(岩波書店、石橋湛山賞受賞)、『日本の独立』(飛鳥新社)、『アベノリスク』(講談社)、『国家はいつも嘘をつく』(祥伝社新書)、『25%の人が政治を私物化する国』(詩想社新書)、『低金利時代、低迷経済を打破する最強資金運用術』(コスミック出版)、『出る杭の世直し白書』(共著、ビジネス社)、『日本経済の黒い霧』(ビジネス社)、『千載一遇の金融大波乱』(ビジネス社、2023年1月刊)など著書多数。 スリーネーションズリサーチ株式会社 http://www.uekusa-tri.co.jp/index.html メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」 http://foomii.com/00050

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