
植草一秀【連載】知られざる真実/2025年7月27日 (日) 財務省解体と消費税ゼロを問う
社会・経済「財務省解体と消費税ゼロを問う」シンポジウムが7月27日(日)に東京湯島家電会館で開催された。
https://isfweb.org/post-58186/
主催は独立言論フォーラム=ISF。
財務省問題、消費税問題について、意義深い意見交換をさせていただいた。
私が提示した課題は大きく分けて二つある。
一つは財務省問題。
私はかつて国家公務員として財務省で勤務した経験を有する。
その際に、現在の消費税の前身と言える売上税導入が図られた。
売上税導入は失敗に終わったが、そのリベンジ版として提案されたのがいまの消費税。
売上税導入失敗の教訓が生かされて消費税が導入された。
この消費税が膨張して、いまや最大の税収費目になっている。
消費税問題をどう捉えるか
そして、この消費税大増税を推進してきた財務省の正体を明らかにする。
さらに、財務省をどのように改革すべきか。
これが第一のテーマ。
第二は政治哲学の問題。
資本主義の発展は貧富の格差拡大をもたらした。
必然の結果。
労働者が搾取され資本家に巨大な所得と富がもたらされる。
このひずみを是正する試みが20世紀に広がった。
社会のすべての構成員が十分に豊かな生活を営む権利を有することが確認された。
基本的人権として生存権が認められた。
これが20世紀の価値創造である。
ところが、1980年ころから、この考え方に対する修正圧力が強まった。
新自由主義と呼ばれる思潮だ。
自由主義の根源のひとつは財産権の保障。
自分が獲得した所得、資産は侵されない。
私有財産の神聖化が自由主義の原点である。
20世紀に誕生した〈生存権〉の保障は〈所得再分配〉によってもたらされる。
〈所得再分配〉を実現するには強制力によって経済力の大きな者からの拠出を得なければならない。
能力に応じた負担を求めて財源を確保し、この財源によって所得再分配を行う。
所得再分配によって社会を構成するすべての個人に対して生存権が保障されることになる。
その是非が改めて問われている。
政治哲学として二つの代表的な立場がある。
リバタリアニズムとリベラリズム。
リバタリアニズムは超自然主義とも称される。
国家権力の介入を最小限にするべきとの考え方。
財産権の尊重を重視する。
経済活動の基本は自由競争であり、結果としての弱肉強食を容認する。
所得再分配のための財産権侵害を認めない。
これに対するのがリベラリズム。
経済活動を行う初期条件には大きな差異がある。
恵まれた状況で生を受ける者と恵まれない状況で生を受ける者とがいる。
生を受ける前に、生を受ける状況は分からない。
「無知のベール」をかぶって人はこの世に生を受ける。
自分がどのような境遇で生を受けるのかは生を受ける前に不明である。
このことを踏まえれば、境遇の悪い状況で生を受けた者を政府が支援することは正当と言えるのではないか。
リベラリズムはこの哲学をベースに置く。
とりわけ重要であるのは1980年以降に少数の大資本に所得と富が集中する状況が加速したこと。
リバタリアニズムとリベラリズムのどちらに正義があるのか。
このことを考察するのが第二のテーマである。
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植草一秀(うえくさ かずひで) 1960年、東京都生まれ。東京大学経済学部卒。大蔵事務官、京都大学助教授、米スタンフォード大学フーバー研究所客員フェロー、早稲田大学大学院教授などを経て、現在、スリーネーションズリサーチ株式会社代表取締役、ガーベラの風(オールジャパン平和と共生)運営委員。事実無根の冤罪事案による人物破壊工作にひるむことなく言論活動を継続。 経済金融情勢分析情報誌刊行業務の傍ら「誰もが笑顔で生きてゆける社会」を実現する『ガーベラ革命』を提唱。人気政治ブログ&メルマガ「植草一秀の『知られざる真実』」を発行。1998年日本経済新聞社アナリストランキング・エコノミスト部門1位。『現代日本経済政策論』(岩波書店、石橋湛山賞受賞)、『日本の独立』(飛鳥新社)、『アベノリスク』(講談社)、『国家はいつも嘘をつく』(祥伝社新書)、『25%の人が政治を私物化する国』(詩想社新書)、『低金利時代、低迷経済を打破する最強資金運用術』(コスミック出版)、『出る杭の世直し白書』(共著、ビジネス社)、『日本経済の黒い霧』(ビジネス社)、『千載一遇の金融大波乱』(ビジネス社、2023年1月刊)など著書多数。 スリーネーションズリサーチ株式会社 http://www.uekusa-tri.co.jp/index.html メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」 http://foomii.com/00050