
植草一秀【連載】知られざる真実/2025年7月31日 (木) 極右・中道・革新の三極鼎立
社会・経済参院選では自公が議席を減らし、参政と国民が議席を増やした。
自公は参院でも過半数割れに転落した。
石破茂首相は参院選の勝敗ラインを著しく低い水準に設定した。
参院選で争われる125議席中、自公で50議席獲得を勝敗ラインに設定した。
政権与党の獲得議席が125分の50というのはあまりにも少ない。
参院選結果に対する責任追及が及ばぬよう、著しく低い勝敗ラインを設定した。
結果は自公で47議席。
勝敗ラインに届かなかった。
したがって、当然のことながら石破首相の責任問題が浮上する。
国政選挙での結果に対して、自民党総裁の責任をもっとも強く追及してきたのが石破茂氏である。
2007年参院選での自民党敗北について石破氏は安倍首相の責任を厳しく追及した。
2009年7月には麻生太郎首相による衆院解散を阻止するために両院議員総会開催が模索されたが、開かれたのは両院議員懇談会だった。
このときも石破氏は麻生内閣の閣僚でありながら麻生氏に退陣を求めた経緯がある。
これらの過去の行動がブーメランとして石破氏に舞い戻っている。
他者に対して厳しく責任を追及する者が自分自身には甘い対応では誰もついてゆかない。
参院選の結果を俯瞰すると主権者の投票先を大きく三つのカテゴリーに分類することができる。
第一のカテゴリーは保守中道。
これまで政権を維持し続けてきた勢力。
第二のカテゴリーは極右。
中国脅威論を煽り、日本は歴史的にも正しかったとする唯我独尊の勢力。
第三のカテゴリーは革新リベラル勢力。
護憲と所得再分配政策重視を特徴とする。
今回選挙では自民党が大敗した一方で国民民主が伸長した。
自民党安倍派は引き続き衰退傾向を示しているが、参政が伸長した。
自民党極右の旧安倍派が縮小して極右の参政が伸長。
自民党中道が縮小して国民が伸長。
革新リベラルは後退した。
立民はこうもりのように立場が不明確。
自公大敗なのに伸長できなかった。
全体を俯瞰すると「極右」、「中道」、「革新」の三極鼎立が生じる状況が生まれたと判断できる。
「石破やめるな」の動きが示されているが、三つの思惑が背景にある。
第一は、極右内閣誕生を嫌う人々。
極右戦争推進政権が誕生するよりは石破内閣の方がましであるとの立場。
消極的支持と言える。
第二は、石破と組んで政権与党入りを狙う勢力。
維新、国民、立民がこれに該当する。
石破を温存し、石破と話をつけて政権与党に加わろうという勢力が存在する。
第三は、積極財政を封じ込めたい勢力。
財務省およびザイム真理教勢力。
石破首相は財政政策発動に消極的な姿勢を貫いた。
日本財政をギリシャに例える点でザイム真理教信者と言える。
財務省としては石破を温存して財政政策発動を封印しようとしている。
これらの事情を踏まえると、単純に「石破やめるな」に加担できない。
最悪は自公と立民の連携だ。
財務省は大連立を実現して消費税増税を狙っている。
これが最大の悪夢。
ザイム真理教の石破首相は退陣に追い込むのが正道である。
石破首相を退場させて、極右政権樹立を阻止する。
これが達成目標になる。
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植草一秀(うえくさ かずひで) 1960年、東京都生まれ。東京大学経済学部卒。大蔵事務官、京都大学助教授、米スタンフォード大学フーバー研究所客員フェロー、早稲田大学大学院教授などを経て、現在、スリーネーションズリサーチ株式会社代表取締役、ガーベラの風(オールジャパン平和と共生)運営委員。事実無根の冤罪事案による人物破壊工作にひるむことなく言論活動を継続。 経済金融情勢分析情報誌刊行業務の傍ら「誰もが笑顔で生きてゆける社会」を実現する『ガーベラ革命』を提唱。人気政治ブログ&メルマガ「植草一秀の『知られざる真実』」を発行。1998年日本経済新聞社アナリストランキング・エコノミスト部門1位。『現代日本経済政策論』(岩波書店、石橋湛山賞受賞)、『日本の独立』(飛鳥新社)、『アベノリスク』(講談社)、『国家はいつも嘘をつく』(祥伝社新書)、『25%の人が政治を私物化する国』(詩想社新書)、『低金利時代、低迷経済を打破する最強資金運用術』(コスミック出版)、『出る杭の世直し白書』(共著、ビジネス社)、『日本経済の黒い霧』(ビジネス社)、『千載一遇の金融大波乱』(ビジネス社、2023年1月刊)など著書多数。 スリーネーションズリサーチ株式会社 http://www.uekusa-tri.co.jp/index.html メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」 http://foomii.com/00050