【連載】植草一秀の「知られざる真実」

植草一秀【連載】知られざる真実/2025年8月 1日 (金) 「石破やめるな」運動三つの背景

植草一秀

参院選で政権与党の自公が大敗し、衆院に続き、参院でも過半数割れに転落した。

衆参両院で自公の与党は過半数割れに転落しており、国会運営は極めて困難になる。

常識で考えれば政権の枠組み変更は避けられない。

石破首相は参院選の勝敗ラインを極めて甘い水準に設定した。

125議席を争う選挙で自公50議席獲得を勝敗ラインにした。

万が一にも〈敗北〉とならぬ水準に設定したと言える。

その低いハードルをクリアできなかった。

このために石破首相の責任を問う声が沸騰している。

石破内閣が総辞職し、自民党が党首を選出すれば、事態は次のステップに進む。

ところが、石破首相は首相を辞任しない考えを示している。

このことについて、主権者の一部が「石破やめるな」を提唱しており、事態が混迷している。

現状をどのように捉え、今後をどのように展望するか。

〈五里霧中〉の状況だ。

問題を整理して今後の展望を示したい。

まずは、石破首相の進退問題。

石破首相は過去に自民党総裁に対して厳しく責任を追及する言動を示してきた。

これがブーメランとして跳ね返ってきている。

参院選で自公が大敗したのは事実であり、過去の言動を踏まえれば潔く退くのが順当だ。

しかし、首相の座にしがみつく姿勢を示している。

2010年7月参院選で大敗した菅直人首相と類似する。

このなかで、〈石破やめるな〉コールが生じている背景が三つある。

第一は後継首相に高市早苗氏が浮上することを嫌悪する人々の訴え。

この気持ちは痛いほどわかる。

高市内閣が誕生すれば憲法破壊が遂行され、日本が戦争に巻き込まれることになると懸念する声は強い。

第二は石破内閣を温存させて政権に参画しようと考える勢力が存在すること。

維新の前原誠司氏は石破氏と近しい関係を有す。

石破内閣を温存するなかで、石破氏の意向によって維新が連立政権入りを果たすことを夢見ている可能性がある。

もう一つは立憲民主党。

立憲民主党が自公との大連立を期待している可能性がある。

野田佳彦氏は石破内閣を打倒するよりも守る姿勢を鮮明に示す。

こちらも、政権入りを狙う思惑が背後にある。

第三は物価高対策としての本格的な財政政策対応を阻止するために石破首相を守ろうとする勢力が存在すること。

その中心はザイム真理教。

財務省は財政政策発動を強く抑止するスタンスを示す石破氏を支援している。

石破氏も影響力のある応援団を得たいために財務省に媚を売っている可能性がある。

だが、財務省が緊縮財政主義かと言えばそうではない。

財務省はまったく緊縮財政主義でない。

財務省は〈利権主義〉の本尊であって〈国民の権利を守る〉守護神ではまったくない。

詳しくは拙著

『財務省と日銀 日本を衰退させたカルトの正体』(ビジネス社)

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国民全体に行き渡る財政支出拡大対応を絶対阻止しようとするのが財務省。

その一方で、財務省に利益をもたらす利権財政支出拡大には糸目をつけない。

三つの背景で〈石破やめるな〉運動が展開されているが、それでも、政権の枠組み変更は不可避な情勢だ。

以下で、今後の政権枠組みのバリエーションを提示して検討してみたい。

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植草一秀 植草一秀

植草一秀(うえくさ かずひで) 1960年、東京都生まれ。東京大学経済学部卒。大蔵事務官、京都大学助教授、米スタンフォード大学フーバー研究所客員フェロー、早稲田大学大学院教授などを経て、現在、スリーネーションズリサーチ株式会社代表取締役、ガーベラの風(オールジャパン平和と共生)運営委員。事実無根の冤罪事案による人物破壊工作にひるむことなく言論活動を継続。 経済金融情勢分析情報誌刊行業務の傍ら「誰もが笑顔で生きてゆける社会」を実現する『ガーベラ革命』を提唱。人気政治ブログ&メルマガ「植草一秀の『知られざる真実』」を発行。1998年日本経済新聞社アナリストランキング・エコノミスト部門1位。『現代日本経済政策論』(岩波書店、石橋湛山賞受賞)、『日本の独立』(飛鳥新社)、『アベノリスク』(講談社)、『国家はいつも嘘をつく』(祥伝社新書)、『25%の人が政治を私物化する国』(詩想社新書)、『低金利時代、低迷経済を打破する最強資金運用術』(コスミック出版)、『出る杭の世直し白書』(共著、ビジネス社)、『日本経済の黒い霧』(ビジネス社)、『千載一遇の金融大波乱』(ビジネス社、2023年1月刊)など著書多数。 スリーネーションズリサーチ株式会社 http://www.uekusa-tri.co.jp/index.html メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」 http://foomii.com/00050

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