
植草一秀【連載】知られざる真実/2025年8月15日 (金) 侵略と植民地支配=国策の誤り
社会・経済80年前の敗戦。
日本が降伏文書に署名したのは1945年9月2日。
これによって日本敗戦が確定した。
戦争終結は1945年9月2日である。
8月15日はポツダム宣言受諾を国民に通知した日にすぎない。
「ポツダム宣言」は主にアメリカによって用意され、イギリス、中華民国の蒋介石がおおよそ同意して7月26日に米英中3国の共同宣言として出された。
その内容は
「戦争を終結するの機会を与ふる」条件として、
・日本に「平和、安全及正義の新秩序」が建設されるまで連合国軍が占領する
・日本の主権は、本州、北海道、九州及四国並に吾等の決定する諸小島に限定する
・俘虜を虐待する者を含む一切の戦争犯罪人に対しては厳重なる処罰を加へる
・全日本国軍隊の無条件降伏
を明記するものだった。
また、第十二項に、
「前記諸目的カ達成セラレ且日本国国民ノ自由ニ表明セル意思ニ従ヒ平和的傾向ヲ有シ且責任アル政府カ樹立セラルルニ於テハ聯合国ノ占領軍ハ直ニ日本国ヨリ撤収セラルヘシ」
と明記された。
ポツダム宣言は1945年7月27日午前4時20分(日本時間)に公表され、ポツダム宣言に対する日本政府の反応を28日付の朝日新聞朝刊は
「政府は黙殺」「多分に宣伝と対日威嚇」
の見出しで報じた。
鈴木貫太郎首相は後年の回想録に
「この宣言は重視する要なきものと思う(と言った)」
記した。
ポツダム宣言を「黙殺」した直後に米軍は広島と長崎に原爆を投下。
この事態を受けて日本政府はポツダム宣言受諾を決定した。
ポツダム宣言は
宣言の「条件」を受け入れない「日本国の選択は、迅速且完全なる壊滅あるのみとす」と結んでいた。
敗戦の決断が遅れ、広島、長崎に原爆が投下された。
そのために膨大な国民が犠牲になった。
米軍が沖縄に上陸した際、日本政府は沖縄を捨て石にして、本土決戦までの時間を稼ぐことを沖縄の役割とした。
広島と長崎に原爆が投下され、日本壊滅が現実のものになることが明白になるまで無謀な戦争を継続した。
そして、ソ連は1945年8月8日に日ソ中立条約を破棄して対日参戦。
ソ連のだまし討ちと言われるが、ソ連の対日参戦には根拠があった。
1945年2月、クリミア半島のヤルタで、アメリカのルーズベルト大統領、イギリスのチャーチル首相、ソ連のスターリン首相が集まり、第二次世界大戦後の戦後処理について協議。
会談でソ連は、
ドイツ降伏後3ヵ月以内の対日参戦
をアメリカとイギリスに約束。
これが「ヤルタ秘密協定」。
「協定」はソ連の対日参戦と南樺太、千島列島のソ連への帰属などを軸とする戦後の領土問題について合意したもの。
ソ連はドイツ降伏からきっちり3ヵ月目の8月8日の日付が変るタイミングで対日参戦。
9月2日の日本の降伏文書調印後の5日までに南樺太、千島列島等の占領を完了した。
ソ連の対日参戦と戦後の南樺太、千島列島のソ連帰属は、米国、英国の了解の下に決定された協定合意事項である。
日本の国策の誤りは1995年の村山首相談話が示す通り、侵略と植民地支配である。
石橋湛山は侵略ではない「小日本主義」を説いた。
侵略と植民地支配の過ちを犯し、敗戦の決断を先送りして膨大な日本国民の犠牲を生んだ。
私たちがなすべきことは過去を直視して、過ちを繰り返さないことである。
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植草一秀(うえくさ かずひで) 1960年、東京都生まれ。東京大学経済学部卒。大蔵事務官、京都大学助教授、米スタンフォード大学フーバー研究所客員フェロー、早稲田大学大学院教授などを経て、現在、スリーネーションズリサーチ株式会社代表取締役、ガーベラの風(オールジャパン平和と共生)運営委員。事実無根の冤罪事案による人物破壊工作にひるむことなく言論活動を継続。 経済金融情勢分析情報誌刊行業務の傍ら「誰もが笑顔で生きてゆける社会」を実現する『ガーベラ革命』を提唱。人気政治ブログ&メルマガ「植草一秀の『知られざる真実』」を発行。1998年日本経済新聞社アナリストランキング・エコノミスト部門1位。『現代日本経済政策論』(岩波書店、石橋湛山賞受賞)、『日本の独立』(飛鳥新社)、『アベノリスク』(講談社)、『国家はいつも嘘をつく』(祥伝社新書)、『25%の人が政治を私物化する国』(詩想社新書)、『低金利時代、低迷経済を打破する最強資金運用術』(コスミック出版)、『出る杭の世直し白書』(共著、ビジネス社)、『日本経済の黒い霧』(ビジネス社)、『千載一遇の金融大波乱』(ビジネス社、2023年1月刊)など著書多数。 スリーネーションズリサーチ株式会社 http://www.uekusa-tri.co.jp/index.html メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」 http://foomii.com/00050