【特集】9.11事件の再検証

登校拒否新聞書評欄:きくちゆみ・童子丸開著『超みえみえテロ&戦争詐欺師たちのマッチポンプ:なぜ世界は黙ってこれを見過ごすのか』(徳間書店、2009年)

藤井良彦(市民記者)

2001年9月11日、「アメリカで4機の民間旅客機がハイジャックされ、3機が世界貿易センタービルとペンタゴンに激突、1機はペンシルバニアのシャンクスビルに墜落、2,752名がいのちを落とした――、とされています」と始まる本書の「はじめに」はきくち氏が執筆している。氏はアメリカのベストセラー『戦争中毒』(1991年)を翻訳して、『テロリストは誰?』(2004年)という映画の日本語版を製作した。いわゆる活動家である。語呂からして、ねづまさし、いいだもも、あるいはタカクラテルを連想した。ある日、護憲派とされる日本の左派と袂を分かつ出来事に見舞われる。

2004年8月15日、彼女は『911: In Plane Site』という映画を観る。パートナーの森田玄がアメリカで制作者からもらってきたものだ。内容にショックを受けた彼女はその日のうちに制作者に電話をかけて、日本語版の製作を決めた。5日後の20日には国会議員会館にて英語版の上映会を行ったというから、さすが行動の人である。映画は『911ボーイングを捜せ』という題で、12月1日にガイドブック付で出版された。

http://www.wa3w.com/911/index–.html

2006年9月11日、ニューヨークにて映画『Loose Change』の制作者に会う。これの日本語版『911の嘘をくずせ』を製作したのも彼女だ。年内にDVDになっているが現物が手に入らず発売日が調べられなかった。10月7日、日本で9.11真相究明国際会議が開かれた。彼女はオーガナイザーとして司会を務める。参加者の一人、ベンジャミン・フルフォードは『9.11テロ捏造:日本と世界を騙し続ける独裁国家アメリカ』『暴かれた9.11疑惑の真相』(2006年)の著者だ。中丸薫氏からの口コミで『911の嘘をくずせ』を知った。帰化したので、古歩道さんである。ウィリアム・ロドリゲスはツインタワーの清掃員。当日、現場でマスターキーを所持していたのは彼一人だ。第1ビルの地下で爆発音があった。被災者たちの救助を行っていると上階から爆発音が何回か聞こえた。ビルはオール電化でガスは通っていない。39階まで階段を昇りながら途中で異常を察知。27階では消防士たちが力尽きていた。ビルの崩壊時は消防車の下に隠れて、瓦礫の中から救出される。勤続20年。事件後はヒーローとされブッシュやヒラリーとも写真に映った男の証言である。9.11コミッションの『報告書』(2004年7月)には彼の名前すらない。会議の模様は『9.11マスターキーから何が見える?』というブックレットに綴じられている。300円で売られた現物は公立図書館の所蔵が4館、大学図書館の所蔵は0館。

2007年7月7月、第4回東京平和映画祭では『911スペシャル』と題して、きくち氏が登壇。9月1日には童子丸氏の著書『「WTCビル崩壊」の徹底究明:破綻した米国政府の「9・11」公式説』が社会評論社から出ている。2008年7月18日、第5回東京平和映画祭では「9.11とつくられる戦争」と題して、きくち氏がトーク。11月3日の第2回真相究明国際会議では童子丸氏が『911の物理的事実と真っ赤な嘘』と題して講演。2009年4月1日に出た藤田幸久氏(参議院議員)の編著『9・11テロ疑惑国会追及』に2人は共著者として加わっている。そして、9月30日に出たのが2人の共著『超みえみえテロ&戦争詐欺師たちのマッチポンプ』である。12月5日、第3回真相究明国際会議にはリチャード・ゲージ氏が参加した。建築家としてビル崩壊の原因を追求しており、その主張は『9/11 Blueprint for Truth』(2008年)という映画にまとめられている。この作品の日本語版『真実への青写真』は童子丸氏や森田氏が翻訳して、やはりきくち氏が製作したもの。

http://store.globalpeace.jp/index.php?main_page=product_info&products_id=111

きくち氏と童子丸氏は『Zero: Inchiesta sull’11 settembre』(2007年)というイタリア映画の日本語版『ZERO: 9/11の虚構』を製作。これが2010年9月から10月にかけて、東京都写真美術館とシアター・イメージフォーラムというミニシアターにて上映された。ISF代表理事の岡田元治が経営する会社がイギリスの映画配給会社から権利を買って国内配給元となった。その後、2011年の9月11日にDVD化されている。2012年10月9日には、ちきゅう座というサイトに童子丸氏が「驚天動地のハリウッド911映画Operation Terror」という投稿をしている。この映画の日本語版はない。

https://www.operationterror.com/

この映画『Operation Terror』(2012年)はドキュメンタリーではない。ドラマである。特命を受けたCIAの職員が2年かけて「新たなる真珠湾」を計画したが、結局は失敗したという筋書きだ。1999年9月6日、ラングレーにあるCIA本部から話は始まる。この日付に意味があるのかどうかはわからない。けれども、チェイニー副大統領(もちろん役者が演じている)のセリフが実際に証言されたものと同じであるなど、何かと再現性は高い。第7ビルにオフィスを構えていたという設定も、25階にCIAのオフィスがあったという事実を踏まえている。175便の代わりにE-4B(ボーイング747-200B型を改造した軍用機)が使われたという筋書きは、第2ビルから3ブロック離れた通りに落ちていたエンジンがCFM-56型であることが根拠か。ローガン国際空港を発着した175便はE-4Bとすり替わり、イェーガー空港に着陸。ダレス発77便とローガン発11便の乗客を乗せて、クリーブランドのホプキンズ空港へと向かう。93便は撃墜された。ホプキンズ空港に着陸した乗客はNASAの施設に移動したところを殺される。乗客の中には事件を計画した複数の関係者が含まれていた。低予算とはいえ役者の質は高いので退屈はしない。

事件のドキュメンタリーは多い。『911ボーイングを捜せ』(2004年)が最初のものか。前半は、ペンタゴンに飛行機が突っ込んだという驚天動地のストリートを検証したものだ。事件直後、FBIに遅れて消防車が駆けつけた時の写真が残されている。撮ったのはAP通信の記者。機体の残骸があるかと思いきや、青々とした芝生の上にあるのは4個のワイヤースプール。偶然にも衝突のあった西棟が改修中であった。2階の窓の中には火が見える。けれども建造物が壊れている様子はない。消防車は建物のすぐ手前に止まってホースで放水している。この時の様子はFOXの中継にも残されている。事件後、飛行機の残骸らしき物が芝生の上に置かれた。後半部はツインタワーに飛行機が突っ込んだという話だ。北タワーの事件後に中継開始。しばらくして、南タワーに真っ黒な機体が突っ込む。ある中継映像に「アメリカン航空じゃなかった」という女性の声が入っている。北から見た映像であるから、北タワーに衝突したアメリカン航空とされる1機目についての証言だ。なるほど、11便が空港を発着した記録はない。続いて紹介されるFOXの中継では「商業用機」でも「ノーマルフライト」でもなかったと男性が証言している。これは南タワーに衝突とした2機目の目撃談だろう。当時のユナイテッド航空は「バトルシップ」という愛称を持つカラーリングで、グレーが基調となっているが尾翼はブルー。サイドの赤ラインは見えないにしても「青い丸いロゴ」が前方にあったという証言は無視できない。月に降りたというナカムラサツマイモ店のマークだろうか?

『9/11 Painful Deceptions』(2003年)は、60トンの飛行機がペンタゴンに突入したわけがないでしょうと、ひたすら当時の映像と写真から訴える。推しはRQ-4という型番の無人機だ。後半は第1ビル、第2ビル、第7ビルがそれぞれ制御解体されたという定説の検証。制作者のエリック・ハフシュミッドは『Painful Questions』(2002年)という本の執筆者で、本作はその映画版。

『Confronting the Evidence: A Call to Reopen 9/11 Investigation』(2004年)はハフシュミッドの本を読み、映画を観て感化されたジミー・ウォルターがReOpen911.orgを設立、この年の9月11日に開催したイベントを収めたものだ。『911ボーイングを捜せ』の脚本を書いたデイヴ・ヴァンクライストが出演している。「アメリカン航空じゃなかった」という映像については、音声を被せただけという批判もあった。しかし、断じてそのようなものではないと反論。陰謀論との批判に対して、we want the truth!と絶叫する。この点は『911ボーイングを捜せ』のディレクターズ・カット版も参照してほしい。彼によると衝突したのはE-4Bではなく、ボーイング767-400ER型を改造した軍用機である。機体下部にカヌー型レドームような細長い物が見えることとエンジンの数などが根拠だ。

『9/11 Press for Truth』(2005年)はタワーで配偶者を失った「ジャージー・ガールズ」なる4人の主人公が真相究明に当たるドキュメンタリーだ。とくにビルの崩壊の理由を疑う内容ではないが、この事件でいちばん納得していないのは犠牲者の家族である。彼女たちの働きかけによって、911コミッションが発足した。

『Loose Change』(2005年)と『Loose Change: 2nd Edition Recut』(2006年)は日本語版があることを紹介した。撃墜されたとされる93便はクリーブランドのホプキンズ空港に着陸したという筋書。典拠とされたのは2004年3月29日にウッディ・ボックスが発表した記事「クリーブランド空港のミステリー」だ。10時10分、デルタ航空の1989便が空港に緊急着陸。FBIによる爆破物の捜査が終り、69名の乗客が解放されたのが12時30分。以上は空港の南側にある連邦政府庁舎に移動したという乗客の証言による。ところが、AP通信や現地新聞などの報道によれば、飛行機は10時45分に着陸。11時00分、クリーブランド市長が乗客人数を200名と発表。アクロンで発行されている地元紙は彼らが11時15分に解放されたとの号外を出す。目撃談を合わせると、1989便とは別にX便の存在が浮かび上がる。その乗客は空港を出た北側にあるNASAのグレン研究センターに移動したという。この記事には地元のラジオ局が11時43分に「市長は飛行機を空港の安全な所へ移動させ、退避させた。ユナイテッド航空は93便と同定」とサイトに公表したことが記されているため、X便は93便だという憶説が流れた。実際、93便はクリーブランド空港に到着地を変更している。記事は2007年2月8日に更新。ラジオ局の発表は11時00分に行われた市長の会見と11時17分にユナイテッド航空が93便と175便について公表した内容に基づいている。この時、93便が墜落したことは確認されているが、175便は消息不明となっている。つまり『Operation Terror』の筋書はX便を175便と同定したものである。記事はこれをボストン発「デルタ航空89便」(コード名)と同定している。軍事演習である。『Loose Change: Final Cut』(2007年)はこのエピソードをカットした。なお、この問題については、菊川征司『9・11テロの超不都合な真実』(2008年)があくまでも93便の線で追及しているので参照されたい。

https://www.bibliotecapleyades.net/sociopolitica/esp_sociopol_911_26.htm

https://dimnaut.info/truther/woodybox/articles/cleveland-airport-mystery.html

『911 Eyewitness』(2006年)は『目撃者』という題で日本語版が出ている。マンハッタン島の対岸にあるホーボーケン埠頭から撮影されたアンカット映像によりツインタワーの崩壊前から地面より煙が出ている様子。また、ビルが崩壊する数秒前に何度か爆発音が発せられていることが確認される。地下で爆発があり煙が出ていたことはFOXの中継でも確認できる。制作者のリチャード・シーゲルは、ヘリコプターが上空からビルを爆破した、という説明を加えているが、そこは差し引いて鑑賞しよう。

https://archive.org/details/911Eyewitness/911Eyewitness_1of3.wmv

『9-11 Ripple Effect』(2007年)は『911ボーイングを捜せ』の続編。内容の上からして、そのDC版と大差ない。ロドリゲスが出演している。

『Zero: Inchiesta sull’11 settembre』(2007年)はイタリア映画だからダリオ・フォ(ノーベル文学賞受賞者)やイタリアの俳優が出てくる。ペンタゴンに旅客機が突っこんだ証拠はゼロだ。それからFBIによって公開された19人が犯人であることを示す証拠もゼロ。そもそも彼らが飛行機に乗っていた事実がない。南タワー84階で仕事をしていた人物の証言が地下で爆発があったというロドリゲスの証言を裏書きする。上映会には日本からも藤田議員が招待された。日本語版はまだ在庫があるらしい。

https://www.bibliotecapleyades.net/sociopolitica/esp_sociopol_911_50.htm

『September Clues』(2007年)はエポックメーキングな作品。この問題は第7ビルが明らかに制御解体であること、シャンクスビルの墜落現場、そしてペンタゴンに旅客機が衝突したことに対する疑いに端を発したものだ。それが、ここに至って、そもそも第2ビルに飛行機が衝突していないという恐るべき主張が出た。サイモン・シャックの手法は比較だ。見比べてみると、飛行機の進入角度が一致しなかったり、11.5キロメートル後方にあるヴェラザノ=ナローズ橋の橋塔の位置がツインタワーの背景で移動したりする。それどころか、各局の中継映像には爆発の17秒前にキューが入る。第7ビルの倒壊を20分早く報じたBBCのいわゆるフライング放送についても興味深い分析がなされている。制御解体であれば飛行体が衝突する(させる)必要はない。であれば、飛行機はCGという発想は自然に出てくる。いや、映像自体が3D合成なのかもしれない。

https://www.imdb.com/title/tt2149514/

『9/11 Blueprint for Truth』(2008年)は日本語版があることを紹介した。映画というより講演録である。『9/11 Explosive Evidence: Experts Speak Out』(2012年)は続編。いかに多くの専門家が制御解体説を支持しているかがわかる。これも『9/11 爆破の証拠:専門家は語る』という題で短くした日本語版がある。

『Hypothesis』(2010年)の主人公はブリガム・ヤング大学のスティーブン・ジョーンズ教授(物理学)だ。2005年9月、制御解体はサーマイト法(テルミット法)によるものであるとの論文を大学のウェブサイトに発表。12月、科学哲学者のジェームズ・フィッシャーと共にScholars for 9/11 Truthという学会を設立。2006年7月、崩壊したビルの粉塵から硝酸バリウムと硫黄が見つかった。これより軍が特許を得たナノサーマイトが使用されたと彼は確信する。10月、大学を辞職。論文が査読を通していないことが問題とされ、終身雇用権を奪われたからだ。映画は未見だが、IMDbのレビューは8.1と高いから期待が持てる。

https://www.imdb.com/title/tt1740766/

『9/11: Intercepted』(2011年)『Skygate 911』(2014年)『9/11: Identify』(2015年)は実際にボーイング機を操縦したパイロットの有志団体による作品。1作目は11便と175便が同じローガン空港を発着し、同じ目的地に向かったにもかかわらず異なる航路をたどっていることに注目。175便は93便と同じ航路をたどる。では、77便は?当時のレーダー画像と管制塔とのやり取りを分析して、ノースウッズ作戦という古典的な偽旗作戦が実行された可能性を探る。少なくとも175便と93便は事故があったとされる時間よりもあとに飛んでいることはレーダーから確認できる。2作目はペンタゴンに滑り込んだとされる77便が追跡される。ブラックボックスが見つかった。ボイスレコーダーは壊れていたがフライトデータレコーダーは再生できた。公式発表では14日の午前4時だが、そのファイルの作成日時は9月13日の午後11時45分。77便はダラス空港にゲートD26を発着したとの記録がある。しかし、フライトデータレコーダーはそれよりも北東のゲート(D21?)を発着したことを示している。操縦室のドアを開けた記録はないからハイジャックされてはいない。どのみち、このデータはフリートIDがないため77便とされるボーイング757型(N644AA)のものであることを示す証拠はない。3作目は、4機の飛行機がすべて特定されていない点を追求。ブラックボックスが回収されたのは77便と93便だけ。それもシリアル番号が不明。飛行機の部品にはすべて部品番号と、その機体を特定するシリアル番号が振ってある。それが確認された部品が一つもないという事実。WTCの跡地からは3個のブラックボックスを見つけたとの消防士の証言がある。仮にFBIが保存しているとして、上記のような問題をクリアしなければ何の証拠にもならない。航空力学上、そもそも175便(ボーイング767型)があの高度であの速度(510ノット)で飛ぶことは不可能である。機体が壊れる。同じことは他の3機についても言える。

https://pilotsfor911truth.org/store.html

『Where Did The Towers Go?』(2011年)は『Where Did the Towers Go?: The Evidence of Directed Energy Technology on 9/11』(2010年)という本を書いたジュディ・ウッド博士の講演録。彼女がジョーンズのナノサーマイト説に疑問を投げかけたことで、Scholars for 9/11 Truthが分裂する。鉄骨が融けたとしても、110階建てのビル二つ分の瓦礫が山と残るはずなのに吹き抜けロビー(高さにして1階から3階に当たる)のアーチ状の壁面の一部を残して、上層部は粉塵となり火砕流のような灰色の煙を巻き上げて吹き飛んでしまった。第1ビルのB階段(4階までの高さ)では16人が助かった。彼女は幼い頃に遭遇したハリケーンの被害とよく似ていると感じた。ビルは崩れ落ちたのではない。彼女がダスト化と表現する現象が起きた。隣接する第3ビルと第4ビルも同じような仕方でダスト化していることは爆破による制御解体説では説明できない。第7ビルが残っている時点(5時20分に崩壊)で、ツインタワーの跡地を人が歩いている写真が残されている。人が登れる程度の瓦礫ということもあるが、何より火が生じていない。1ブロック離れた道では人が歩いている。車はパンクして焦げているのに火の粉すら飛ばず、ダストの上を真っ白な紙が舞っている。彼女が「トースト」と表現する現象だ。第2ビルでは爆発による火災が収まってから多くの人が崩壊した壁面に立っていた。その中には服を脱いでいる人が少なからずいて、何人もが飛び降りた。「理論ではなく証拠を提示している」と断りつつ彼女は指向性エネルギーによるハチソン効果を引き合いに出す。つまりビル全体が電子レンジの中に置かれたようになった、という仮定である。この説をフィッシャーが支持したことで、ジョーンズは離反。ゲージなどと連名でScholars for 9/11 Truth and Justiceという学会を発足させる。

https://www.drjudywood.com/wp/

『9/11: The Great American Psy-Opera』(2012年)は「リアリティがハイジャックされ破壊された」「コモンセンスが崩壊した」と始まる。エース・ベーカー(ミュージシャン)が2011年に制作した作品のコンピレーションである。この問題はWTCが制御解体されていることの疑いと、77便の墜落、またペンタゴンの93便の問題から始まった。それが、ここに至って、飛行機のホログラム説。そして、ダイレクトエネルギー説が出たことで新たな展開を見せる。ホログラム説は早くからツインタワーに飛行機は衝突していないという説を展開していたモルガン・レイノルズという経済学者の支持するところであるが、ベーカーはライブコンポジット、つまり中継映像をリアルタイムで加工しているという説を立てる。彼はウッドとレイノルズとも親しくしていた。彼らはサーマイト法を否定するあまりビルが崩壊する際に建材が溶け出した映像をライブコンポジットと主張。ベーカーは飛行機の映像はライブコンポジットによるとしながらも建材が溶けているのは実際の映像だとして反論。心理戦(サイオペ)という見地から当時のテレビ映像を分析する。

https://www.imdb.com/title/tt5004118/

『September 11: The New Pearl Harbor』(2013年)はイタリアのマッシモ・マッツッコ監督作品。イタリア映画らしく長編。この監督には『9/11: Take the Quiz』(2019年)という短編もある。『American Moon』(2017年)という愉快な作品も!

https://www.imdb.com/title/tt3828916/

https://www.imdb.com/title/tt10994868/

『The Anatomy of a Great Deception』(2014年)は第7ビルに焦点を当て、サーマイト法による制御解体説を支持している。放火でビルを壊せるなら、なぜ制御解体の会社があるのか?という反問は痛快だ。冒頭、制作者は「リアリティの通念が試されている」と語る。『The Anatomy of a Great Deception 2』(2019年)という続編は未見。

https://agdmovie.com/

『9/11: Decade of Deception』(2015年)はトロント州立大学(当時、ライアソン大学)にて4日間にわたり行われた学会のサマリーだ。最初に登場するのが「ジャージー・ガールズ」の1人であるローリー女史。2人目がゲージ氏。続けて、何人か出てきて制御解体説を補完する。現場の人たちや、少し離れた所からカメラを回していた人たちが一同に「爆発(エクスプロージョン)」と言っている事実を『報告書』は無視した。FBIは当初、PENTTABOM(ペンタゴン&ツインタワーがボン!)という暗号名で捜査を進めていた。諧謔こそが真実を語る。

https://archive.org/details/youtube-xqqelDq4P48

『9/11 Exposed』(2015年)は調べても制作者が不明。106分。同年、4分長い第2版が出た。第1部は第7ビルの崩壊理由。第2部はツインタワーの崩壊理由を扱う。とくに真新しい視点はないが、ロドリゲスの証言が10分にわたって紹介されるなど、個人の証言が尊重されている印象を受ける。数日前、第2ビルの33階にいた彼は、空室で誰もいないはずの34階で大きな音を立てて何かが行われていることを察知している。この時、34階はエレベーターが止められていた。ビルは6日と8日と9日に停電したので、その3日間は監視カメラの映像もない。6日は警備の爆発物探知犬が不在。

https://topdocumentaryfilms.com/911-exposed/

『9/11 Alchemy: Facing Reality』(2018年)はホログラム説を支持。あの日に至るまで、多くのアニメや映画がツインタワーが崩壊するイメージを配信してきた。中には飛行機が突き抜けるものまである。ツインタワーは飛行機が衝突して、火災が起きて、パンケーキ現象で壊れたわけではない。その飛行機も映像をCGで加工したものだとサイモンは主張した。ベーカーの説も同様だ。しかし、それでは多数の目撃談が説明できない。映像を加工したとしても空を見上げる人たちをどう説明するのか。制御解体では瓦礫が建造物の平均して12%の高さにまで積もる。であるから、WTCは通常の制御解体ではないというジュディの見方は正しいとして、いわく指向性エネルギー兵器は存在するのか。イラクでも使われた同じ軍事技術(服を着たまま黒焦げになっている死体がある)が使われたのではないかとクリスチャン・ハンプトンは問いかける。軍産複合体と一口に言うけれども、具体的に関与したであろう企業――ARA、SAIC、Quince Imaging、SPIEなどを調べ上げた労作である。漠然とロスアラモスで開発されているという話ではない。実際に指向性エネルギー兵器を開発している企業は存在する。ホログラムも軍事技術として開発されている。なお、93便については墜落説を取っている。

https://www.imdb.com/title/tt11147566

『The Outsider』(2021年)はドキュメンタリー。スティーブン・ローゼンバウム、パメラ・ヨーダー、そしてマイケル・シュリンの3名は国立9/11記念館に映像や写真を寄贈した。しかし、それらは記念館のほうでチェックされておらず、非公開となっている。事件の検証をすべき当初の目的が記念館の側で失われている。なお、この映画で紹介されている南タワーの83階から電話をかけてきた女性は火の手は上がってないにもかかわらず「とても暑い」と何度も言っている。この音声を公開する判断を記念館は下さなかった。19人のハイジャッカーとされた人たちの写真は展示されている。

https://www.abramorama.com/film/2021/the-outsider

https://www.unz.com/audio/kbarrett_steven-rosenbaum-new-9-11-film-the-outsider-may-help-spark-necessary-conversations/

イルミナティ世界フォーラムでは、いや。インディペンデント言論フォーラムでは、2022年12月13日に、ISF編集長の木村朗ときくち氏の対談がなされた。彼女はアメリカに入国するたびに別室に連れ込まれ、取り調べを受けたという。計12回。それでもアメリカという国をあきらめず、永住権を取得した。

https://isfweb.org/post-13756/

この時、氏が「デヴィッド・グリフィンさんってのは本当に物静かな紳士。神学者なんですよね。で、彼がなんでこんなに危ないじゃないですか?アメリカで。なんでやるんですか?って言ったら、私は神に仕える者として、神学者として真実の追求というのが責務なんですとおっしゃってました。だからすごく私はとても尊敬し信頼してる方で、この本を読んで誰が反論できるんだろうかな?と思いますね。本当に緻密なデータで検証されている本です」と紹介しているのは、彼女が戸田清氏と一緒に訳した『9・11事件は謀略か:「21世紀の真珠湾攻撃」とブッシュ政権』(2004年、2005年第2版)だ。続いて、加藤しをり氏と共訳で、グリフィンの『9・11の矛盾:9・11委員会報告書が黙殺した重大な事実』(2008年)の訳書を上梓。最初の本はいま読むと物足りないが、この本は9.11コミッションの『報告書』を受けて書かれたもので重大な問題提起がなされている。

いちばんの問題点は旅客機からかけられたとされる携帯電話の通話がFBIの調査によって全否定されたことだ。最初に第1ビル(北タワー)に突っ込んだとされる11便についてはそもそも通話記録がない。けれども、175便(南タワー)、77便(ペンタゴン)、93便(墜落?)の3機からは携帯電話で家族に連絡があった。ハイジャックのエピソードはすべてこの通話内容が根拠となっている。ところが、当時の航空機からは携帯電話がつながらないという基本的な事実がある。FBIの調査によると、携帯電話による発信と確認できるのは93便から9時58分に乗務員が自宅にかけたのと乗客が911番にかけた2本のみ。いずれもハイジャックされたことを伝えたものだが、乗客の一人がこの時点で警察に通報しようと試みたことは一致団結してハイジャック犯に立ち向かったというストーリーと矛盾する。テッド・オルソン(司法省訟務長官)は77便に乗る妻から電話を受けたと証言した。携帯電話か機内電話か証言は二転三転した。FBIによると9時18分にバーバラ・オルソンが機内電話からかけた通話記録は0秒。つまり不通。その上、77便のボーイング757型には機内電話が設置されていなかった。なるほど、ペンタゴンに突っ込んだわけではないのだから当然だ。77便については、あとになって全部品が回収されたということで、ブラックボックスがある。フライトデータレコーダーに記録される9時18分に飛んでいた高度では携帯電話はつながらない。ボイスレコーダーは再生できなかったとされている。9時45分、全機に着陸命令が出された。93便は10時6分に墜落したとされていた。ところが『報告書』は10時3分と修正。そうなると地震計の記録と合わない。ボイスレコーダーは口外無用との同意書への署名を条件に一度だけ遺族に公開されたが、その一部の証言により最後の3分間が不明であったことが知られる。フライトデータレコーダーはない。あるのは犯人の物とされるバンダナとパスポートだけ。

2023年6月24日にはISF公開シンポジウム「「9.11事件」の検証:隠された不都合な真実を問う」が開かれた。この日はゲージ氏がZOOMで参加して、第7ビルが火災ではなく爆破により倒壊したことを改めて主張。また、『仕組まれた9・11:アメリカは戦争を欲していた』(2002年)の著者であり、メルマガ「田中宇の国際ニュース」で有名な田中氏(元共同通信記者)、並びに事件当時はペンタゴンの近くにいた浜田和幸氏(元参議院議員)、またISF副編集長(当時)の成澤宗男氏が参加している。

https://isfweb.org/post-20462/

冒頭、岡田氏が「きくちさんと一緒にDVDをつくって単館、映画会でかけたり」と述べているのは、先に紹介した『ZERO: 9/11の虚構』の映画会を指している。アメリカに永住権を得た彼女はすでに活動をやめているのにリスクを冒して来日した。過去を振り返って「楽しいことしかやってない」と語ったのは印象的だ。田中氏はジャーナリズムへの反省から自らはジャーナリストではないと語る。メルマガは無料版があるから購読をお勧めする。成澤氏は40年を超えるジャーナリストとしての経験から悪人探しではなく、自分が人の苦しみに共感することが大切なのだと訴える。「アメリカという国は誰が実権を握ってるのかわからない。少なくとも言えるのは大統領ではない。議会でもない」という感想は、この事件の確信を突いている。浜田氏はバイデン政権の腐敗を例に政界の実情を明かす。氏の『アフガン暗黒回廊:アメリカ「軍産複合地下帝国」の陰謀』(2002年)に「グローバル・ホークはボーイング737の翼幅を持つ軍用機」「2001年11月22日のロイター電によれば、ラムズフェルド国防長官は「ウサマ・ビンラディンとアルカイダを潰すためにグローバル・ホークの投入を決定した」という」とあるのは、先に出てきたRQ-4という無人機を指す。当時は試作機の段階で、一般には存在が知られていなかった。幅が約35メートル。ツインタワーに激突したとされる11便はボーイング767型で幅が約47メートル。「アメリカン航空じゃなかった」という証言が思い出される。「中型」という目撃談もある。

https://www.youtube.com/watch?v=JuQl9hUC00k

もう一度、当時の映像を確認しよう。(続)

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藤井良彦(市民記者) 藤井良彦(市民記者)

1984年生。文学博士。中学不就学・通信高卒。学校哲学専攻。 著書に『メンデルスゾーンの形而上学:また一つの哲学史』(2017年)『不登校とは何であったか?:心因性登校拒否、その社会病理化の論理』(2017年)『戦後教育闘争史:法の精神と主体の意識』(2021年)『盟休入りした子どもたち:学校ヲ休ミニスル』 (2022年)『治安維持法下のマルクス主義』(2025年)など。共著に『在野学の冒険:知と経験の織りなす想像力の空間へ』(2016年)がある。 ISFの市民記者でもある。

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