
植草一秀【連載】知られざる真実/2025年8月17日 (日) 石破首相の選挙敗北責任
社会・経済昨年10月の衆院選、本年7月の参院選で与党は衆参両院で過半数割れに転落した。
このことは日本の主権者が現在の政権与党に不信任を突き付けたことを意味する。
まずは政権が退陣して新しい体制を創設すべきである。
政権与党が主権者から不信任を突き付けられた理由は大きく二つある。
第一は政治とカネ。
自民党の裏金事件が表面化した。
政治資金を不正に懐に入れていた事件である。
法律に抵触する行為を実行した議員は多数存在する。
日本の刑事司法が腐敗しているから国会議員で刑事責任を問われた国会議員は3名しかいないが、日本の刑事司法が正常に機能していれば数十名の国会議員が刑事責任を問われる事案。
国民が消費税で生活苦にあえぐ中で自民党議員は裏金を懐に入れて納税の義務さえ怠っていた。
自民党の金権腐敗体質に対する断罪が与党の過半数割れの主因のひとつ。
第二は国民の生活苦に対して政権与党が適正な政策を遂行しなかったこと。
選挙に際しても有効な提案を示せなかった。
その根幹は財務省の庶民虐待政策スタンスにある。
「財政規律」という言葉を使用して庶民に対する適正な政策対応を妨害してきた。
この財務省路線に乗ったのが石破政権である。
選挙で負けたのは自民党の責任で石破首相の責任でないとの言葉が聞かれるが間違っている。
昨年来、インフレ襲来にあえぐ国民の生活を改善するための経済政策論議が提起されてきた。
諸情勢を踏まえれば消費税の税率をまずは5%に引き下げるのが適正だ。
理由は後述する。
ところが、石破内閣は適正な経済政策を示してこなかった。
石破首相は日本の財政事情が財政危機に直面したギリシャよりも悪いと国会で述べた。
この認識で、財政政策を活用して生活苦を和らげる施策を示さなかった。
このことは石破首相がザイム真理教信者であることを物語っている。
ところが、ザイム真理教の教義は根本から間違っている。
このことを私は
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積極財政を大規模に展開する必要はない。
財政政策のスタンスは中立で十分だ。
その中立の範囲内で消費税率5%を実現することは十分に可能。
2025年の通常国会で二つの重要決定を実現することができたはずだ。
一つは企業団体献金の全面禁止。
もう一つは消費税率5%への引き下げ。
しかし、何も決めなかった。
野党の責任も大きい。
とりわけ国民民主党は二つの重大決定を妨げた主犯とも言える。
国民民主党は財務省と結託し、ただ単に政権与党に加わりたいだけの存在と見える。
また立憲民主党も石破内閣を温存し、大連立を成立させて財務省が目論む消費税再増税を推進する魂胆を有しているように見える。
日本の主権者国民は参政権を活用して現存する政権に不信任を突き付けた。
しかし、この「民意」が宙に浮いている。
まずは、石破首相が結果に対する責任を明らかにすることが先決。
次に何がどうなるかを考える前に、現実の結果に対してけじめをつけることが重要。
次元が変われば、そこで新たな知恵が生まれてくる。
敗戦後の日本が混迷を深めているのも、敗戦の責任をあいまいに処理してきたことが原因である。
まずは結果に対する責任を明らかにすること。
すべてはそこから出発する。
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植草一秀(うえくさ かずひで) 1960年、東京都生まれ。東京大学経済学部卒。大蔵事務官、京都大学助教授、米スタンフォード大学フーバー研究所客員フェロー、早稲田大学大学院教授などを経て、現在、スリーネーションズリサーチ株式会社代表取締役、ガーベラの風(オールジャパン平和と共生)運営委員。事実無根の冤罪事案による人物破壊工作にひるむことなく言論活動を継続。 経済金融情勢分析情報誌刊行業務の傍ら「誰もが笑顔で生きてゆける社会」を実現する『ガーベラ革命』を提唱。人気政治ブログ&メルマガ「植草一秀の『知られざる真実』」を発行。1998年日本経済新聞社アナリストランキング・エコノミスト部門1位。『現代日本経済政策論』(岩波書店、石橋湛山賞受賞)、『日本の独立』(飛鳥新社)、『アベノリスク』(講談社)、『国家はいつも嘘をつく』(祥伝社新書)、『25%の人が政治を私物化する国』(詩想社新書)、『低金利時代、低迷経済を打破する最強資金運用術』(コスミック出版)、『出る杭の世直し白書』(共著、ビジネス社)、『日本経済の黒い霧』(ビジネス社)、『千載一遇の金融大波乱』(ビジネス社、2023年1月刊)など著書多数。 スリーネーションズリサーチ株式会社 http://www.uekusa-tri.co.jp/index.html メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」 http://foomii.com/00050