【連載】植草一秀の「知られざる真実」

植草一秀【連載】知られざる真実/2025年8月18日 (月) 子に説教垂れる愚かな大人

植草一秀

戦争、核兵器、原発。

すべては人間の愚かさの象徴とも言える。

戦争は無意味に人間同士で殺戮を行う行為。

人間が愚かでなければ話し合って解決策を得る。

話し合いでなく力で相手をねじ伏せるべきでない。

大人は子どもにこう諭す。

ところが、大人が率先して人間同士の殺戮を演じる。

これが戦争だ。

核兵器は人類滅亡をもたらす力を持つ究極の兵器。

しかし、攻撃を受けたら報復攻撃を行う態勢を整えることもできる。

攻撃によって自陣が滅亡するが、報復攻撃によって摘陣営も滅亡させられる。

「相互確証破壊」と呼ばれるが、この装置を保持することは、いつでも地球の滅亡を実現できるということ。

賢ければ、話し合いで、このような兵器を消滅させることができる。

しかし、相手を信用できないから兵器を消滅させない。

日本は地震大国で、日本のどこでも1500ガル以上の地震動が発生し得る。

日本の原発は1500ガルの揺れに耐える構造で作られていない。

フクシマ事故が再現される可能性があるから原発を廃止すべきとの見解は順当だ。

当初は原発廃止を決めたかのようだったが、時間が経過するにつれて話は変えられ、再び原発稼働推進の方針が示されている。

要するに人間は賢くないということ。

賢くない人間は滅亡するだろう。

大の大人が偉そうな高説を垂れるが、その大人が実践しているのは愚かな行為ばかりだ。

そして、権威や権力にひれ伏す者がいる。

者がいると言うより、ひれ伏す者が多い。

指導者が愚かというだけでなく、そのような愚かな指導者に追従する者も愚かということ。

北陸新幹線が敦賀まで開通した。

これを大阪までつなぐと東海道新幹線のバイパスが生まれる。

敦賀から小浜を経由し、京都につなぐ案が有力視された。

しかし、状況は一変している。

日本は1年に100万人も人口が減る状況に転じた。

新幹線建設の費用が驚異的に高騰した。

小浜ルートを採用すると京都市で大深度工事が必要になるが、大深度工事の信頼性が崩壊している。

京都仏教会は京都市の大深度工事を「千年の愚行」と表現して小浜ルートに対する反対を表明した。

参議院選挙では敦賀・米原ルート再検討を掲げる候補者が京都府でトップ当選した。

諸情勢を踏まえれば米原ルートを選択するのが適正だ。

費用と時間を大幅に節約できる。

問題点が二つ指摘されている。

一つはJR東海が米原-新大阪のダイヤが過密で北陸新幹線への配分を拒絶していること。

もう一つは滋賀県が新幹線建設の負担と便益が合わないと主張していること。

どちらも当事者の主張としては順当なのだろう。

人間の知恵というものは、このようなときに発揮されるべきものだ。

国鉄民営化は民営化される新企業のために実行されるものでない。

国民の利益のために遂行されたものだ。

その分割されたJR各社が企業エゴに走り、国民の利益を損ねるのは愚の骨頂。

米原-新大阪を複々線化することも検討に値する。

国民の利益を優先して、国家の指揮でJR各社に適正な対応を求めるのが筋だ。

国民の利益が増大するなら、滋賀県の負担を軽減する措置を国が取ればよいだけのこと。

愚かさが勝つか、賢さが勝つかという問題である。

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植草一秀 植草一秀

植草一秀(うえくさ かずひで) 1960年、東京都生まれ。東京大学経済学部卒。大蔵事務官、京都大学助教授、米スタンフォード大学フーバー研究所客員フェロー、早稲田大学大学院教授などを経て、現在、スリーネーションズリサーチ株式会社代表取締役、ガーベラの風(オールジャパン平和と共生)運営委員。事実無根の冤罪事案による人物破壊工作にひるむことなく言論活動を継続。 経済金融情勢分析情報誌刊行業務の傍ら「誰もが笑顔で生きてゆける社会」を実現する『ガーベラ革命』を提唱。人気政治ブログ&メルマガ「植草一秀の『知られざる真実』」を発行。1998年日本経済新聞社アナリストランキング・エコノミスト部門1位。『現代日本経済政策論』(岩波書店、石橋湛山賞受賞)、『日本の独立』(飛鳥新社)、『アベノリスク』(講談社)、『国家はいつも嘘をつく』(祥伝社新書)、『25%の人が政治を私物化する国』(詩想社新書)、『低金利時代、低迷経済を打破する最強資金運用術』(コスミック出版)、『出る杭の世直し白書』(共著、ビジネス社)、『日本経済の黒い霧』(ビジネス社)、『千載一遇の金融大波乱』(ビジネス社、2023年1月刊)など著書多数。 スリーネーションズリサーチ株式会社 http://www.uekusa-tri.co.jp/index.html メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」 http://foomii.com/00050

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