
「知られざる地政学」連載(104):アゼルバイジャン・アルメニア和平からウクライナ和平へ(下)
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8月8日の合意事項
ここまでの説明を理解してもらえれば、8月8日に、アリエフ大統領とパシニャン首相がトランプ大統領のもとで結んだ共同宣言の意味合いもわかってもらえるだろう(下の写真)。第一項目では、アゼルバイジャンとアルメニアが最終的な和平協定の署名・批准に向けて行動をつづけることが明記された。加えて、第四項目では、アルメニアが、米国および相互に決定された第三者と協力し、アルメニア領内における「国際平和と繁栄のためのトランプ・ルート」(TRIPP)接続プロジェクトの枠組みを定めるとされた。TRIPPこそ、前述した「ザンゲズル回廊」ということになる。
8月8日、アリエフ・アゼルバイジャン大統領(左)、トランプ米合衆国大統領、パシニャン・アルメニア首相は、ワシントンDCで開催されたアゼルバイジャン大統領・アルメニア首相会談に関する共同宣言に署名した。
(出所)https://president.az/en/articles/view/69572
ザンゲズル回廊=TRIPP
Politicoによると、アルメニアは、ザンゲズル回廊の土地に対し、米国に99年間の独占的特別開発権を付与することに同意した(図3を参照)。米国は、この土地をコンソーシアムにサブリースし、同コンソーシアムは27マイル(約43.45㎞)の回廊沿いに鉄道、石油、ガス、光ファイバー回線、および電力送電線の開発を進める。もちろん、高速道路も敷設される。つまり、アルメニアはアゼルバイジャンを利する開発を認めざるをえなくなったことになる。
図3 赤線のProspective corridor(計画中の回廊)が「ザンゲズル回廊」
(出所)https://www.economist.com/europe/2025/08/09/donald-trump-brokers-a-peace-plan-in-the-caucasus
図3からわかるように、もしこの回廊が完成すれば、アゼルバイジャンからトルコへの物流がアルメニアを経由せずに可能となる。さらに、トルコは、1993年のナゴルノ・カラバフ紛争時にアゼルバイジャンと連帯して閉ざしたアルメニアとの国境を開放することを決定するかもしれない。こうして、トルコからアゼルバイジャンへの投資が増加することが予想される。
米国がアゼルバイジャンとの関係改善に取り組んだことも、アゼルバイジャンへの投資を後押しするだろう。トランプは8月8日、「アゼルバイジャン政府への支援について 国務長官覚書」というタイトルで、アゼルバイジャンに関する自由支援法第907条の免除を拡大する大統領決定2025-08号に署名した。第907条は、1992年に制定された自由支援法の条項であり、アゼルバイジャンに対するアメリカ政府の直接援助を禁止していた。その背景には、米国内に多いアルメニア人の存在もある。
さらに、トランプはイスラエルの強固な同盟国であるアゼルバイジャンとの「戦略的パートナーシップ」も明らかにした。加えて、8月7日、ワシントンDCにおいて、アリエフ大統領とスティーブ・ウィトコフ米大統領特使の列席のもと、アゼルバイジャン国営石油会社(SOCAR)とエクソンモービルの幹部は協力覚書に調印した。
ロシアの譲歩
興味深いのは、ロシアがザンゲズル回廊への米国の関与を黙認し、事実上、南コーカサス地域への米国の影響力の拡大を受け入れた点だ。ウクライナ戦争のために、同地域への関心が薄れたとはいえ、ロシアにとってコーカサス地方は既得権益の一部であるとの認識が強かった。だからこそ、2020年11月のアルメニア、アゼルバイジャン、ロシアの3カ国共同声明によると、ロシア連邦保安局(FSB)国境警備隊がこの地域の輸送通信を管理することになっていた。しかし、アルメニアは、代替輸送プロジェクト(「世界の十字路」[アルメニア、トルコ、アゼルバイジャン、イランを通過する])を提案した。このプロジェクトでは、すべてのインフラがアルメニア、アゼルバイジャン、トルコ、イランといった通過国の主権と管轄権の下で運営され、ロシアは関与しない。わかってほしいのは、この南コーカサスの回廊が多くの国の地政学上の関心の的であった点だ。
ロシアの報道によると、トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は2025年7月上旬、アンカラでパシニャンと会談した直後、この問題についてアルメニアが譲歩する用意があることをほのめかした。さらに、7月中旬になって、トム・バラック駐トルコ米国大使兼シリア特使は、アルメニアとアゼルバイジャンの間のザンゲズル輸送ルートを管理するというワシントンの提案を明らかにした(Hürriyet Daily Newsを参照)。
2025年7月26日付の「コメルサント」は、アルメニアのパシニャン首相が2日間の日程でロシアを訪問し、ミハイル・ミシュスチン首相と会談した際、ザンゲズル回廊の管理に米国側が参加する可能性についてバクーとエレバンの間で水面下の交渉が行われている時期と重なっていたことから、「ロシア外務省は、西側諸国、とくに米国が南コーカサスのプロセスに干渉しようとしていることを批判した」、と報じた。ところが、8月11日付の「コメルサント」では、ロシア外務省のマリア・ザハロワ報道がつぎのようにのべたと伝えられている。
「ロシアは、南コーカサスにおける安定と繁栄の地帯の形成に関心をもっている。もっとも重要な条件の一つは、両国民の利益を考慮した上で、アゼルバイジャンとアルメニアの関係を包括的に正常化することである。我々は、地域の安全保障にとって重要なこの目標の達成に貢献するあらゆる努力を一貫して支持する。この点で、米国側の仲介によりワシントンで行われた南コーカサス首脳会議は、肯定的な評価に値するものである」。
どうやら、今回のアルメニアとアゼルバイジャンをめぐる和平問題で、ロシアは米国に花をもたせるべく一歩退いたことがわかる。おそらく、ウクライナ戦争の一時停止・和平問題があるために、プーチンとしては南コーカサスをめぐる問題で、トランプを怒らせるより、米国への協力姿勢を示そうとしたのではないかと考えられる。
本来であれば、昨年末からロシアとアゼルバイジャンとの関係は悪化していたから、プーチンはアゼルバイジャンを利するザンゲズル回廊開発を邪魔しても何ら不思議ではなかった。この関係悪化は、2024年12月25日、アゼルバイジャン航空(AZAL)の航空機がカザフスタンのアクタウ近郊に墜落したことを契機に起きたもので、アゼルバイジャン当局は直ちに「外部からの干渉」、つまりロシアの防空システムによって旅客機が撃墜された可能性が高いと主張した(AZAL機は、バクーからグロズヌイへ向かっていたところ、外部要因による損傷を受けて墜落した。この事故で、機内にいた67人のうち38人が死亡した。アリエフ大統領は、意図的な攻撃とは考えていないとしたうえで、公式な責任承認、関係者の処罰、および完全な補償を要求している)。
さらに、2025年6月、エカテリンブルクでアゼルバイジャン人に対する警察の捜査が行われ、2人が死亡したことで、危機は新たな段階に達した。アゼルバイジャンは、ロシアが外国人排斥、帝国主義、法執行の蛮行を行っているとして、異例の厳しい態度で非難した。アゼルバイジャンの法執行機関は、スプートニク通信社の現地支社で捜索と逮捕を行い、その社員をFSBの諜報員であると宣言し、また組織的犯罪集団に属しているとされるロシア人グループの拘束についても報告した。こうした深刻な状態でありながら、アゼルバイジャンを利するザンゲズル回廊の米国企業による開発に道を拓いたのは、ロシア側の米国への譲歩があったとみて間違いないだろう。
8月8日は、トランプが自身のSNSにおいて、プーチン大統領との会談が8月15日アラスカ州で開催されると発表した日であるとことを考えると、この話と、南コーカサス和平にかかわるロシアの譲歩は関連があるとみなすべきだろう(ところが、「トランプ憎し」のオールドメディアは米国側がプーチンから勝ち取った成果を報道しようとせず、ロシア側のメディアはプーチンの譲歩に口をつぐんでいる。ついでに、会談直前、プーチンはもう一つの譲歩を示した。プーチンは8月15日、サハリン1石油・ガスプロジェクトの株式を、米国の石油メジャー、エクソンモービルを含む外国投資家が取り戻すことを可能にする法令に署名したのである[ロイター通信を参照])。
アゼルバイジャンの今後:イランとの関係
ここで、アゼルバイジャンの今後について地政学的に考察してみよう。ロシア外務省のザンゲズル回廊への評価とは対照的に、イランの最高指導者の上級顧問であるアリ・アクバル・ヴェラヤティは8月9日、「この回廊はトランプの傭兵の出入り口にはならない。彼らの墓場になる」とのべ、この案を「不可能」であり、アルメニアの領土保全を損なうことを目的とした「政治的裏切り」であると断じた(「イラン・インターナショナル」を参照)。
ここで注目すべきはアゼルバイジャンとイランとの関係である。先に紹介した論文The Precarious Power of Azerbaijanによると、イランには約2000万人のアゼル人がおり、イラン人口の4分の1にも達する。アゼルバイジャンもシーア派が多数を占める国だが、イランはアゼルバイジャン国境付近での影響力が着実に弱まっている。イランとの国境の大部分をアゼルバイジャンが支配するようになり、イランのライバルであるトルコやイスラエルとの結びつきが強まった。2023年初頭の在テヘラン・アゼルバイジャン大使館に対する武力攻撃は、イラン当局が仕組んだとまではいかなくとも容認していたとアゼルバイジャンではみられており、アゼルバイジャン・イラン関係の暗転を意味した。
イラン北西部に多く住むこのアゼル人にとって、アゼルバイジャンとの民族的・歴史的なつながりを共有することを強調するのは、民族的な動員、あるいは分離主義的な願望を刺激する可能性がある。だからこそ、イランはアゼルバイジャンに強い警戒感をいだいている。イラン領内には、ナヒチェヴァン自治共和国という、アゼルバイジャンの飛地である自治共和国がある。1991年までは、ナヒチェヴァン自治ソビエト社会主義共和国としてアゼルバイジャン・ソビエト社会主義共和国の一部であったから、なおさら、イランは警戒心を隠さない。
しかも、2025年3月、トルコとアゼルバイジャンはナヒチェヴァンをトルコのガス網につなぐ新しいガスパイプラインを開通させ、ナヒチェヴァンの数十年にわたるイランのエネルギーへの依存度を下げた。
実は、ザンゲズル回廊そのものは、ナヒチェヴァン、つまりアゼルバイジャンからアゼルバイジャンへの道路であり、アゼルバイジャン人自身の安全な移動の問題の解決につながる。同時にアルメニア全土が開かれ、イランからジュルファ(ナヒチェヴァン自治共和国の都市)、ジュルファからアルメニアへの鉄道も開通すれば、輸送ルートは著しく拡大する。だがそれは、イランのこの地域での影響力がますます弱まることを意味している。
アゼルバイジャンの今後:EUとの関係
2022年7月18日、アゼルバイジャンとEUは、エネルギー分野における戦略的パートナーシップに関する覚書に署名し、エネルギー分野における既存の協力を深めることに合意した。同文書には、アゼルバイジャンのアリエフ大統領と欧州委員会のウルスラ・フォン・デア・ライエン委員長が署名した。この新たなエネルギー取引は、エネルギー供給を多様化させ、ロシア産ガスへの依存を削減するためのEUの取り組み「REPowerEU計画」の一環である。これは、2027年までに南部ガス回廊の能力を倍増させ、少なくとも年間200億㎥をEUに供給することを意味する。アゼルバイジャンはすでにEUへの天然ガス供給を増強しており、2021年の81億㎥から、2022年には120億㎥に達する見込みである。
ほかに注目されているのは、アゼルバイジャン、ジョージア(グルジア)、カザフスタンの輸送会社が2013年に開通させたルート、すなわち、「カスピ海横断国際輸送ルート」(TITR)である。一般に「中回廊」(Middle Corridor)とも呼ばれている。カザフスタン、カスピ海、アゼルバイジャン、ジョージアを通過し、さらにトルコやヨーロッパ諸国に接続するこの複合輸送ルートは、鉄道と海上輸送によって中国や東南アジアとヨーロッパを結んでいる。
インフラが整備され、国境越えも少ないロシアの「北方回廊」を通過する大陸横断貿易が多かったが、欧米諸国がロシアに制裁関税を課し、2022年以降に多くの外国企業がロシアから撤退したことで、「北方回廊」を経由する出荷量は激減し、「中回廊」を経由する貿易量は大幅に増加している。アジア開発銀行によると、「中回廊」を通過する中国のコンテナ列車の数は2023年から2024年にかけて33倍に拡大し、アゼルバイジャンとカザフスタンのカスピ海の港で扱われる貨物量は21%増加した(Jeffrey Mankoff, “Russia Is Losing Its Near Abroad: How America and Its European Allies Can Help Erode Mocow’s Declining Influence,” Foreign Affairs, 2025を参照)。
EUは、「グローバル・ゲートウェイ」と呼ばれる構想を推進している。信頼、持続可能性そして相互利益に基づいてデジタル、エネルギーおよび運輸分野におけるスマートでクリーンかつ安全な連携を促進し、世界中の医療、教育、および研究システムを強化する戦略で、グローバル・ゲートウェイは、2021年~2027年の間に、助成金、譲許的融資およびリスク回避のための民間部門の投資への保証を組み合わせて、全世界で最大3000億ユーロの投資を行うことを目指している。これは、すべてのEU諸機関、EU加盟国とその開発金融機関や輸出信用機関、欧州投資銀行、欧州復興開発銀行および欧州の民間部門を動員する「チーム・ヨーロッパ」方式を通じて実施されている。
2025年4月にウズベキスタンのサマルカンドで開催されたEU・中央アジア首脳会議において、EUは地域の連結性を強化するためのグローバル・ゲートウェイ構想の一環として、100億ユーロの追加投資を約束した。
ジョージアの行方
すでに指摘したように、今回のアゼルバイジャンとアルメニアの和平に向けた前進は、ロシアにとっては、コーカサス地域でのその影響力の低下に直結する。地政学的にみると、ロシアにとってもっとも重要なのは北コーカサスであり、その意味で、今後、注目されるのはジョージアとロシアとの関係だろう。
単純に考えれば、ザンゲズル回廊が将来、実際に機能するようになれば、これまでジョージアが担ってきたアゼルバイジャンからジョージアを経て黒海のオデーサ(ウクライナ)、コンスタンツァ(ルーマニア)、ブルガス(ブルガリア)といった港経由で中欧や北欧に向かうというジョージアの中継機能が失われる可能性がある。
さらに、ジョージア国内の政情不安という問題もある。おそらくウクライナがジョージア化する可能性があるので、この問題は近い将来、この連載で取り上げたい(「知られざる地政学」連載(92):リアリズムから見たウクライナ戦争の停戦・和平をめぐる問題点[上、下]で少しだけ論じたことがある)。ここでは、紙幅の関係から、これ以上は説明しない。
アゼルバイジャンのアリエフ問題
このところ、絶好調にみえるアリエフだが、彼にも問題は山積みだ。アリエフは、20年以上権力の座にありながら、政治的統制を強化し、反対意見を封じ込めつづけてきた。しかも、「2020年の44日間の戦争の後、アリエフのレトリックは、アルメニア人に対する彼の真の感情を示すように、より傲慢、屈辱的、脅迫的になったことに留意すべきである」と、2021年刊行の「アゼルバイジャンにおける外国人嫌いに関する報告書」(31頁)は指摘している。
さらに、アゼルバイジャンとトルコとの関係強化がアルメニア人への脅威となっている。この関係強化は、2021年6月15日、トルコのエルドアン大統領とアゼルバイジャンのアリエフ大統領が署名した「シュシャ宣言」(Susha Declaration)で、両国が同盟関係を結んだことによって体現された。アゼルバイジャンの軍隊を近代化し、防衛産業プロジェクトで協力するための共同イニシアチブがスタートし、トルコがアゼルバイジャンの国境を保証する役割を担うことを確認し、第三国による脅威や攻撃が発生した場合の相互支援を約束した。さらに、アゼルバイジャンにトルコ軍基地を設置する見通しを示したのである。
8月8日の共同宣言によって、両国関係はさらに緊密になるのは確実であり、それが南コーカサスの今後の方向性を決める要因となるだろう。
トランプのノーベル平和賞への道
最後に、余談だが、8月8日の共同宣言がトランプのノーベル平和賞受賞への扉を開いた点について説明しておきたい。アリエフとパシニャンは、ホワイトハウスでの会談で、ノーベル委員会に共同申請を出すと約束した。「ノーヴァヤガゼータ・ヨーロッパ」によれば、「ここ数ヶ月の間に、あなた方はアジア、アフリカ、そしてついに南コーカサスに平和をもたらした。これは信じられないことだ」とアリエフは感情を隠さなかった。パシニャンも、トランプの平和創造への「強いコミットメント」がなければ、アルメニアとアゼルバイジャンの和解の突破口はあと何年もなかっただろうと断言したという。
7月27日のTruthSocialへのビデオクリップのなかで、トランプは、「六つの戦争を停止させた。平均すると約1カ月ごとに一つの戦争を停止している」とのべている。さらに、ホワイトハウスのカロリン・リーヴィット報道官は、8月、タイとカンボジア、イスラエルとイラン、ルワンダとコンゴ民主共和国(DRC)、インドとパキスタン、セルビアとコソボ、そしてエジプトとエチオピアを挙げ、これらの戦争をトランプが停止させたと主張した。彼女は、「トランプ大統領は就任から6カ月の間に、平均して月に一つの和平合意や停戦合意を結んでいる 」と語った(YouTubeを参照)。
もちろん、個々にみると、彼女の主張を首肯することはできない。それでも、8月8日の共同宣言はそれなりに意義をもつ。
8月18日の執筆時点で、15日に米アラスカ州で実施された米ロ首脳会談では、ウクライナ戦争の一時停戦に向けた合意には至らなかった。トランプは一時停戦から和平協定をめざすのではなく、いきなり和平協定締結をめざす方針に転換したようだ(米ロ首脳会談については、「現代ビジネス」に公開した拙稿「メディアが報じない米ロ会談の真実「プーチンはここまで譲歩した」」を参照してほしい。本稿とこの拙稿を読めば、ゼレンスキーが「大きな譲歩」を求められている構図がわかるだろう。そこで重要な役割を果たしたのがウィトコフ特使であることもわかるだろう。何しろ、米ロ首脳会談の翌日、トランプといっしょにゴルフをしたのは彼であり、そうした信頼は、今回説明したアゼルバイジャンとアルメニアとの共同宣言にこぎつけたことでより一層堅固になっていたのである[「ウィトコフは米ロ間で壮大な協定を結ぶことを好んでいる。彼の交渉への関与は通常、ウクライナに不利益をもたらすものであった。また、並外れた無能さも際立っている」、と書いた8月13日付のThe Economistの記者の「無能」(incompetence)も指摘しておこう。ついでに、小谷某なる似非専門家もThe Economistの趣旨と同じ発言をしているのをテレビ朝日でみかけた。彼もまたincompetenceであり、そんな彼をテレビで流すテレビ朝日もincompetenceである])。いずれにしても、2025年の受賞者は10月10日に発表される。まだ時間は残されている。
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1956年生まれ。一橋大学大学院経済学研究科修士課程修了。学術博士。評論家。『帝国主義アメリカの野望』によって2024年度「岡倉天心記念賞」を受賞(ほかにも、『ウクライナ3.0』などの一連の作品が高く評価されている)。 【ウクライナ】 『ウクライナ戦争をどうみるか』(花伝社、2023)、『復讐としてのウクライナ戦争』(社会評論社、2022)『ウクライナ3.0』(同、2022)、『ウクライナ2.0』(同、2015)、『ウクライナ・ゲート』(同、2014) 【ロシア】 『プーチン3.0』(社会評論社、2022)、『プーチン露大統領とその仲間たち』(同、2016)、『プーチン2.0』(東洋書店、2012)、『「軍事大国」ロシアの虚実』(岩波書店、2009)、『ネオ KGB 帝国:ロシアの闇に迫る』(東洋書店、2008)、『ロシア経済の真実』(東洋経済新報社、2005)、『現代ロシアの経済構造』(慶應義塾大学出版会、2004)、『ロシアの軍需産業』(岩波新書、2003)などがある。 【エネルギー】 『核なき世界論』(東洋書店、2010)、『パイプラインの政治経済学』(法政大学出版局、2007)などがある。 【権力】 『なぜ「官僚」は腐敗するのか』(潮出版社、2018)、『官僚の世界史:腐敗の構造』(社会評論社、2016)、『民意と政治の断絶はなぜ起きた:官僚支配の民主主義』(ポプラ社、2016)、Anti-Corruption Policies(Maruzen Planet、2013)などがある。 【サイバー空間】 『サイバー空間における覇権争奪:個人・国家・産業・法規制のゆくえ』(社会評論社、2019)がある。 【地政学】 『知られざる地政学』〈上下巻〉(社会評論社、2023)がある。