
【無料公開】周防正行×指宿信「映画「それでもボクはやってない」から再審法改正まで」(動画)
社会・経済司法政治【無料公開】周防正行×指宿信「映画「それでもボクはやってない」から再審法改正まで」(動画)https://note.com/tonarimachicafe/n/n8405d7a8dc7f
周防正行監督は、2002年12月、新聞記事で、ある痴漢事件が東京高裁で逆転無罪になったことを知り、そこに書かれていた裁判の内容が信じられず、刑事裁判の取材を重ね、脚本を書き、映画『それでもボクはやってない』を監督されました。
しかし、映画を作り、完成してからも、監督の頭の中は司法に対する疑問で一杯でした。取調べの録音・録画の法制化を目指す「法制審議会」の委員にも選ばれ、法律の専門家たちに疑問をぶつけますがさらに疑問は深まるばかり。監督はそのまま取材と勉強を続けることになりました。
自分はやっていないと言い続けていると、いつまでたっても釈放されず、全ての自由を奪われたまま取調べを受け続けなければならない「人質司法」、検察官が有罪立証をするために必要な証拠(ベストエビデンス)だけを法廷に提出し、無罪方向の証拠は隠されているかもしれないという「ベストエビデンス(=証拠隠し)、密室で取調べられて作られる調書(検察官の作文)が有罪の決め手になる明らかにおかしい「調書裁判」、
そして、事件発生から58年たってやり直しの裁判で無罪となった「袴田事件」に代表される「冤罪事件」。
日本の司法制度は多くの問題を抱えています。
多くの人は、概ね日本の裁判は公正に行われていると信じていると思います。しかし、監督がこの23年間の取材を通して分かったことは、それは神話にすぎないということでした。
そして実は、日本ではたくさんの冤罪事件が今現在も起きています。
現在、「再審=やり直しの裁判」について、「再審法改正」が実現するかどうかという、司法業界にとってはとても大きな動きが起きています。でもそれは業界だけの問題ではなく、すべての人の問題なのです。
再審法改正を求める超党派議員連盟は379名と国会議員の過半数を超え、今国会での法案提出を目論んでいます。しかし、そこに立ちはだかるのは法務省です。
一体、法務省と国会議員の間で何が起きているのか。
映画にするなら『仁義なき戦い 国会死闘篇』です。
というわけで、今回は、成城大学法学部教授・指宿信さんと刑事司法にどっぷり浸かる映画監督・周防正行さんが「刑事司法の入り口」から最後の出口となる「再審」まで、現状の刑事司法制度についてとっても分かりやすく刺激的にお話いただきます。
これさえ知れば、呑気なミステリー小説や映画、テレビドラマの嘘も見えてくる!
ワイドショーでは一切取り上げてくれないけれど、実は刑事司法の歴史的転換点となるのが、今回の「再審法改正」です!
一人でも多くの方にご参加いただき、日本の司法の現状や問題について、そして今まさに動き出している「再審法改正」について理解を深めていただけたらと思います。
★出演者プロフィール★

●周防正行(すお・まさゆき)
1956年生まれ。東京都出身。
立教大学文学部仏文科在学中、映画評論家の蓮實重彦の講義を受けたのをきっかけに映画監督を志し自主映画を製作し始める。高橋伴明監督に志願し電話番からキャリアをスタート。助監督として年間10本以上の作品に参加し高橋伴明監督はもとより若松孝二監督、井筒和幸監督らの作品にも参加。その後『スキャンティドール 脱ぎたての香り』で1984年に脚本デビュー。
同年、小津安二郎監督にオマージュを捧げた『変態家族 兄貴の嫁さん』で監督デビュー。異彩を放つこの作品で注目の人となる。
1989年、本木雅弘主演『ファンシイダンス』で一般映画監督デビュー。修行僧の青春を独特のユーモアで描き出し大きな話題を呼び、再び本木雅弘と組んだ1992年の『シコふんじゃった。』では学生相撲の世界を描き、第16回日本アカデミー賞最優秀作品賞をはじめ、数々の映画賞を受賞。
1993年、映画製作プロダクション・アルタミラピクチャーズの設立に参加。
1996年の『Shall we ダンス?』では、第20回日本アカデミー賞最優秀賞13部門独占受賞。同作は全世界で公開され、2005年にはハリウッドリメイク版も制作され、2013年に宝塚歌劇団にて舞台化された。
2007年公開の『それでもボクはやってない』では、日本の刑事裁判の内実を描いてセンセーションを巻き起こし、キネマ旬報日本映画ベストワンなど各映画賞を総なめにし、2008年、第58回芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。
2011年6月に発足した法制審議会「新時代の刑事司法制度特別部会」の委員に選ばれる。
同年には巨匠ローラン・プティのバレエ作品を映画化した『ダンシング・チャップリン』を発表。銀座テアトルシネマでロングランヒットを記録。
2012年『終の信託』では、終末医療という題材に挑み、毎日映画コンクール日本映画大賞など映画賞を多数受賞。
2014年の『舞妓はレディ』では、個性的な歌と踊りとともに京都の花街を色鮮やかに描き出し、2018年には博多座で舞台化され好評を博した。
2016年、紫綬褒章を受章。
2018年、立教大学相撲部名誉監督就任。
2019年より「再審法改正をめざす市民の会」共同代表としても活動。
最新映画作品は、映画がまだサイレント(無声)だった大正時代に大活躍した活動弁士たちを描いた『カツベン!』(2019年公開、第43回日本アカデミー賞優秀監督賞他受賞)。
現在、総監督を務める、1992年公開の映画から30年後の教立大学相撲部を描くドラマ「シコふんじゃった!」が、Disney+にて配信中(全10話)。 東京都出身。

●指宿信(いぶすき・まこと)
1989年 北海道大学大学院博士後期課程単位取得。1991年 同法学博士。鹿児島大学教授、立命館大学法科大学院教授等を経て、2009年から成城大学法学部教授。専門は刑事訴訟法学、サイバー法、法情報学。
被疑者の取調べ問題や証拠開示問題などを研究。単著編著翻訳書多数。2017年に『シリーズ 刑事司法を考える』全7巻(岩波書店、2017年)の編集委員を務めた。誤判・えん罪関係の翻訳にも力を注いでおり、スコット・トゥロー『極刑──死刑をめぐる一法律家の思索』(共訳、岩波書店、2005年)やバリー・シェック他『無実を探せ!イノセンス・プロジェクト』(監訳、現代人文社、2009年)、ジェニファー・トンプソン-カニーノ他『とらわれた二人──無実の囚人と誤った目撃証人の物語』(共訳、岩波書店、2013年)などがある。近刊として、ギスリ・グッドジョンソン『(仮)虚偽自白の研究:レイキャビク・シックス事件』(共訳、現代人文社、2025年)刊行を予定している。
また裁判所に提出した法律鑑定意見書はこれまで30本以上に上る。テレビ出演や新聞でのコメントも多数。専門家としてこれまで3度にわたり国会で参考人陳述人も務める。2017年4月、更生支援や再犯防止の調査研究を目的とした「治療的司法研究センター」を成城大学に設立し初代センター長を務めている。
(本コンテンツは2025年5月12日に隣町珈琲で収録いたしました)
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