【連載】植草一秀の「知られざる真実」

植草一秀【連載】知られざる真実/2025年8月26日 (火) 財政政策発動をかき消す力

植草一秀

石破内閣が存続する可能性を高めている。

衆院総選挙が昨年10月、参院通常選挙が本年7月。

衆院解散がなければ全国規模の国政選挙は2028年まで行われない。

空白の3年が生まれる。

石破氏の自民党総裁任期は27年9月まで。

総裁任期満了までも2年ある。

衆院総選挙、参院通常選挙、そして東京都議選で自民党は三連敗。

石破氏の責任を問う声が噴出したのは当然のこと。

自民党では総裁選前倒しを要請する声が噴出した。

しかし、総裁選前倒しを決定する投票が「記名投票」にされた。

総裁選を実施しないことになる場合、総裁選前倒しに賛成した議員は冷や飯を食うことになる。

記名投票は総裁選前倒し票を減らす効果を持つ。

公正な選挙と言えない。

しかし、大きな論議もなく記名投票が決まった。

また、この間、メディアが石破内閣叩きを抑制した。

石破首相が辞任したときに誰が次の首相になるのか。

誰もが認める後継首相が不在のなかで、あえて石破降ろしをしなくてもという気持ちは分かる。

前回自民党総裁選で僅差で敗北した高市早苗氏が首相に就任することだけは御免だという国民は多い。

リベラル陣営の国民が高市首相誕生を阻止するために石破続投を支援したいという気持ちも分かる。

しかし、これだけで石破続投の流れが生まれてきたとは考えられない。

とりわけ、メディアの石破内閣擁護のスタンスの裏に大きな力が存在することを否めない。

強い力なくしてメディアが特定の方向に足並みを揃えることはない。

最大の要因は財務省の意向。

財務省が石破首相温存の強い意思を有していると見られる。

理由は単純明快。

石破氏がザイム真理教に沿う行動を示してきたことだ。

昨年10月総選挙での最大争点は消費税減税だった。

自公の与党完敗で消費税減税論議に弾みがつくはずだった。

ところが、2025年の通常国会で消費税減税は話題にすら上らなかった。

これに最大貢献したのは国民民主だ。

国民民主は「消費税減税」を「103万円の壁」にすり替えた。

結果として消費税減税は完全に姿を消した。

俎上に載せられた「103万円の壁」の結末を知る者は少ない。

2024年度の、ほとんど話題にもならなかった定額減税。

これでも減税規模は3.3兆円だった。

国税では2.3兆円減税。

これに対して、2025年度に実施された103万円の壁減税の規模は、わずかに0.7兆円だった。

2025年度は定額減税廃止で所得税負担は24年度比で2.3兆円増加する。

したがって、25年度の所得税負担は差し引き1.7兆円増税である。

消費税率を5%に引き下げる場合の減税規模は国・地方合わせて15兆円。

衆院で自公が過半数割れしたから、野党が結束すれば衆院で消費税率5%を可決できた。

これを参院が潰せば、どの党が潰したのかが明らかになり、その政党は本年の参院選で壊滅的な打撃を受けただろう。

消費税率5%を実現することは可能だったが石破内閣とこれに協力する国民民主が潰した。

参院選では2万円給付が掲げられたが、選挙後の混乱で、これも消滅しつつある。

もう一つ、高額療養費制度見直しというテーマも残る。

財務省は国民全体に恩恵が行き渡る財政政策を破壊しようとしている。

この政策運営にもっとも好都合なのが石破首相の続投である。

石破内閣存続が国民世論に沿うものだと勘違いすると大きな代償を支払わされることになる。

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植草一秀 植草一秀

植草一秀(うえくさ かずひで) 1960年、東京都生まれ。東京大学経済学部卒。大蔵事務官、京都大学助教授、米スタンフォード大学フーバー研究所客員フェロー、早稲田大学大学院教授などを経て、現在、スリーネーションズリサーチ株式会社代表取締役、ガーベラの風(オールジャパン平和と共生)運営委員。事実無根の冤罪事案による人物破壊工作にひるむことなく言論活動を継続。 経済金融情勢分析情報誌刊行業務の傍ら「誰もが笑顔で生きてゆける社会」を実現する『ガーベラ革命』を提唱。人気政治ブログ&メルマガ「植草一秀の『知られざる真実』」を発行。1998年日本経済新聞社アナリストランキング・エコノミスト部門1位。『現代日本経済政策論』(岩波書店、石橋湛山賞受賞)、『日本の独立』(飛鳥新社)、『アベノリスク』(講談社)、『国家はいつも嘘をつく』(祥伝社新書)、『25%の人が政治を私物化する国』(詩想社新書)、『低金利時代、低迷経済を打破する最強資金運用術』(コスミック出版)、『出る杭の世直し白書』(共著、ビジネス社)、『日本経済の黒い霧』(ビジネス社)、『千載一遇の金融大波乱』(ビジネス社、2023年1月刊)など著書多数。 スリーネーションズリサーチ株式会社 http://www.uekusa-tri.co.jp/index.html メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」 http://foomii.com/00050

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