【連載】櫻井ジャーナル

【櫻井ジャーナル】2025.08.27XML : ゼレンスキーの後釜としてネオ・ナチと親密なザルジヌイを英支配層は推し始めた

櫻井春彦

 イギリスの有力メディアのひとつ、​タイムズ紙は先日、ネオ・ナチの中核だった「右派セクター」で指導者のひとりだったセルヒー・ステルネンコを登場させ​、注目された。ステルネンコは2014年の5月2日にオデッサで引き起こされたネオ・ナチ集団による反クーデター派住民虐殺に関係している人物で、ロシアとの戦争継続を主張、​「もしゼレンスキー大統領が征服されていない土地を放棄するなら、彼は政治的に、そして実際に、死体になるだろう」とステルネンコは語っている​。

アメリカのバラク・オバマ政権がネオ・ナチを利用して仕掛けたクーデターで2014年2月22日にビクトル・ヤヌコビッチ政権は倒され、街中をネオ・ナチの一団が跋扈するようになった。そして5月2日、オデッサで虐殺が引き起こされたのだ。

 

その日の午前8時にオデッサへ列車で到着したサッカー・ファンの一団を右派セクターのメンバーが挑発、ネオ・ナチ主導のクーデターを拒否していた住民の活動拠点だった広場へ誘導していくのだが、その一方でネオ・ナチのメンバーは市民を労働組合会館へ避難するように説得、女性や子どもを中心に住民は建物の中へ逃げ込んだ。その建物の中で住民はネオ・ナチのグループに虐殺されたのだ。

 

焼き殺された人もいたが、撲殺されたり射殺された後、焼かれた人もいた。その際、屋上へ逃げられないよう、ネオ・ナチはドアはロックしていた疑いが濃厚だ。

 

このとき50名近くの住民が殺されたと伝えられているが、これは地上階で確認された死体の数にすぎない。地下室で惨殺された人を加えると120名から130名になると目撃者はその場で証言していた。この虐殺にステルネネコも参加していたということだ。

 

この虐殺の前、4月12日にCIA長官だったジョン・ブレナンがキエフを極秘訪問し、14日にはクーデター政権が東部や南部の制圧作戦を承認している。22日にはジョー・バイデン米副大統領がキエフを訪れ、その直後から軍事力の行使へ急速に傾斜していった。

 

クーデター直後、ウクライナはネオ・ナチ体制になったのだが、そうした状況は現在まで変わらない。ゼレンスキーがロシアとの和平の応じれば、ネオ・ナチによって殺される可能性がある。

 

ウクライナ/NATOがドンバスに対する本格的な軍事侵攻を実行する直前、2022年2月24日にロシア軍はドンバス周辺に終結していたウクライナ軍や軍事基地、あるいは生物兵器の研究開発施設を攻撃した。

 

ロシア外務省によると、その時にロシア軍が回収したウクライナ側の機密文書には、ウクライナ国家親衛隊のニコライ・バラン司令官が署名した2022年1月22日付秘密命令が含まれていた​。これにはドンバスにおける合同作戦に向けた部隊の準備内容が詳述されていた。

 

ロシア国防省のイゴール・コナシェンコフ少将によると、「この文書は、国家親衛隊第4作戦旅団大隊戦術集団の組織と人員構成、包括的支援の組織、そしてウクライナ第80独立空挺旅団への再配置を承認するもの」で、この部隊は2016年からアメリカとイギリスの教官によって訓練を受けていたという。

 

ロシア軍の攻撃が始まった直後からイスラエルやトルコを仲介役とする停戦交渉が始まる。​仲介役のひとりだったイスラエルの首相だったナフタリ・ベネットは、交渉の内容を長時間のインタビューで詳しく話している​。

 

ベネットは2022年3月5日にモスクワへ飛んでウラジミル・プーチン露大統領と数時間にわたって話し合い、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領を殺害しないという約束をとりつけることに成功、その足でベネットはドイツへ向かってオラフ・ショルツ首相と会っている。

 

その​3月5日、SBU(ウクライナ保安庁)のメンバーがキエフの路上でゼレンスキー政権の交渉チームで中心的な役割を果たしていたデニス・キリーエフを射殺​した。クーデター後、SBUはCIAの配下で活動している治安機関だ。

 

停戦交渉はトルコ政府の仲介でも行われ、やはり停戦でほぼ合意に達している。その際に仮調印されているのだが、​「ウクライナの永世中立性と安全保障に関する条約」と題する草案をプーチン大統領はアフリカ各国のリーダーで構成される代表団が2023年6月17日にロシアのサンクトペテルブルクを訪問した際に示している​。

 

こうした和平の流れを止めたのはイギリス。2022年4月9日、イギリスの首相だったボリス・ジョンソンがキエフへ乗り込み、ロシアとの停戦交渉を止めるように命令(​ココ​や​ココ​)、その後も姿勢を変えることはなかった。そのイギリスの対外情報機関MI-6にゼレンスキーは操られていると考えられている。

 

そのゼレンスキーをイギリスは「用済み」と判断したようで、切り捨てようとしている。その後継者と考えられている人物はバレリ・ザルジヌイ元軍最高司令官ではないかと言われている。ザルジヌイは昨年2月に解任され、5月から駐英大使。その当時のアメリカ大統領、ジョー・バイデンはウクライナに対して「玉砕攻撃」を命令、兵士を無駄死にさせる作戦に反対していたザルジヌイと対立していたのだ。

 

そのザルジヌイはネオ・ナチと親密な関係にあることでも知られる。今でもザルジヌイは多くの軍司令官とも連絡を取り合っているようで、軍への影響力は維持しているようだ。また、​ガザで住民を虐殺しているイスラエルを彼は模範と考えている​という。

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【​Sakurai’s Substack​】
※なお、本稿は「櫻井ジャーナル」https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/
のテーマは「米英金融資本は中露を破壊する「ゼレンスキーの後釜としてネオ・ナチと親密なザルジヌイを英支配層は推し始めた 」(2025.08.27ML)
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