
植草一秀【連載】知られざる真実/2025年8月31日 (日) 関東大虐殺から102年の追悼
社会・経済8月31日午後、千代田区駿河台下にある明治大学リバティータワー1階にあるリバティーホールにおいて
「関東大震災朝鮮人・中国人虐殺102年犠牲者追悼大会」
が開催された。
午後1時半から午後6時過ぎまで、満員の聴衆の中、息もつかせぬ意義深いプログラムが演じられた。
いまから102年前の1923年9月1日。
関東大震災が発生した。
この騒乱のなかで、朝鮮人、中国人、障碍者、地方出身者多数が虐殺された。
虐殺したのは日本国民、日本軍、官憲である。
きっかけになったのは流言・飛語。
その流言・飛語を拡散したのは内務省電信文だった。
内務省電信文によって「鼓舞」された各地の自警団が朝鮮人、中国人などを不当に虐殺した。
この事実はこれまでの調査、検証作業によって明らかにされている。
しかし、日本政府は虐殺の事実を認めていない。
したがって、謝罪も賠償もしていない。
日本はアジア諸国に対して加害責任を負っている。
先の大戦で日本は310万人の犠牲者を出した。
膨大な犠牲だが、見落としてならないことはアジアの同胞が2000万人以上犠牲になったということ。
アジア諸国で2000万人以上の命が失われた。
日本国民の犠牲をはるかに上回る犠牲者を出した。
その大半は日本軍による死者である。
国内の死者もアジア諸国の死者も、いずれも日本が国策を誤った結果としての犠牲が大半である。
1995年に村山富市氏が率直な見解を表出した。
いわゆる「村山談話」である。
日本は遠くない過去に国策を誤り、アジアの人々、そして日本の国民に大いなる加害を演じた。
具体的には「侵略」と「植民地支配」。
このことを率直に認めた上で、
「痛切な反省」と「心からのお詫び」
を表明した。
日本が近隣諸国から完全なる「赦し」を得るまで、日本は謝罪し続けなければならない。
「和解」は被害者が赦して、初めて成立する。
加害側が「十分誤ったから謝罪は終了」と決めるものではない。
日本のアジアへの加害は1974年の「明治6年政変」から継続的に実行されたもの。
「明治6年政変」は一般的には「征韓論」をめぐる閣内対立と捉えられる向きが多いが正しくない
明治政府の巨魁の一翼であった大久保利通が、同じく明治維新の巨魁の一翼であった江藤新平を虐殺、排除する契機になった事件である。
大久保は民権ではなく国権を優先、重視した。
これに対して江藤は国権よりも民権を重視し、とりわけ冤罪の発生阻止を目指した。
明治6年政変は明治の分岐点である。
「大久保の日本」になるのか「江藤の日本」になるのかの分岐点だった。
私は2004年の冤罪創作によって社会的生命を抹殺されたが、この事変を白井聡氏が次のように述べた。
『沈む日本 4つの大罪』(ビジネス社)
「竹中の日本」になるか「植草の日本」になるかの分岐点だった。
大久保は江藤を抹殺して人権無視の全体主義国家を創設した。
江藤の日本になっていたなら、日本は人権重視の国になっていたと思われる。
明治六年政変を契機とする政体変遷によって大久保が実権を握った。
大久保が遂行したのは内務省による日本支配の構造だった。
この大久保内務省が関東大震災朝鮮人中国人大虐殺を生み出したと言って過言でない。
政府は過去を隠蔽するのではなく、過去の過ちを直視する必要がある。
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植草一秀(うえくさ かずひで) 1960年、東京都生まれ。東京大学経済学部卒。大蔵事務官、京都大学助教授、米スタンフォード大学フーバー研究所客員フェロー、早稲田大学大学院教授などを経て、現在、スリーネーションズリサーチ株式会社代表取締役、ガーベラの風(オールジャパン平和と共生)運営委員。事実無根の冤罪事案による人物破壊工作にひるむことなく言論活動を継続。 経済金融情勢分析情報誌刊行業務の傍ら「誰もが笑顔で生きてゆける社会」を実現する『ガーベラ革命』を提唱。人気政治ブログ&メルマガ「植草一秀の『知られざる真実』」を発行。1998年日本経済新聞社アナリストランキング・エコノミスト部門1位。『現代日本経済政策論』(岩波書店、石橋湛山賞受賞)、『日本の独立』(飛鳥新社)、『アベノリスク』(講談社)、『国家はいつも嘘をつく』(祥伝社新書)、『25%の人が政治を私物化する国』(詩想社新書)、『低金利時代、低迷経済を打破する最強資金運用術』(コスミック出版)、『出る杭の世直し白書』(共著、ビジネス社)、『日本経済の黒い霧』(ビジネス社)、『千載一遇の金融大波乱』(ビジネス社、2023年1月刊)など著書多数。 スリーネーションズリサーチ株式会社 http://www.uekusa-tri.co.jp/index.html メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」 http://foomii.com/00050