
秋嶋亮(社会学作家)連載ブログ/31:日本を再ファシズム化させるもの
社会・経済このところスパイ防止法案が取り沙汰されているが、これが成立すれば、いよいよ日本のファシズム化は本格化するだろう。
維新、参政党、国民民主などが(公約を果たす格好で)この法案を提出すると意気込んでいるが、言うまでもなく、これは85年に自民党が統一教会の原案を元に作成した法案の焼き直しである。
どういうことかと言うと、与党がこれを再提出したとなれば世論の猛反発を食らうことから、野党側から発議された(トップダウンではなくボトムアップで提出された)法案を審議するという体裁を繕っているわけだ。
そもそもすでにテロ等準備罪や特定秘密保護法などが施行されており(安全保障関連の法案は過剰に整備されており)、スパイ防止法案という「重複法案」を提出する論拠が全く示されていないのだ。
ロシアでは「外国エージェント法」、中国や香港では「国家安全法」などのスパイ防止法に相当する法律があるが、いずれも条文が曖昧で、当局の自由解釈や拡張解釈によって運用されている。要するに、逮捕者の大半は外国の諜報活動に関わる者ではなく、反政府的な市民や、活動家や、ジャーナリストたちなのである。
スパイ防止法案もこれらと同じく反抗的な国民を(スパイとレッテルを貼ることで)監視・拘束・逮捕する狙いであり、治安維持法の史例からしても、このような法律が特定の団体や個人を標的にすることは明らかなのだ。
つまりこれは思想・表現・集会・言論・結社などを暴力的に取り締まる事実上の「治安立法」であり、EUがスパイ防止法を制定しないのは、このような事態が容易に予測され、「欧州人権条約」を脅かすことが確実だからである。
80年代にはスパイ防止法案反対運動が盛り上がり、市民団体や活動家が危険性を訴え廃案に追い込んだのだが、それから40年が経過する中で、中心世代が入れ替わり、「象徴的貧困(ITへの過度な依存により思考力の衰える現象)」が加速し、文化環境が劣化し、今や国民は何が問題なのかも不明なのである。
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☆秋嶋亮(あきしまりょう:響堂雪乃より改名) 全国紙系媒体の編集長を退任し社会学作家に転向。ブログ・マガジン「独りファシズム Ver.0.3」http://alisonn.blog106.fc2.com/ を主宰し、グローバリゼーションをテーマに精力的な情報発信を続けている。主著として『独りファシズム―つまり生命は資本に翻弄され続けるのか?―』(ヒカルランド)、『略奪者のロジック―支配を構造化する210の言葉たち―』(三五館)、『終末社会学用語辞典』(共著、白馬社)、『植民地化する日本、帝国化する世界』(共著、ヒカルランド)、『ニホンという滅び行く国に生まれた若い君たちへ―15歳から始める生き残るための社会学』(白馬社)、『放射能が降る都市で叛逆もせず眠り続けるのか』(共著、白馬社)、『北朝鮮のミサイルはなぜ日本に落ちないのか―国民は両建構造(ヤラセ)に騙されている―』(白馬社)『続・ニホンという滅び行く国に生まれた若い君たちへ―16歳から始める思考者になるための社会学』(白馬社)、『略奪者のロジック 超集編―ディストピア化する日本を究明する201の言葉たち―』(白馬社)、『ニホンという滅び行く国に生まれた若い君たちへOUTBREAK―17歳から始める反抗者になるための社会学』(白馬社)、『無思考国家―だからニホンは滅び行く国になった―』(白馬社)、などがある。