【連載】植草一秀の「知られざる真実」

植草一秀【連載】知られざる真実/2025年9月 6日 (土) 石破内閣後を考える必要

植草一秀

自民党が総裁選前倒しを決定すれば自民党は党首を選挙で選ぶプロセスに入る。

内閣が総辞職すれば衆議院では改めて総理指名の選挙が実施されることになる。

自民党が総裁選を実施することを決定する場合、石破茂氏は総裁選に出馬できるが、再選を果たすことは難しいだろう。

総裁選前倒しを求める声が優勢になることは、石破氏に引責辞任を求める声が優勢であることを意味するからだ。

過去、国政選挙で大敗した自民党党首は辞任して責任を明らかにした。

しかし、石破氏は首相の座に居座っている。

2010年に参院選で菅直人氏が率いる民主党が惨敗した。

菅直人内閣は参院選が菅内閣に対する信任投票であることを明言していたから、参院選惨敗を受けて菅直人首相が辞任するのが適正だったが、菅直人氏は首相の座に居座った。

その菅直人内閣が続くなかで東日本大震災と福島原発事故が発生。

原発廃止と東電の法的整理を決定しなければならなかったが、菅内閣はこの二つの最重要事項を実行しなかった。

その責任は重い。

石破氏は菅直人氏の流儀を後追いしている。

完全に晩節を汚したと言える。

結果責任から逃げた宰相として歴史に長く名を刻まれることになる。

参院選で大敗した直後、「日米関税交渉が決着すれば総理をやめる」と漏らしていたという。

これが「石破首相辞任」号外の根拠だった。

ところが、石破氏はその後に翻意した。

辞めずに総理の座に居座ることを目指した。

最大の援軍は財務省。

財務省は思惑があって石破氏を首相の座に居座らせたいと考えた。

この財務省がメディアに石破続投論を援護する報道を展開させた。

利用されたのがリベラルの「石破やめるなデモ」。

「石破やめるなデモ」で石破内閣が延命しているのではない。

メディアが「石破続投援護活動」を展開して「延命活動」が維持されてきた。

その本尊は財務省。

財務省と癒着する者が石破続投論を吹聴している。

しかし、ものごとを中立公正の立場から見る人には石破続投論の不正が明確に見える。

衆院総選挙で石破自公は大惨敗し、限りなく低く設定した勝敗ラインに届かなかった。

「敗軍の将兵を語らず」して潔く辞任するのが正道。

水戸黄門に印籠を突き付けられてひれ伏す場面で、立ち上がって「切りかかれ」と命じる往生際の悪い悪代官に成り下がっている。

財務省は石破氏がコントロールしやすいから石破氏続投を求めている。

石破氏が政権発足直後に主権者国民から支持されたのは、過去の自民党の利権政治と距離を置き、「石破カラー」を前面に出すと期待されたから。

ところが、石破カラーは幻想だった。

「企業団体献金は温存」

「大型減税は否定」

「80年談話は封印」

「原発推進」

「軍拡推進」

しか示していない。

この石破首相をリベラルが支援する根拠が不明だ。

主権者国民は参院選で明確に「石破内閣NO」を突き付けた。

世論調査で支持率が上昇したと喧伝されているが、世論調査が信用できないものであることはこの世の常識。

メディアが自作自演の世論調査を使って情報誘導しているだけだ。

自民党は総裁選前倒しを決定することになるだろう。

ギリギリのところで財務省支配政治による封殺を免れる。

主権者国民は石破内閣消滅後を考えなければならない。

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植草一秀 植草一秀

植草一秀(うえくさ かずひで) 1960年、東京都生まれ。東京大学経済学部卒。大蔵事務官、京都大学助教授、米スタンフォード大学フーバー研究所客員フェロー、早稲田大学大学院教授などを経て、現在、スリーネーションズリサーチ株式会社代表取締役、ガーベラの風(オールジャパン平和と共生)運営委員。事実無根の冤罪事案による人物破壊工作にひるむことなく言論活動を継続。 経済金融情勢分析情報誌刊行業務の傍ら「誰もが笑顔で生きてゆける社会」を実現する『ガーベラ革命』を提唱。人気政治ブログ&メルマガ「植草一秀の『知られざる真実』」を発行。1998年日本経済新聞社アナリストランキング・エコノミスト部門1位。『現代日本経済政策論』(岩波書店、石橋湛山賞受賞)、『日本の独立』(飛鳥新社)、『アベノリスク』(講談社)、『国家はいつも嘘をつく』(祥伝社新書)、『25%の人が政治を私物化する国』(詩想社新書)、『低金利時代、低迷経済を打破する最強資金運用術』(コスミック出版)、『出る杭の世直し白書』(共著、ビジネス社)、『日本経済の黒い霧』(ビジネス社)、『千載一遇の金融大波乱』(ビジネス社、2023年1月刊)など著書多数。 スリーネーションズリサーチ株式会社 http://www.uekusa-tri.co.jp/index.html メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」 http://foomii.com/00050

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