【連載】植草一秀の「知られざる真実」

植草一秀【連載】知られざる真実/2025年9月 9日 (火) 自民立民解体での政界再編

植草一秀

政治混迷の原因は政党政治の基本が守られていないことにある。

「政党と政党政治」について中学「公民」の教材は次のように解説する。

政党:政治に対する理念や方針に関して同じ考えを持つ人が集まり、主張を実現させるためにつくる政治団体のこと

政党政治:複数の政党が競いながら政治を行うこと

政治理念や基本政策方針について同じ考えを持つ人が集まり、その主張を実現させるための政治団体が政党。

ところが、一つの政党のなかに異なる考えを持つ人が集まっている。

これが政治混乱の大きな要因になっている。

問題が大きい政党が二つある。

自由民主党と立憲民主党。

したがって、同じ政党に投票する有権者にも相違が生じる。

現在の自民は大きく三つのグループの集合体。

1.日本の過去の加害責任を軽視し、日本を最高の国であるとして唯我独尊の主張を示す「極右」勢力

2.市場原理にすべてを委ね、弱肉強食を肯定し、米国の命令に服従する「新自由主義」勢力

3.利権を重視するが中国と必ずしも敵対せず財政の所得再分配機能を一定程度は重視する「中道」勢力

野党ではこの三つの考え方を示す勢力が、それぞれ独立した政党を組織している。

1の「極右」に分類されるのが保守と参政。

2の「新自由主義」に分類されるのが維新。

市場原理を強く重視するが公的事業を民間資本が簒奪(さんだつ)することには積極的。

「民営化」という名の「私物化」=「営利化」に極めて積極的な勢力。

3の「中道」に分類されるのが「公明」と「国民」。

他方、立憲民主党も「水と油の混合物」だ。

かつての民主党の「水と油同居体質」を継承した。

2017年の立民・国民分離で「水と油同居」を脱したと期待されたが、立民が右旋回して、かつての民主党の「水と油同居」に回帰した。

立民の二大勢力は

1.「隠れ自公」の性格を強く有する対米隷属・新自由主義勢力。

維新や国民民主と極めて近い勢力。

2.対米自立と財政の所得再分配機能を重視する勢力。

「リベラル勢力」と表現されることが多い。

立民も「水と油同居」で全体としての政治理念・基本政策方針が不明確。

与党の自民、野党第一党の立民が、いずれも「水と油同居」という特性を有している。

最大の問題は、選挙に際して主権者が基本政策を軸に投票先政党を選べないこと。

参院選では自民党支持者のなかの極右グループが石破自民に投票したくないと考えて参政および保守に投票した。

これが自民が議席を大幅に減らした一因である。

「対米自立と所得再分配機能重視」の主権者は立民への投票を躊躇した。

立民が前面に掲げる方針が「対米隷属と新自由主義」に傾いているからだ。

「対米自立と所得再分配機能重視」の考えを持つ主権者の一部はれいわ、共産、社民に投票したと考えられるが、革新勢力全体が勢力を縮小させていることに強い危機感を有している。

政党政治を機能させるには政党が政治理念と基本政策方針で明確に分化されることが重要。

極右、新自由主義、中道、革新の4勢力に現存政党がそれぞれまとまって分化されれば、政治は極めて分かりやすくなる。

自民内に著しく政治理念と基本政策方針が異なる勢力が同居しているのは、これら各勢力が「利権の獲得」という思惑で一致しているためだ。

政治を私腹を肥やす手段と捉えている。

企業献金を温存するのも政治を金儲けの手段と考えているからだ。

立民にも「対米自立・所得再分配機能重視」の考えを持つ者は存在するが、類似した考えを持つ者が共産、れいわ、社民に分散されて大きな力を発揮し得ない状況が生じている。

この4勢力も一つにまとまり、極右、新自由主義、中道、革新の4勢力の一角を明確に占有するべく連帯するべきだ。

政治は既存政党のために存在するものでない。

主権者のための政治を実現するには、政党が政治理念と基本政策方針に沿って分かりやすく分立されることが必要不可欠だ。

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植草一秀 植草一秀

植草一秀(うえくさ かずひで) 1960年、東京都生まれ。東京大学経済学部卒。大蔵事務官、京都大学助教授、米スタンフォード大学フーバー研究所客員フェロー、早稲田大学大学院教授などを経て、現在、スリーネーションズリサーチ株式会社代表取締役、ガーベラの風(オールジャパン平和と共生)運営委員。事実無根の冤罪事案による人物破壊工作にひるむことなく言論活動を継続。 経済金融情勢分析情報誌刊行業務の傍ら「誰もが笑顔で生きてゆける社会」を実現する『ガーベラ革命』を提唱。人気政治ブログ&メルマガ「植草一秀の『知られざる真実』」を発行。1998年日本経済新聞社アナリストランキング・エコノミスト部門1位。『現代日本経済政策論』(岩波書店、石橋湛山賞受賞)、『日本の独立』(飛鳥新社)、『アベノリスク』(講談社)、『国家はいつも嘘をつく』(祥伝社新書)、『25%の人が政治を私物化する国』(詩想社新書)、『低金利時代、低迷経済を打破する最強資金運用術』(コスミック出版)、『出る杭の世直し白書』(共著、ビジネス社)、『日本経済の黒い霧』(ビジネス社)、『千載一遇の金融大波乱』(ビジネス社、2023年1月刊)など著書多数。 スリーネーションズリサーチ株式会社 http://www.uekusa-tri.co.jp/index.html メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」 http://foomii.com/00050

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