
植草一秀【連載】知られざる真実/2025年9月16日 (火) ザイム真理教支配下の自民党
社会・経済昨年来、経済政策についての論議が高まった。
このなかで、財政政策を活用して国民生活を支援する政策が必要との主張が強まった。
諸悪の根源はどこにあるか。
財務省だ。
財務省解体論も盛り上がりを示した。
だが、結果はどうか。
大山鳴動して鼠一匹も出てこない。
何も変わらない。
逆に、財務省の思惑通りに世の中が動いている。
気を付けなければならないことは、「財務省にモノを申す」とアピールする者が実は財務省と裏で手を握っていることが多いこと。
多くの国民が騙されている。
そのことを三つの断面で明らかにしてみる。
第一の断面は2025年度の予算審議。
結果として何が実現したのか、しなかったのか。
第二の断面は参院選後の推移。
参院選で石破自公は大惨敗したが、石破内閣を温存しようとする動きが顕著になった。
第三の断面は自民党党首選。
自民党党首選の候補者がほぼ出そろった状況だが、その先に見えるものは何か。
2025年度の予算審議で抜本的な物価対策が求められた。
減税なのか、歳出拡大なのか、あるいはその一類型としての給付金なのか。
昨年10月の総選挙で争点に浮上したのは消費税減税。
消費税率を5%に引き下げる提案、消費税を廃止する提案などが提示された。
消費税率5%への引き下げで減税規模は15兆円。
廃止なら減税規模は30兆円。
いきなり廃止は現実的選択とは言えないだろう。
消費税廃止でなくても消費税率5%なら大型減税と言える。
これで野党が足並みを揃えれば、2025年の通常国会で消費税率5%を法定化できた。
しかし、立憲民主党は消費税減税に極めて消極的。
国民民主党は選挙戦では消費税率5%を公約に掲げたが選挙が終わると完全に封印。
代わりに提示したのが103万円の壁。
自公と協議して「手取りを増やす」結果を生み出すとしたが、成果はほぼゼロだった。
20205年度税制改正で所得税は1.6兆円増税に終わった。
このことを知る国民はほとんどいない。
メディアが一切報道していないからだ。
他方、社会保険への加入が免除される106万円と130万円の境界が取り払われることになった。
パートタイム労働者も社会保険への加入を強要される。
この結果、労働者の手取りは16万円ないし27万円も減る。
大制度改悪が強行された。
国民民主の提案は大型減税を潰し、国民負担を大幅に増大させる結果をもたらした。
岸田首相は「賃上げ、賃上げ」と騒ぎ、一部の大企業で賃上げは実施されたが、インフレが賃上げを上回り、労働者の実質賃金は減少し続けた。
中小企業では賃上げなど行われていない。
中小企業で働く労働者はインフレで実質賃金の大幅減少に直面している。
昨年総選挙で自公が過半数割れに転落。
野党勢力が過半数議席を得たが国民生活を支える政策は何も打たれていない。
石破首相が辞意を表明して自民党が新しい党首を選出するが投票日は10月7日。
そのあとに次の政権がどうなるかが決まり、新しい政権が政策を打ち出すには、その後に臨時国会を開く必要がある。
政治の世界では結局、権力の争奪戦しか行われず、主権者である国民は放置され続けている。
その政策無策を主導しているのが財務省であることを再確認する必要がある。
続きは本日の
メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」
第4190号
「日本財政の客観的分析」
でご高読下さい。
内外情勢激動の機会にメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」ご購読をお願いします。
『ザイム真理教』(森永卓郎著)の神髄を深堀り、最重要政策争点財務省・消費税問題を徹底解説する新著を上梓しました。
『財務省と日銀 日本を衰退させたカルトの正体』
(ビジネス社)
ご高読、ならびにアマゾンレビュー、ぜひぜひ、お願いします。
メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」
のご購読もよろしくお願いいたします。
メールマガジンの購読お申し込みは、こちらからお願いします。(購読決済にはクレジットカードもしくは銀行振込をご利用いただけます。)なお、購読お申し込みや課金に関するお問い合わせは、support@foomii.co.jpまでお願い申し上げます。
※なお、この記事は下記からの転載であることをお断りします。
植草一秀の『知られざる真実』2025年9月16日 (火)「ザイム真理教支配下の自民党」
http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2025/09/post-797c9e.html
– – – – –– – – – – – – – – – – – – – – – – – – –
スリーネーションズリサーチ株式会社
http://www.uekusa-tri.co.jp/index.html
メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」
http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2025/03/post-317af8.html
– – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – –
※ISF会員登録およびご支援のお願いのチラシ作成しました。ダウンロードはこちらまで。
ISF会員登録のご案内

植草一秀(うえくさ かずひで) 1960年、東京都生まれ。東京大学経済学部卒。大蔵事務官、京都大学助教授、米スタンフォード大学フーバー研究所客員フェロー、早稲田大学大学院教授などを経て、現在、スリーネーションズリサーチ株式会社代表取締役、ガーベラの風(オールジャパン平和と共生)運営委員。事実無根の冤罪事案による人物破壊工作にひるむことなく言論活動を継続。 経済金融情勢分析情報誌刊行業務の傍ら「誰もが笑顔で生きてゆける社会」を実現する『ガーベラ革命』を提唱。人気政治ブログ&メルマガ「植草一秀の『知られざる真実』」を発行。1998年日本経済新聞社アナリストランキング・エコノミスト部門1位。『現代日本経済政策論』(岩波書店、石橋湛山賞受賞)、『日本の独立』(飛鳥新社)、『アベノリスク』(講談社)、『国家はいつも嘘をつく』(祥伝社新書)、『25%の人が政治を私物化する国』(詩想社新書)、『低金利時代、低迷経済を打破する最強資金運用術』(コスミック出版)、『出る杭の世直し白書』(共著、ビジネス社)、『日本経済の黒い霧』(ビジネス社)、『千載一遇の金融大波乱』(ビジネス社、2023年1月刊)など著書多数。 スリーネーションズリサーチ株式会社 http://www.uekusa-tri.co.jp/index.html メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」 http://foomii.com/00050