
植草一秀【連載】知られざる真実/2025年9月18日 (木) 日本の”みらい”を切り拓く
社会・経済メディアは自民党の党首選に多大な時間を注ぐ。
しかし、一政党の党首選に過ぎない。
これまで自民党が政権の真ん中に居座り、日本の政治利権を集中的に掌握してきたから、メディアもそのコントロールの下にある。
これがメディア過剰報道の背景。
だが、これこそ旧態依然そのものだ。
「みらい」は開けない。
自民党の党首が変わっても政策運営が変わらなければ国民生活は変わらない。
大事なことは日本国民がどのような政権を樹立して、どのような政策を遂行させるのかだ。
自公の政権与党は衆参両院で過半数割れに転落した。
もはや、自公は政権を担う負託を国民から受けていない。
自公に代わる政権担当能力のある政治勢力が存在すれば、直ちに政権を樹立して新しい政策運営を始動させることになる。
ところが、自公以外の政治勢力がばらばらで、自公が過半数割れに転落しても直ちに次の政権樹立を準備できない。
日本政治は混とん、混迷の時代に移行した。
自民党が新しい党首を選出しても政策路線を刷新しなければ国民の強い支持を回復することはできないだろう。
自民党党首選に名乗りをあげる候補者は1年前の党首選と変わらない。
国民にとって重要なテーマが四つある。
第一は経済政策。
バブル崩壊後の日本は停滞し続けている。
その最大理由は財務省にある。
財務省の政策運営が日本経済長期低迷持続の基本理由と言える。
このことは拙著
『財務省と日銀 日本を衰退させたカルトの正体』(ビジネス社)
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第二は平和と安定の維持。
2010年から中国の脅威が叫ばれて日本は対中国戦争準備に突き進んでいる。
中国脅威論の是非を明らかにし、日本の対応の是非を明らかにしなければならない。
第三は福島原発事故後の原発政策の是非を明らかにすること。
日本はあやうく国土を喪うところだった。
奇跡が重なり最悪の事態を回避した。
しかし、その経験をその後の政策運営に生かしていると言えるか。
第四は政治腐敗の根絶。
自民党は裏金事件で金権腐敗体質を露わにした。
しかし、政治腐敗を根絶する姿勢を示さない。
これが、自民党が国民支持を回復できない最大の原因だろう。
また、日本の議員報酬は他の主要国と比較しても突出して高い。
国民の賃金水準が停滞を続けるなかで議員だけが法外な高所得を得ている。
公務員の本質は全体の奉仕者。
ところが現実は国民が公務員である議員の奉仕者になっている。
この四つの問題に対する明確な方針。
これが政権の骨格になる。
自民は旧態依然だが、野党が斬新な政権構想を示しているとは言えない。
多くの野党は政治刷新ではなく、自公利権政治への参画を目指しているように見える。
自公政治を変えるのではなく、自公政治への仲間入りを目指す。
維新も国民も立民も同じにしか見えない。
立民幹事長に安住淳氏が就任して自民の森山裕氏と握手を交わした。
これまでテーブルの下で握り合っていた姿を表に出したものだ。
「みらい」を切り拓くには新しい政権の構想を明示することが必要だ。
続きは本日の
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植草一秀の『知られざる真実』2025年9月18日 (木)「日本の”みらい”を切り拓く」
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植草一秀(うえくさ かずひで) 1960年、東京都生まれ。東京大学経済学部卒。大蔵事務官、京都大学助教授、米スタンフォード大学フーバー研究所客員フェロー、早稲田大学大学院教授などを経て、現在、スリーネーションズリサーチ株式会社代表取締役、ガーベラの風(オールジャパン平和と共生)運営委員。事実無根の冤罪事案による人物破壊工作にひるむことなく言論活動を継続。 経済金融情勢分析情報誌刊行業務の傍ら「誰もが笑顔で生きてゆける社会」を実現する『ガーベラ革命』を提唱。人気政治ブログ&メルマガ「植草一秀の『知られざる真実』」を発行。1998年日本経済新聞社アナリストランキング・エコノミスト部門1位。『現代日本経済政策論』(岩波書店、石橋湛山賞受賞)、『日本の独立』(飛鳥新社)、『アベノリスク』(講談社)、『国家はいつも嘘をつく』(祥伝社新書)、『25%の人が政治を私物化する国』(詩想社新書)、『低金利時代、低迷経済を打破する最強資金運用術』(コスミック出版)、『出る杭の世直し白書』(共著、ビジネス社)、『日本経済の黒い霧』(ビジネス社)、『千載一遇の金融大波乱』(ビジネス社、2023年1月刊)など著書多数。 スリーネーションズリサーチ株式会社 http://www.uekusa-tri.co.jp/index.html メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」 http://foomii.com/00050