【連載】今週の寺島メソッド翻訳NEWS

☆寺島メソッド翻訳NEWS(2025年9月30日):外国人から見た「日本軍国主義」の過去・現在・未来

寺島隆吉

※元岐阜大学教授寺島隆吉先生による記号づけ英語教育法に則って開発された翻訳技術。大手メディアに載らない海外記事を翻訳し、紹介します。

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以下の寄稿記事で、ピープルズ・フォーラム社(英国)のステファン・チャン氏が概説してくれているのは、アメリカ合衆国が、日本の軍国主義やファシズムが醸成された土壌を根絶するどころか、80年前の日本の降伏後に日本を占領した国として、戦争犯罪者の筆頭であった裕仁天皇を解放することで、自国の覇権的な野望の実現の一助としてきたことについてだ。その結果、現在アメリカ合衆国は、従属国である日本とともに、アジア・太平洋地域の平和に対する最大の脅威となっている。警戒が必要である。

80年前の1945年8月15日、アジア太平洋地域における第二次世界大戦の終結を記念して、私たちは警戒を続けなければなりません。

戦時中の日本の天皇であった裕仁は、米国の主張で罰を免れた戦犯でした。裕仁は、日本の主権国家への侵略と、第二次世界大戦中にアジア太平洋地域で何百万人もの民間人に与えられた死と残虐行為に直接的かつ個人的に関与していました。裕仁の玉音放送は、アジア太平洋地域の人々に対する日本の野蛮な戦争の宣言や実行、さらには降伏に関する嘘、半分が嘘である真実、事実の歪曲に満ちています。

裕仁は降伏演説の中で、アジア太平洋における日本の4年間の戦争に言及しました。これはあからさまな嘘でした。日本は1931年9月18日に中国北部の一部、すなわち満州地域に侵攻・占領し、1932年には上海を攻撃・爆撃し、1937年には中国の他の地域への戦争を拡大していました。裕仁の放送の中の4年間(1941-1945)という発言は、ファシスト日本が1931年から中国の一部を侵略・占領し、1937年に南京で30万人の中国民間人、男女、子どもを虐殺したような残虐行為を排除し、無視しようとする意図的な試みであったと言えます。

ファシスト日本は1945年8月15日に連合国(中国とソ連、イギリス、アメリカ)に無条件降伏を宣言し、1945年9月2日に正式に降伏しました。中国は1945年9月3日に日本の侵略者に対する中国人民の戦争の終結を宣言し、1945年9月9日に日本の中国への正式な降伏式がおこなわれました。中国はアジアの大部分を形成し、日本の戦争犯罪と残虐行為によって最も深刻な被害を受けたため、アジアでの第二次世界大戦は戦犯裕仁が主張する4年ではなく14年間続いた、というのが正しいところです。

なぜ裕仁は戦犯として裁かれなかったのでしょうか?それは、米国が第二次世界大戦後の世界帝国支配をさらに進めるために、アジア太平洋地域にファシスト傀儡政権を望んでいたからです。裕仁は1989年に亡くなるまで日本の天皇であり続けました。1971年、米国の従属国である英国は、この戦犯に公式国賓訪問という最高の栄誉を与えました。裕仁と米国が起草した戦後日本の憲法の下で、日本は第二次世界大戦の終わりから現在まで、米国の事実上の傀儡国家であり続けています。

1957年から1960年まで日本の首相を務めた岸信介は、1931年の中国侵攻後、1932年から中国満州地域における日本の搾取的な経済・産業政策の首謀者であり、日本の利益のために何百万人もの中国人を奴隷にしたことを忘れてはいけません。この地方には、生物兵器のための日本の秘密軍事実験施設(生きた中国人や韓国人、ロシア人、その他の男性や女性、子供を対象とする)である日本の第731部隊の本拠地もありました。

731部隊の指導者は、日本が生物兵器実験の発見と結果を米国に完全に開示する代わりに、米国の主張により戦争犯罪で起訴されませんでした。(ソ連政府だけが1949年12月にハバロフスクに特別軍事法廷を設置し、戦時中の活動に関連した刑事告発で731部隊の12人の元日本軍将校の合同裁判を開催しました。)中国の常徳市と寧波市への腺ペスト攻撃を指揮した731部隊司令官石井四郎軍医総長は、戦犯裕仁から特別奉仕勲章を授与され、1948年に米国から人道に対する戦争犯罪の免責を与えられました。その後、彼は米国に雇われ、フォート・デトリック基地の米軍将校に生物兵器の使用と731部隊の調査結果について講義したこともあります。

北野政次(まさじ)将軍は、1942年から731部隊の2代目司令官を務めました。彼もまた、戦争犯罪の訴追を免除され、捕虜として釈放され、1946年に日本に送還されました。北野は生物兵器の知識を活かして、1950年に緑十字社の創設者となりました。この会社は、現在は三菱製薬株式会社として知られる日本有数の製薬会社となっています。米国の日本の戦争犯罪隠蔽を主導した米国将校マレー・サンダースは、緑十字社の顧問になりました。

1941年、岸は日本の第二次世界大戦内閣の一員となりました。彼は日本の降伏でA級戦犯として裁判を受けるために逮捕されました。しかし、米国は1948年に彼を起訴せずに釈放し、戦後の日本の指導者として育成しました。この戦犯は1953年に日本の国会議員に選出されました。米国の支援を受けて、彼は日本の社会党と共産党の影響力に対抗するために日本の保守派を統合しました。1955年、彼は自民党の設立に尽力しました。彼はまた、自民党が日本の支配政党であり続けるための基礎を提供した「1955年体制」の確立の鍵を握った人物でもあります。

岸(戦争犯罪人から日本の首相に転身した)の弟の佐藤栄作は、1964年から1972年まで日本の首相を務めました。岸の孫である安倍晋三は、2012年から2020年まで日本の首相を務めました。

今、以下のことを知っておく必要があります。

日本の軍事力は世界第5位であり、現在の軍事予算に基づくと、米国と中国に次ぐ第3位になると予測されています。

米国は日本に120の現役軍事基地と5万5千人の軍人を擁しています。

日本には、米国最大かつ最も重武装した海外軍事基地があります。

米軍は、日本の第二次世界大戦中の第731部隊による生きた人間を対象とした生物兵器研究の主要かつ最大の受益者です。

第二次世界大戦以来の「自由世界」の先駆者であり、民主主義と人権の灯台を自称し、日本の人道に対する戦争犯罪の当事者である米国は、今日、傀儡属国である日本とともに、アジア太平洋地域および世界の平和に対する最大の脅威となっています。

80年前の第二次世界大戦の終結を記念する一方で、第二次世界大戦終結以来の80年間のすべてではないにしても、そのほとんどで主権国家に対して秘密および公然とした戦争をおこなってきた世界の主要国は米国であることを忘れてはなりません。

 

※なお、本稿は、寺島メソッド翻訳NEWS http://tmmethod.blog.fc2.com/

の中の「外国人から見た「日本軍国主義」の過去・現在・未来(2025年9月30日)

http://tmmethod.blog.fc2.com/

からの転載であることをお断りします。

また英文原稿はこちらです⇒Japanese Militarism Has Not Changed Its Spots Since The End Of WWII
筆者: ステファン・チャン(Stephen Chang)
出典:Popular Resistance. org  2025年8月23日https://popularresistance.org/japanese-militarism-has-not-changed-its-spots-since-the-end-of-wwii/

寺島隆吉 寺島隆吉

国際教育総合文化研究所所長、元岐阜大学教授

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