【連載】櫻井ジャーナル

【櫻井ジャーナル】2025.10.01XML :国連総会で演説した元「テロリスト」は世界ユダヤ人会議会長や元CIA長官と歓談

櫻井春彦

 シリアの暫定大統領を務めるアフマド・ア-シャラー(アブ・モハメド・アル-ジュラニ)が9月21日にニューヨークへ到着、24日に国連総会で国家元首として演説した。

この人物がシリアの暫定大統領に就任する前に率いていたハヤト・タハリール・アル・シャム(HTS)はアル-ヌスラ戦線と呼ばれていた組織で、その組織の前身はAQI(イラクのアル・カイダ)。アル-ヌスラ戦線を編成するよう彼に命令した人物はダーイッシュ(ISIS、ISIL、IS、イスラム国などとも表記)を創設したアブ・バクル・アル-バグダディ。ダーイッシュ時代にア-シャラーはアル-バグダディの副官を務めていたと言われている。

 

本ブログでは繰り返し書いてきたように、「アル・カイダ」という組織が存在しているわけではない。​イギリスの外務大臣を1997年5月から2001年6月まで務めたロビン・クックが05年7月に書いているように、「アル・カイダ」は「ベース」を意味し、CIAの訓練を受けた「ムジャヒディン」の登録リストを指していた​。プロジェクトが決まると、そのリストから戦闘員を選ぶだけだ。

 

ダーイッシュを含むアル・カイダ系武装集団はアメリカやイスラエルを基本的には攻撃してこなかった。殺害の相手はアラブ人やペルシャ人である。その理由はアル・カイダの仕組みを理解すればわかる。かつては「テロリスト」というタグをつけて暴れ回り、欧米諸国が侵略戦争を繰り広げる口実を作っていたが、今は欧米諸国の代理人としてシリアを支配しようとしている。

 

イスラエルは9月9日にカタールのドーハを空爆した。そのドーハでアラブ・イスラム緊急首脳会議が開かれ、ア-シャラーも参加していたのだが、イスラエルと敵対する姿勢は見られない。ダマスカスを陥落させた日にア-シャラーはヒズボラとイランが真の脅威だと宣言していた。イスラエルではないというわけだ。その姿勢がドーハ後も継続されているようだが、イスラエルに屈服し、アメリカに同調すれば破滅する。

 

イギリスの対外情報機関MI6の長官を10月1日に辞めるリチャード・ムーアは9月19日、トルコのイスタンブールにあるイギリス領事館で退任の演説をした​。その中で彼はHTSとの関係をバシャール・アル-アサド政権が倒される「1、2年前」に築いていたことを認めた。アラブ世界では2021年からだとされている。そうした関係がアル-アサド政権が崩壊した後にイギリスがシリアとの外交を復活させることを可能にしたとしている。

 

アル-シャラは9月12日、ロシアとの合意の一環としてダマスカスで権力を掌握したと語っているのだが、HTSはトルコを後ろ盾としていただけでなく、アメリカやイギリスとも関係はあったはずた。

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【​Sakurai’s Substack​】
※なお、本稿は「櫻井ジャーナル」https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/
のテーマは「英政府は移民問題を口実にしてデジタルIDを導入、社会の収容所化を推進 」(2025.09.30XML)
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