
【櫻井ジャーナル】2025.10.02XML :対中露戦争に備え、自衛隊の駆逐艦がトマホークの発射能力を獲得するため米国へ
国際政治自衛隊は離れた場所からの攻撃能力を高めるため、2025年度から27年度にかけてトマホークの取得を予定。その一環として駆逐艦「ちょうかい」が9月26日にアメリカのサンディエゴへ向かって出航した。改修や乗員訓練を行うためだ。今年度中にトマホークの発射能力を獲得、来年夏頃まで実射試験を実施、乗員を訓練するという。
アメリカ国防総省系のシンクタンク「RANDコーポレーション」が2022年4月に発表した報告書によると、GBIRM(地上配備中距離弾道ミサイル)で中国を包囲する計画を彼らは持っている。日本は国防総省の計画に基づき、GBIRM(地上配備中距離弾道ミサイル)で中国を包囲する計画を進め、自衛隊は2016年に与那国島でミサイル発射施設を建設、19年には奄美大島と宮古島、そして23年には石垣島でも施設を完成させた。
2022年10月になると、「日本政府が、米国製の巡航ミサイル『トマホーク』の購入を米政府に打診している」とする報道があった。亜音速で飛行する巡航ミサイルを日本政府は購入する意向で、アメリカ政府も応じる姿勢を示しているというのだ。
トマホークは核弾頭を搭載でる亜音速ミサイルで、地上を攻撃する場合の射程距離は1300キロメートルから2500キロメートル。核弾頭を搭載することも可能で、中国やロシアの内陸部にある軍事基地や生産拠点を先制攻撃できる。
2023年2月、浜田靖一防衛相は亜音速巡航ミサイル「トマホーク」を一括購入する契約を締結する方針だと語ったが、10月になると木原稔防衛相はアメリカ国防総省でロイド・オースチン国防長官と会談した際に、「トマホーク」の購入時期を1年前倒しすることを決めたという。当初、2026年度から最新型を400機を購入するという計画だったが、25年度から旧来型を最大200機に変更するとされている。ウクライナではトマホークの供与をめぐって揉めているのだが、日本ではいとも容易く決まった。
海上自衛隊は8月4日から12日にかけてイギリス、アメリカ、オーストラリア、スペイン、そしてノルウェーとフィリピン海で軍事演習を実施した。アメリカからは空母「ジョージ・ワシントン」、イギリスからは空母「プリンス・オブ・ウェールズ」、そして日本からは空母「かが」を含む艦船が参加している。
どのようなタグが付けられていようとも、「かが」は航空母艦にほかならない。2022年3月に広島県呉市のジャパンマリンユナイテッド造船所で初期改修を開始、24年4月に完了した。さらに艦内の改修が26年後半に始まり、27年度末までに完了する予定だ。
この改修はF-35B運用に向けてのもの。飛行甲板の艦首部分を台形からアメリカ海軍のワスプ級およびアメリカ級強襲揚陸艦に見られるような正方形に形状を変更した。姉妹艦の「いずも」の改修は2024年度に開始、26年度末に完了する予定になっている。
イギリスは同じアングロ・サクソン系国のオーストラリアやアメリカとAUKUSを創設、アメリカ、オーストラリア、インド、日本はクワドなるグループを編成、軍事的な連携を強化してきた。ロシア国家安全保障会議のニコライ・パトロシェフ議長はAUKUSが中国やロシアを仮想敵とする「アジアのNATO」だと批判している。
実際、NATO(北大西洋条約機構)のイェンス・ストルテンベルグ事務総長は2020年6月、オーストラリア、ニュージーランド、韓国、日本をメンバーにするプロジェクト「NATO2030」を開始すると宣言している。AUKUSの後、JAPHUS(日本、フィリピン、アメリカ)なる軍事同盟も編成した。
アメリカは中距離ミサイル・システム「タイフォン」を岩国基地で公開。沖縄や九州へのタイフォン配備が実現した場合、この地域の戦略地図を瞬時に塗り替えることになる。中国とロシアの主要資産が射程圏内に入るため、北京とモスクワの目には抑止力と圧力を狙った直接的な挑戦に映る。ロシア、中国、朝鮮は現在、結束を強めつつある。
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