【連載】櫻井ジャーナル

【櫻井ジャーナル】2025.10.04XML : 口先で「強国」を演出しようとしている英仏独だが、露の威嚇攻撃で縮み上がった

櫻井春彦

 イギリスのベン・ウォレス元国防相はワルシャワ安全保障フォーラムで講演した際、クリミアを居住不可能にする長距離攻撃能力をウクライナが持てるように支援するべきだと主張した。

 

イギリスの軍や情報機関はクリミア橋(ケルチ橋)を破壊し、クリミアを軍事的に制圧しようとしてきたわけで、そうした作戦の一環かもしれない。NATOと共同作戦を展開しているウクライナの軍や情報機関は盛んにZNPP(ザポリージャ原子力発電所)を攻撃、外部からの電力供給を断とうとしている。ZNPPでメルトダウン事故を引き起こさせれば、クリミアも人が住めなくなるかもしれない。

 

ロシアを少しでも疲弊させたいNATO諸国はウクライナが長距離ミサイルを生産させようと試みてきたようで、ドイツは戦術弾道ミサイルの「サプサン」とミサイル発射装置を製造するための資金を提供したが、その工場はロシアのFSB(連邦保安庁)によって破壊され、ドイツ人技術者が死亡した。

 

その1週間後には、ドニプロペトロウシクのパウロフラード(パブログラード)にあった工場や兵器庫をロシア軍は破壊した。ここではイギリスが設計したという射程距離が3000キロメートルという巡航ミサイルの「フラミンゴ」を組み立てられ、兵器庫には完成したミサイルが保管されていた。攻撃の際、イギリス人技術者が死亡している。このミサイルは量産体制に入ったと宣伝されていたが、その工場をロシア軍は破壊したわけだ。なお、フラミンゴはアラブ首長国連邦とイギリスの合弁企業が開発した巡航ミサイルのコピーだと言われている。

 

そして8月2日、ロシアのスペツナズ(特殊部隊)がオデッサに近いオチャコフでイギリス陸軍のエドワード・ブレイク大佐とリチャード・キャロル中佐、そしてMI6の工作員ひとりを拘束したと報道された。オデッサはMI6が対ロシア攻撃を実行する拠点だ。そこをロシアの特殊部隊が襲撃、イギリス側の重要人物を連れ去ってしまった。

 

現在、ウクライナを舞台にした対ロシア戦争はイギリスやドイツのほか、フランスが主導している。そのフランス海軍の特殊部隊は9月30日にロシアのタンカー「ボラカイ」を拿捕したが、それに対してロシア軍は10月1日にウクライナ各地の兵器庫、工場、変電所などを攻撃した。

 

ウクライナ南部イズマイル市から南へ20キロメートルほどの地点にある造船所も攻撃されたが、そこではルーマニアから運ばれたウクライナ軍の高速艇が修理、改修されていた。

 

ロシア軍の攻撃で少なからぬ艦艇が破壊されただけでなく、フランス軍の工兵約20名が戦死したと伝えられている。「ボラカイ」が速やかに解放されない場合、さらにロシア軍はフランス軍を攻撃するとも言われていた。そのタンカーは10月3日、ビスケー湾からスエズへ向かい、航行している。出港の理由は不明とされているが、10月1日のロシア軍による攻撃が影響している可能性は高い。

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