
植草一秀【連載】知られざる真実/2025年10月 5日 (日) 財務省支配に屈服高市党首
社会・経済自民党が新しい党首に高市早苗氏を選出したことは自民党が依然として極右政党の側面を持つことを明らかにした。
極右は戦前の日本を肯定し、近隣諸国への日本の加害責任を軽視する。
外国人排斥の傾向も強い。
ただし、日本の極右で一つだけ見落としてはならないことがある。
それは、米国に対する隷従。
これは根本的な矛盾だ。
戦前の日本を肯定するなら戦前の基本観を追従しないと辻褄が合わない。
戦前の基本観は鬼畜米英だった。
ところが、この点の方針が真逆。
対米隷従、対米隷属である。
日本の対米自立、自主独立を主張しない。
敗戦後の日本は米国に支配され続けてきた。
その象徴が米軍の駐留継続。
米国は米国が望むだけの軍隊を望む場所に望むだけの期間駐留させる権利を要求し、日本は満額回答を与えた。
日本がこれを許容した。
全土基地方式が敷かれた。
ポツダム宣言、サンフランシスコ講和条約は日本の主権回復後の駐留米軍の撤退を明記したが、講和条約第6条に但し書きが付せられ、その但し書き条項によって米軍の日本駐留が継続されている。
日米安保条約とともに日米行政協定が締結され深刻な治外法権法制が整備された。
その治外法権が手直しされずに現在まで引き継がれている。
極右の自民は戦前の日本を肯定しながら、米国の日本支配を肯定する。
「米国に支配される日本」を全面的に肯定。
強面(こわもて)を装うが実態は米国にひれ伏す臆病な姿勢が鮮明である。
したがって、今後に重大な懸念が浮上する。
それは、米国の命令に沿う日本改変が強行される懸念だ。
高市早苗氏が自民党の党首に選出されることを側面支援したのは麻生太郎氏である。
麻生太郎氏は祖父の吉田茂の系譜を引く。
吉田茂こそ対米隷属の日本を構築した始祖である。
1945年から47年の2年間のみ、日本の民主化が推進された。
その集大成が日本国憲法。
ところが、米国自身が1947年に大方針転換を実行。
その結果、対日占領政策は大転換された。
対日占領政策は「民主化」から「非民主化」=「反共化」に転換。
その「非民主化」=「反共化」占領政策の主導者に米国が位置付けたのが吉田茂。
この対米隷属日本の基本路線を引き継いだのが岸信介である。
対米隷属の基本路線を堅持することによって吉田茂と岸信介は米国の全面支援を受けた。
その延長線上に現在の日本がある。
「戦前の日本を肯定」しつつ「対米隷属」というのは根本的矛盾だが、1947年以降の日本では「対米隷属」こそが政治家の身分と経済的処遇を保障する決め手であり続けた。
「えせ保守」と表現できる。
「えせ保守」は日本が米国の植民地であり続けることを肯定する。
日本の自主独立=真の独立回復を追求しない。
米国にひれ伏すことによって我が身の安泰を図る卑屈さを身上とする。
近年の東アジアの緊張創作とこれに連動する軍備拡大は米国の指令に基づくもの。
米国は米国が創作する戦争に日本を利用することを考えている。
そのために日本の憲法改変を目論む。
米国に支配される日本の新たな政権は米国隷従を強めると考えられる。
憲法が改変され、日本が戦争に巻き込まれるリスクが急激に拡大することに対して最大の警戒が求められることになる。
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植草一秀(うえくさ かずひで) 1960年、東京都生まれ。東京大学経済学部卒。大蔵事務官、京都大学助教授、米スタンフォード大学フーバー研究所客員フェロー、早稲田大学大学院教授などを経て、現在、スリーネーションズリサーチ株式会社代表取締役、ガーベラの風(オールジャパン平和と共生)運営委員。事実無根の冤罪事案による人物破壊工作にひるむことなく言論活動を継続。 経済金融情勢分析情報誌刊行業務の傍ら「誰もが笑顔で生きてゆける社会」を実現する『ガーベラ革命』を提唱。人気政治ブログ&メルマガ「植草一秀の『知られざる真実』」を発行。1998年日本経済新聞社アナリストランキング・エコノミスト部門1位。『現代日本経済政策論』(岩波書店、石橋湛山賞受賞)、『日本の独立』(飛鳥新社)、『アベノリスク』(講談社)、『国家はいつも嘘をつく』(祥伝社新書)、『25%の人が政治を私物化する国』(詩想社新書)、『低金利時代、低迷経済を打破する最強資金運用術』(コスミック出版)、『出る杭の世直し白書』(共著、ビジネス社)、『日本経済の黒い霧』(ビジネス社)、『千載一遇の金融大波乱』(ビジネス社、2023年1月刊)など著書多数。 スリーネーションズリサーチ株式会社 http://www.uekusa-tri.co.jp/index.html メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」 http://foomii.com/00050