
☆寺島メソッド翻訳NEWS(2025年10月7日):デクラン・ヘイズ:ジョージ・オーウェルの『1984』の「わが国は常にイースタシアとは戦争状態だった」を地で行くトランプとイスラエル
国際※元岐阜大学教授寺島隆吉先生による記号づけ英語教育法に則って開発された翻訳技術。大手メディアに載らない海外記事を翻訳し、紹介します。
勇敢で新しくやや恐ろしい我が世界へようこそ。この世界ではトランプが核兵器でロシアと中国を脅し、イスラエルは「十の災い*」でイエメンを脅している。
*聖書「出エジプト記」にある、エジプトに対して神が加えた10の災いのこと
勇敢で新しくやや恐ろしい我が世界へようこそ。この世界ではトランプが核兵器でロシアと中国を脅し、イスラエルは「十の災い」でイエメンを脅している。いい面は、私が思うに、欧州がかつてこの道を通ったことがある点だ。それはヒトラー殿下が、目に見える幇助者の助け、特に目に見えない幇助者から助けを借りて、欧州を奈落の底に突き落としたときのことだ。今の我々の目に見える指導者たち、さらには目に見えない指導者たちは、その世界に私たちが戻ることを望んでいる。 それが彼らにとっての支配力を取り戻し、自分たちがさらに裕福になるために必要なものである、と考えた場合だが。
小国アイルランドが、ロシアに短剣を突き刺そう*とうずうずしている。あまりにもその気持ちが強すぎて、この小帝国の前哨基地に駐在するロシア大使は、 その小ナポレオン的行為の愚かさを指摘した。そのフィラトフ大使は、アイルランドの人々にその件に関して幾分役に立つことをしたのだが、自分自身がサンクトペテルブルクのパラドックス**を再確認した方が良かったかもしれない。そうしないと、ウルズラ・フォン・デア・ライエン傘下の欧州連合帝国の支所であるアイルランド政府やその他の国々の政府にこんな立場を取らせた道化師たちのことを真に理解できないだろう。この帝国は無限の量を得る賭けに勝つのにいくら費やすか、というパラドックスを展開しているからだ。そしてこの件における賭けの戦利品は、ロシア連邦が有する広大な天然資源である。
*アイルランドがウクライナで平和維持活動をおこなうと提案したが、ロシア側は、「受け入れられない」とした事象を指す。
**極めて少ない確率で極めて大きな利益が得られるような事例では、期待値が無限大になる場合があるが、実際にこの賭けに勝って大金を得る確率はほぼない、というパラドックス(逆説)。 サンクトペテルブルク在住のスイス出身の数学者ダニエル・ベルヌーイが提唱した。
そして、フィラトフ大使は、アイルランド軍がモスクワの繁華街で勝利の行進をおこなうのはかなり先のことだろう、と含み笑いをしているかもしれないが、それでは要点を見落としていることになる。アイルランドを支配しているならず者たちは、NATOの勝利にちっぽけな掛け金と、もっとちっぽけな我々の首を掛けており、以前ヒトラー殿下が抱いていた架空の世界と何ら変わることなく、この最新の賭けで間違いなく勝利できることを願っている。私自身はイースタシアのどこかの塹壕で冷たくなって生を終えたくはないが、私のような平民には、その決定権はないのだ。私たちの指導者たちが決めることなのだから。連中がイラクやリビア、シリア、イエメンなどの多くの小国を打ちのめした時と同様に、だ。その時に連中がまぜ回した嘘八百のカクテルについては、ここでは触れる必要もないだろう。
アイルランドによるこの動きをロシア側が深刻に取ってくれないのであれば、次はフィンランドだ。この国は、当時レニングラードと呼ばれていたサンクトペテルブルクに対して残忍な包囲攻撃をおこなった国だ。その戦争は「継続戦争」という名で知られており、84年前の今月(9月)に発生したものだ。アイルランドとは話が違うだろう。フィンランドのアレクサンダー・ストゥブ大統領は先日、ウクライナと「防衛」協定を結んだが、これは1944年にフィンランドのソビエト連邦との戦争が終結して以来、他国と結んだ初めての軍事協定だった。相対的に見れば、この戦争においては、上位組織であったドイツ国防軍の仲間たちと比べて、フィンランドは幾分軽い影響を受けることで済んだようだ。だがそのドイツ国防軍はロシアをやっつけようとまたぞろうずうずしているようだ。
フィンランド(人口560万人)は、現在武器装備軍人の数を32万5千人から100万人に増やそうとしているが、ロシアと1340キロに渡って国境を接しているフィンランドは、空港の規模の拡大にも取り組んでおり、この動きを仲間であるドイツ国防軍や米国軍と一緒におこない、コラ半島におけるロシア戦略的防衛を直接脅かしている。つまり、真昼の核戦争勃発に少しずつ近づけている、ということだ。さらに、NATOや中国が北極圏に勢力を伸ばそうとしていることを鑑みれば、ラプランドにいるサンタクロースは、今年はプレゼントを届ける仕事を飛ばすのが最善の策だ。今年だけではなく、この先数千年後に訪れるであろう、核の冬が終わるまでは毎年、そうしたほうがいい。
まあ核の冬が訪れることは少なくとも、今はなさそうだ。南方のアルメニアやアゼルバイジャンから凍った北方のフィンランドに至るまで、NATO はロシアに持続不可能な圧力を掛けてはいるが、ロシアがそれに応じてはったりをかまさないことを望んでいるようだ。少なくとも今のところは。
今は1941年6月とは全く状況が異なる。当時、フィンランドはサンクトペテルブルクに向かってガチョウ足行進をかけていた。今回はそんな背筋も凍るような激しい電撃戦のような動きではない。イスラエルが、出エジプト記にある10の災いをイエメンに対しておこなっているような状況とは異なるのだ。そして、フィンランドとスウェーデン、ノルウェー、ニキビのようなバルト三国が、そろって不名誉な役割を果たし、北欧に荒廃をもたらすことで、(一つの加盟国への攻撃はNATO全体への攻撃と見なす)NATO第5条を誘発させるという、タロット占いで最後に残されたカードを出すような動きにより、ゼレンスキーや彼とともにコカインに興じる仲間たちを喜ばせている。
フィンランドの「継続戦争」の最新版を正確にとらえたいのであれば、エリック・カーランダー著『ヒトラー傘下の怪物:第三帝国の不自然な歴史』とニコラス・グッドリックークラーク著『ナチズムのオカルト的根源:神聖アーリア人のカルトとナチ思想に対して与えた影響』をまずは手に取っていただきたい。ワイマール共和国時代や現在における狂信的な思想のいくぶんの中身を感じることができるだろう。これらの本を手に取るのが重たいのであれば、1972年の米国のミュージカル映画「キャバレー」をご覧いただきたい。この映画の舞台はワイマール共和国であり、ヒトラーの狂信的な思想と彼の黒と灰色に身を包んだ服装が、当時の貧困な時代において如何に勢力を伸ばしたのかが分かる。具体的には、ドイツが、ワイマール共和国時代の邪悪さから、ウクライナのナチ主義者バンデラやクロアチアのドトルシュチナ収容所、東カレリア強制収容所などで繰り広げられた恐ろしい悪に如何に昇華したかが分かる。そしてそれと同じようなことを、NATOがイースタシアの地だけではなく、南方でも最近再び繰り返そうとしている。
ここで、ブルーナ・フラスコラの最近の鋭い記事に目を通してみよう。彼女はこの記事で、ブラジルでのニセ「ブラック・ライブズ・マター」運動がシオニストの詐欺を模倣していることを指摘している。つまり、自分たち以外の全ての人を犠牲にした上で、自分たちの特権的立場を要求する、という詐欺だ。NATO帝国全体で取り組まれているこのような計画の最終目的は、人工的にしつらえられた少数派集団のために自由や平等、友愛などいった無意味なものを獲得することではない。「ノミの戦争」と呼ばれるゲリラ形式により、社会のアキレス腱を弱体化させ、破壊することで、社会構造を粉砕することにある。この記事を私が書いている時点で、サッカーのワールドカップの予選が盛んにおこなわれており、アイルランドとイングランド、イスラエル(どういうつもりで参加している?)のファンが国旗を掲げて自国チームを応援しているが、やんちゃなベラルーシはあやしげな理由のせいで参加が禁止されている。また、アイルランドと英国のファンは自国の国旗は優生思想の証だとされて、自国の国旗を掲げれば監獄行きだ。そう、先日、トランスジェンダーに対して間違った考えをもつとされてムショに放り込まれたアイルランドのコメディアンのグラハム・リネハンのように。
アイルランド刑法*時代にイギリス国教会の一派である聖公会の狂信者たちから受けてきた今よりずっと悪質な扱いに対してアイルランド国民が立ち上がったことは認めるが、現在の状況は、ある意味ずっと悪くなっている。というのも、ロシアの作家トルストイやドストエフスキーが間違った考えを持つ、触れてはいけない作家であるとされ、コメディアン時代に一物でピアノを弾く芸を見せていたゼレンスキーが理性と正気をもつ、教養ある人物という扱いを受けているからだ。
*英国の国教会をカトリック教徒の多かったアイルランドに押しつけるために使われた法律。
西側リベラルのもとのキリスト教正統教義の広がりに行き詰まりが生じていることを論じた、フラスコラの筆による先日の記事も秀逸だ。この記事の中で、彼女はリベラル派支持者たちは、ほぼ永遠に抜け出せない自閉症にとりつかれた状況に追い込まれる、と指摘している。そう、まるで映画『レインマン』のダスティン・ホフマンを彷彿とするような姿を、だ。フラスコラは、彼女の先駆者である西側の知的思想家の巨人たちをお手本にしているようだが、これらの巨人たちは、フランスの哲学者ディドロやヴォルテール、さらにはカール・マルクスが発した、使い古されたお決まり文句しか書くことができない。そしてカール・マルクスについては今のところ、近代で最も一次元的な道化師に成り下がってしまっている。その理由は、あの大雑把な愚か者と子どもを搾取する仲間によれば、「これまで存在していたすべての社会の歴史は階級闘争の歴史である」からであり、ユークリッドでさえ適切に地図化することができず、ニュートン自身もモデル化することができなかった無数の対立する力と人格の歴史ではないからである。
15世紀に端を発した「宗教改革戦争」を思い起こしてみよう。この戦争は、ヨーロッパの長く、入り組んだ歴史の中でも最も複雑でこんがらがった戦争だった。自問していただきたい。なぜあの戦争で、カトリック派の農民たちがプロテスタント派の王子たちのために戦い、プロテスタント派の農民がカトリック派の王子たちのために戦ったのか?なぜ、フランスが両方の味方になるような動きを見せたのか? なぜ、スウェーデン傭兵がフィンランドの農夫たちとともに律儀に、お金を出してくれるならどんな人のためにも戦ったのか?なぜあのような全くの混乱状態を引き起こした理由が、聖書を読む権利のためだ、とされたのか?当時のヨーロッパの人できちんと字が読めなかった人の割合は、王子たちを含めて95%以上だったというのに。シンデレラの醜い姉たちとは違い、マルクスは、自身の使い古された論文を知性的に見える彼の伸び縮みのできるスリッパの中に押し込むことができただけだった。
今はそんな贅沢はしていられない。というのもヨーロッパを救うことを可能にするために不可欠なことは、現状やヨーロッパのエセ知識階級や、特に知識階級における種々の門番たちを根絶やしにすることだからだ。さらには、一般の人々の口が多数の縛りで固く猿ぐつわされており、しかもほとんど全ての政治家や聖職者、知的階級ぶった人々、「インフルエンサー(世間に対し影響力のある人々)」がNATOの手のものたちなので、 私たちは、フォン・デア・ライエンやフィンランドのストゥブ大統領やその他のものたちの繰り出す高度な技術を駆使した計画を頓挫させる力を失っているのだ。そして、連中がわれわれに確証させようとしている事実は、「わが国は常にイースタシアだけではなく、リンカーンの就任演説のことばにある『人間の本性の中のより良い天使たち』とも戦争状態にあった」というものなのだ。
※なお、本稿は、寺島メソッド翻訳NEWS http://tmmethod.blog.fc2.com/
の中の「デクラン・ヘイズ:ジョージ・オーウェルの『1984』の「わが国は常にイースタシアとは戦争状態だった」を地で行くトランプとイスラエル」(2025年10月7日)
からの転載であることをお断りします。
また英文原稿はこちらです⇒We have always been at war with Eastasia
筆者:デクラン・ヘイズ(Declan Hayes)
出典:Strategic Culture Foundation 2025年9月16日https://strategic–culture-su.translate.goog/news/2025/09/16/we-have-always-been-at-war-with-eastasia/?_x_tr_sl=en&_x_tr_tl=ja&_x_tr_hl=ja&_x_tr_pto=sc