
秋嶋亮(社会学作家)連載ブログ/33:移民国家に舵を切る日本
社会・経済先月開催されたJICA(国際協力機構)のイベントで木更津などの4市がアフリカの「ホームタウン」に認定され、(移民の大規模な受け入れ策だという)不安に駆られた市民から抗議電話が殺到する騒動となったことをご存じだろう。
火消しに追われた政府は、「友好を結ぶための交流拠点を作るためのものであり、移民の受け入れを促進する措置を講じたり、アフリカ諸国に特別なビザを発行する計画はない」と緊急声明を発し、ナイジェリア政府も「日本政府が移住や就労を希望する若者向けに特別ビザを発行する」という一文をHPから削除したのだ。
しかし日本政府が大規模な移民政策を推進していることはまごうことなき事実である。にもかかわらず、この問題が取り沙汰されないのは、「移民」という言葉を「外国人材の受け入れ」という修辞に置き換える「レトリックの誤用」が用いられているからだ。
入管法改正やスーパーシティ法(国家戦略特別区域法改正)などは、いずれもビザや永住権の取得を簡易化させ、外国人の就労可能業種を拡大するための移民推進法である。
昨年には出入国管理及び難民認定法が改定されているが、これにより、外国人は製造業や運輸業での就労が許可され、さらには家族帯同や永住が可能となったのだ。つまりこれを機に、日本は事実上の移民国家にかじを切ったのである。
政府はこの状況について「日本の労働力人口は1995年にピークを迎えた。2065年までに3分の1にまで減少する。特に製造業や運輸業では労働力不足が深刻で、外国人労働者に依存せざるを得ない」と釈明している。
しかし政府は労働力不足(人口減)を予測していながら、少子化の改善に全く取り組んでいないのだ。つまり少子化の原因である低所得や教育費の高騰などの問題を放置し、男女共同参画、子ども家庭庁、SDGsなど不明な事業を立ち上げ、毎年これらに国税の30%に相当する30兆円近い予算を投じ(本来であれば保育園から大学の無償化に使うべき)社会資本を霧消させているのだ。要するに政府は意図的に国民人口を削減し、その穴を移民で埋めようとしているわけだ。
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☆秋嶋亮(あきしまりょう:響堂雪乃より改名) 全国紙系媒体の編集長を退任し社会学作家に転向。ブログ・マガジン「独りファシズム Ver.0.3」http://alisonn.blog106.fc2.com/ を主宰し、グローバリゼーションをテーマに精力的な情報発信を続けている。主著として『独りファシズム―つまり生命は資本に翻弄され続けるのか?―』(ヒカルランド)、『略奪者のロジック―支配を構造化する210の言葉たち―』(三五館)、『終末社会学用語辞典』(共著、白馬社)、『植民地化する日本、帝国化する世界』(共著、ヒカルランド)、『ニホンという滅び行く国に生まれた若い君たちへ―15歳から始める生き残るための社会学』(白馬社)、『放射能が降る都市で叛逆もせず眠り続けるのか』(共著、白馬社)、『北朝鮮のミサイルはなぜ日本に落ちないのか―国民は両建構造(ヤラセ)に騙されている―』(白馬社)『続・ニホンという滅び行く国に生まれた若い君たちへ―16歳から始める思考者になるための社会学』(白馬社)、『略奪者のロジック 超集編―ディストピア化する日本を究明する201の言葉たち―』(白馬社)、『ニホンという滅び行く国に生まれた若い君たちへOUTBREAK―17歳から始める反抗者になるための社会学』(白馬社)、『無思考国家―だからニホンは滅び行く国になった―』(白馬社)、などがある。