【連載】社会学作家・秋嶋亮の「リアリティ・オブ・ジャパン」

秋嶋亮(社会学作家)連載ブログ/34:自明性を喪失した社会は滅びる

秋嶋亮

「自明性を喪失した体系は滅びる(当然のことが分からなくなった社会は滅亡する)」と、これまで幾度も綴ったが、ここ最近この思いは確信に変わりつつあるのだ。

「自明性の喪失」は「メタナラティブの喪失」」という言葉にも置き換え出来るが、いずれも真に重大な問題が見えず、些末な問題に振り回される大衆社会の状況を表す用語であり、巨大な不明に陥った日本の有様を包括的に示しているのだ。

「不明」の筆頭に挙げられるのは原発事故である。事故発生から15年目に突入しながら、「原子力緊急事態宣言」も「レベル7(最悪の指標)」も解除されておらず、溶融した核燃料は回収の目途すら立たず露天で臨界しているのだ。つまり「全くお手上げ状態」なのだが、このメガ問題が全く俎上に載せられないのだ。

しかも一昨年から汚染水の放出が開始され、すでに約10万4千トンが放出済みであり、今後も(核燃料に直接接触し途方もない放射性核種を含む汚染水が)数十年に渡り毎年5~6万トンも海洋に垂れ流されるのだ。

東電はトリチウム以外の(セシウム137、ストロンチウム90、プルトニウム、ヨウ素、ウラニウムなどの)核種は除去できると言い張るが、ALPSの最初の試験では80%以上が除去できないという惨憺たる結果だったのだ。

もし仮に放射性核種の大半が除去できるとしても、トリチウムの半減期は約12年、完全に無害化するには100年以上を要するわけで、どう転んでも海洋汚染は避けられないのだ(現に試験採取された魚介から基準値を大幅に上回る核種が検出されており、人体にも影響を及ぼすことは必至なのだ)。

しかもこの状況で「放射性物質汚染対処特措法」が施行され、2045年までに除染土を全国に搬送して処分することが進められているのだ。そして政府はそのPRのため、首相官邸や(経済産業省と復興庁が入る)庁舎の花壇に、福島の中間貯蔵施設から約28立方メートル(バスタブ約140杯分)の除染土を持ち込んだのである。

つまりプロパガンダのために放射能汚染土を首都に持ち込むというキチガイ沙汰の行為なのだ(案の定、すでに線量が経産省で 0.08→0.09μSv/h、復興庁で 0.05→0.10μSv/h、環境省で 0.06→0.08μSv/h に上昇したことが認められているのだ)。

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秋嶋亮 秋嶋亮

☆秋嶋亮(あきしまりょう:響堂雪乃より改名) 全国紙系媒体の編集長を退任し社会学作家に転向。ブログ・マガジン「独りファシズム Ver.0.3」http://alisonn.blog106.fc2.com/ を主宰し、グローバリゼーションをテーマに精力的な情報発信を続けている。主著として『独りファシズム―つまり生命は資本に翻弄され続けるのか?―』(ヒカルランド)、『略奪者のロジック―支配を構造化する210の言葉たち―』(三五館)、『終末社会学用語辞典』(共著、白馬社)、『植民地化する日本、帝国化する世界』(共著、ヒカルランド)、『ニホンという滅び行く国に生まれた若い君たちへ―15歳から始める生き残るための社会学』(白馬社)、『放射能が降る都市で叛逆もせず眠り続けるのか』(共著、白馬社)、『北朝鮮のミサイルはなぜ日本に落ちないのか―国民は両建構造(ヤラセ)に騙されている―』(白馬社)『続・ニホンという滅び行く国に生まれた若い君たちへ―16歳から始める思考者になるための社会学』(白馬社)、『略奪者のロジック 超集編―ディストピア化する日本を究明する201の言葉たち―』(白馬社)、『ニホンという滅び行く国に生まれた若い君たちへOUTBREAK―17歳から始める反抗者になるための社会学』(白馬社)、『無思考国家―だからニホンは滅び行く国になった―』(白馬社)、などがある。

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