【連載】櫻井ジャーナル

【櫻井ジャーナル】2025.10.12XML : アメリカと対立、インドに接近しているアフガニスタンとパキスタンが戦闘

櫻井春彦

 10月11日にアフガニスタンとパキスタンの国境沿いで両国の舞台が激しい戦闘を始めた。アフガニスタン国防省によると、パキスタンによる度重なる空襲への報復として同国軍がパキスタン治安部隊の拠点に対する作戦を開始、パキスタン側はアフガニスタンの侵略に対し強力な反撃を行ったとしている。

 

注目されているのは、アフガニスタンのアミール・カーン・ムタキ外相が10月9日から1週間の予定でインドを訪問していること。ロシア経由でインド入りしたようだ。

 

アフガニスタンは現在、タリバーンが統治しているが、タリバーンはアメリカの情報機関CIAが1994年にパキスタンの情報機関ISIの協力を得て組織された。1996年9月にタリバーンはカブールを制圧。彼ら流のシャリーア(イスラム法)解釈でアフガニスタンを統治するが、石油をめぐり、アメリカ政府と対立する。

 

1998年1月にタリバーンはトルクメニスタン(T)からアフガニスタン(A)とパキスタン(P)を経由してインド(I)に至るTAPIパイプラインの敷設を計画するのだが、取引相手としてアメリカの石油資本であるUNOCALでなく、アルゼンチンのブリダスを選んでしまったのだ。翌月、パキスタンの外務大臣がカブールを訪問してUNOCALの要求を飲むように求めるが、明確な返答はなかった。

 

1998年8月にケニアのナイロビとタンザニアのダル・エス・サラームのアメリカ大使館が爆破されると、ビル・クリントン政権はオサマ・ビン・ラディンの命令で実行されたとすぐに断定、ビン・ラディンを保護しているとしてタリバーン政権とのパイプラインに関する交渉を停止、その直後にアメリカ軍はアフガニスタンとスーダンを巡航ミサイルで攻撃している。

 

こうした攻撃でタリバーン政権は崩壊、残った勢力は指導者評議会を結成、パキスタンのクエッタに拠点を置く。反撃を開始したタリバーンは2021年8月にカブールを制圧、実権を奪還した。その際、アメリカ軍の撤退が無様だったことが話題になった。

 

タリバーンがカブールを制圧すると、インドはアフガニスタンにある大使館と4つの領事館を閉鎖し、学生、患者、商人、元政府高官、政治家など、あらゆる階層のアフガニスタン人へのビザ発給を停止した。

 

歴史的にタリバーンはパキスタンと関係が深いのだが、そのパキスタンのライバルであるインドをアフガニスタンのムタキ外相が訪問、インド当局者と外交、貿易、経済関係について協議する予定だという。10月10日にはカブールのインド大使館を再開すると発表された。

 

その前、9月18日にアメリカのドナルド・トランプ大統領はバグラム空軍基地への米軍の駐留を再開させる取り組みを進めていると示唆したが、タリバーン政権は9月21日、その要求を拒否している。

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