【連載】植草一秀の「知られざる真実」

植草一秀【連載】知られざる真実/2025年10月12日 (日) 高市トランプ発株式市場激震

植草一秀

自民党党首に高市早苗氏が選出され、金融市場では円下落、日本株価上昇の反応が生まれた。

高市氏が積極財政と金融緩和維持の方針を示してきたからだ。

ドル円では1ドル=153円を超える円安水準が示現した。

日経平均株価は48597円まで上昇した。

株価急騰の宴が賑わった。

しかし、好事魔多し。

自民党総裁選が実施された翌日の10月5日付ブログ、メルマガ記事にこう書いた。

「しかし、好事魔多し。

高市政権は必ず挫折する。」

高市政権が発足する前に高市新体制は挫折している。

10月10日には公明党が自民党に対して連立離脱の意向を伝えた。

謙虚さを失い、尊重しなければならない連立のパートナーに対する誠実さと気配りを欠いた。

高市新政権の屋台骨が崩れた。

この事態を受けて日経平均先物は急落。

さらに、新たな不安要因が浮上した。

米中貿易戦争が再燃するリスクを高めている。

10月10日、トランプ大統領が対中関税の大幅引き上げを警告した。

これを受けてNYダウ、NASDAQ等の米国株価指数が急落。

NASDAQは10月10日に3.5%急落した。

日経平均先物も連動して一段安を演じた。

日経平均先物は45200円まで下落。

10日の東証終値の48088円よりも2888円低い水準で取引を終えた。

日本の株式市場は13日が祝日で休場となり、14日に前週末比3000円程度の暴落水準で再開される可能性が高まっている。

公明離脱ショックとトランプ対中国関税ショックのダブルパンチを受ける。

昨年7月以来、日本株価の変動は激しいものになっている。

米中関係悪化の再燃が警戒された経緯は以下の通り。

10月8日に中国がレアアースに関する輸出規制強化の方針を示した。

これが伏線となるなか、10月10日の午前11時頃(米国東海岸時間)、にトランプ大統領がSNS「トゥルース・ソーシャル」に長文の投稿を行い、中国製品に対する「大幅な関税引き上げ」を警告。

この報道を受けて内外市場で株価が急落した。

さらに、数時間後にトランプ氏が、11月1日から中国に対して100%の追加関税を課す方針を表明。

この報道を受けて内外株価が一段安を演じた。

本年4月、トランプ大統領が対中国145%関税率を提示して世界的な株価暴落=トランプショックが発生した。

しかし、内外株価暴落と中国による対米国120%関税適用方針を受けてトランプ大統領は対中国関税率を一気に20%に引き下げた。

この政策対応によって4月のトランプショック株価暴落は収束した。

ところが、半年の時間が経過し、再びふりだしに戻る様相を呈している。

トランプ大統領の政策運営には不安定性がつきまとう。

朝令暮改、よく言えば君子豹変がトランプの身上だが、これに世界経済と金融市場が振り回されている。

トランプ大統領は今回の対立激化を受けて、韓国での習主席との会談を見送る可能性にも言及。

ただ、これもトランプ流の「ディール」の一環であるとの見方が強い。

それでも、トランプ発言に金融市場は一喜一憂する。

金融市場の不安定性は実体経済の不安定化をもたらす可能性もある。

日本では政局の混迷が深まるなかでの米中対立激化であり、金融市場が受ける影響の大きさが懸念される。

早期の政局の安定化ならびに米国による冷静な経済外交対応が強く求められる。

週明けの日本の金融市場は大きな波乱を示す可能性が高い。

国政を担う各政治勢力は個利個略ではなく、国民の利益最大化を基軸にした対応を示すべき局面だ。

UIチャンネル第600回記念放送
「混迷する日本政治と活路その活路
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植草一秀 植草一秀

植草一秀(うえくさ かずひで) 1960年、東京都生まれ。東京大学経済学部卒。大蔵事務官、京都大学助教授、米スタンフォード大学フーバー研究所客員フェロー、早稲田大学大学院教授などを経て、現在、スリーネーションズリサーチ株式会社代表取締役、ガーベラの風(オールジャパン平和と共生)運営委員。事実無根の冤罪事案による人物破壊工作にひるむことなく言論活動を継続。 経済金融情勢分析情報誌刊行業務の傍ら「誰もが笑顔で生きてゆける社会」を実現する『ガーベラ革命』を提唱。人気政治ブログ&メルマガ「植草一秀の『知られざる真実』」を発行。1998年日本経済新聞社アナリストランキング・エコノミスト部門1位。『現代日本経済政策論』(岩波書店、石橋湛山賞受賞)、『日本の独立』(飛鳥新社)、『アベノリスク』(講談社)、『国家はいつも嘘をつく』(祥伝社新書)、『25%の人が政治を私物化する国』(詩想社新書)、『低金利時代、低迷経済を打破する最強資金運用術』(コスミック出版)、『出る杭の世直し白書』(共著、ビジネス社)、『日本経済の黒い霧』(ビジネス社)、『千載一遇の金融大波乱』(ビジネス社、2023年1月刊)など著書多数。 スリーネーションズリサーチ株式会社 http://www.uekusa-tri.co.jp/index.html メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」 http://foomii.com/00050

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