【連載】櫻井ジャーナル

【櫻井ジャーナル】2025.10.13XML : ガザで住民が大量虐殺されている時期にもアラブ諸国はイスラエルと協力

櫻井春彦

 ​ワシントン・ポスト紙は10月11日、イスラエルとアラブ諸国の協力関係を明らかにする記事を掲載した​。国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)が入手した文書に基づくもので、アメリカ軍が作成した「地域安全保障構想」と名付けられた構想には、イスラエル、カタール、バーレーン、エジプト、ヨルダン、サウジアラビア、UAE(アラブ首長国連邦)が含まれ、そのほかクウェートとオマーンが「潜在的パートナー」とされている。

 

この連合体はペトロダラーとも関係している。アメリカは基軸通貨を発行する特権を活かすため、発行したドルを回収する仕組みを作った。そのひとつがペトロダラーだ。石油取引の決済をドルに限定するよう産油国を説得したのだが、アメリカはその代償として国外からの軍事侵略な国内の反乱を抑えると約束したとされている。

 

ワシントン・ポスト紙の記事によると、7カ国のうち6カ国は国防総省のシステムを通じて地域の一部の航空写真を入手しており、2カ国は米空軍の飛行隊を通じて自国のレーダー・データを共有。またアメリカが運営するチャット・システムにも登録され、アメリカ軍と通信できる状態になっていた。

 

8月8日までアメリカ中央軍の司令官を務めていたマイケル・E・クリラ大将は熱烈な親イスラエル派で、アメリカとイスラエルだけでなく、UAE、バーレーン、ヨルダンなどを巻き込む構想を実現しようとしてきた。「地域安全保障構想」はイスラエルを中心とするアメリカの中東支配構想だと言えるだろう。

 

ところが、こうした構想を揺るがしかねない出来事が9月9日に引き起こされた。アメリカ政府が提案した新たな停戦案について協議するためにドーハ入りしていたハリル・アルハヤ議長率いるハマスの代表団のメンバーを殺害するため、イスラエルがミサイル攻撃したのだ。ワシントン・ポスト紙の記事は、動揺しているアラブ諸国に対する脅しかもしれない。

 

ドーハの近くには中東最大のアメリカ軍基地であるアル・ウデイド空軍基地がある。そこには戦闘機のほか空中給油機、爆撃機などが配置され、防空システムとして「パトリオット(MIM-104 Patriot)」や「ナサムス(NASAMS)」も配備され、駐留しているアメリカ兵は数千人に上る。

 

ところが、9月9日にカタールが攻撃された際、パトリオットやナサムスは反応しなかった。イスラエルが攻撃する前、アメリカ軍はイスラエルからの攻撃を想定していなかったとしている。アメリカの衛星システムとレーダーシステムは「攻撃の起点となると予想されるイランやその他の地域に焦点を合わせている」ためだと弁明されている。

 

しかし、アメリカ軍は「シャットダウン機能」を使って防空システムを「オフ」にしていたとも噂されている。カタールが攻撃を容認していたのではないかと推測する人もいた。そうした疑惑の目を弱めるため、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相はドナルド・トランプ政権の働きかけを受け、9月29日には攻撃についてカタールに謝罪、今後同様の攻撃を行わないと誓った。イスラエルは所詮、米英金融資本の手先にすぎない。

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