
☆寺島メソッド翻訳NEWS(2025年10月17日):プ―チンとシオニズムの緊密な関係
国際※元岐阜大学教授寺島隆吉先生による記号づけ英語教育法に則って開発された翻訳技術。大手メディアに載らない海外記事を翻訳し、紹介します。
私はこれまでどの記事にも免責事項を記載したことはないが、今回は付け加えなければならない。以下の記事で述べられている見解の一部には私は賛同できない。しかしながら、蔓延する否認論を打ち砕くためには、次の事実を強調し、確固たる根拠を示す必要がある。
・ ロシアはもはや共産主義国家ではない。
・ ロシアはもはや「革命的」ではない。むしろ「反革命的」だ。
・ プーチン大統領は確かに寡頭支配階級の構成員であり代理人であり、彼は専ら寡頭支配階級の利益に奉仕している。
・ 今日のロシアは断固としてシオニズム支持であり、この傾向の歴史的背景を理解しなければならない。
・ ロシアはシオニスト国家の設立を支持し、パレスチナ人に対する予備的な民族浄化を実施するために最初のテロ民兵に武器を供給した。
わずかな調査でもこれらの真実を確かめることができる。
私の見解では、この虐殺を止められなかった指導者は、いかなる者も我々の尊敬や忠誠を受けるに値しない。彼らの臆病さ、腐敗、そして共犯関係は暴かれるべきだ。彼らは自ら人間性を放棄することを選んだ。ゆえに我々も彼らを見捨てるべきである。
このウェブサイトで表明した私の革命的信念は、現在のジェノサイド的世界秩序を完全に打ち倒さずして新たな世界が生まれるという幻想にも異議を唱える。この点で失敗すれば、多極化も新たな経済秩序も人類を救うことはできない。
私たちは意識を進化させ、非植民地化し、殺人的枠組みすべてを解体しなければならない。
A.V.
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第四インターナショナル
エルサレムでの合同会議の準備をするプーチン大統領(左)とベンヤミン・ネタニヤフ首相。2012年6月。
イスラエルとシオニズムがガザへのジェノサイド的な侵略行為によって世界から激しい非難を浴びる中、一部の人々はプーチン大統領がシオニズムに反対し、パレスチナの闘争を支持していると主張しようとした。しかし、現実は全く異なる。
まず、いくつかの歴史的要素を想起する必要がある。1947年、国連がイスラエル国家の創設を「決定」した際、旧ソビエト連邦(スターリン主義官僚機構が支配するUSSR)の代表は帝国主義諸国(米国、英国、フランス)と共に賛成票を投じた。さらに悪いことに、いわゆる「ソビエト陣営」はシオニスト組織ハガナー民兵に武器を供給し、それらはパレスチナにおける民族浄化に用いられた。この政策は、シオニスト潮流を厳しく闘ったレーニンの立場にも、また常にイスラエル国家創設に反対しパレスチナ闘争を支持した第四インターナショナルのトロツキストたちの見解にも反するものであった。
スターリンの死後、いわゆる冷戦の枠組みの中で、スターリン主義官僚機構は政策を転換した。アラブ世界で台頭し、イスラエルと戦うブルジョア民族主義指導層(例えばエジプト、シリア、イラク、PLOなど)との緊密な関係を築き始めたのである。この枠組みにおいて、スターリン主義官僚機構は常に「調整役」として行動し、これらのプロセスが国家と資本主義体制の枠を飛び越え、社会主義へと前進するのを阻止した。
資本主義が復活し、ソ連が解体された(1990年代初頭)とき、ロシアでは大きな政治的不安定の時代が始まった。この時代は、プーチンの派閥であるブルジョア的寡頭勢力が権力を鉄の支配で掌握したときに終焉を迎えた。その重要な一歩となったのが反革命戦争であり、彼はそこで(イスラム教徒が大多数を占める)小さなチェチェン共和国の分離主義勢力を打ち破った。
そこからプーチンは、シオニズムとイスラエルとの結びつきを次第に強める政策を展開した。その一例が、21世紀初頭に当時のイスラエル首相アリエル・シャロン政権と結んだ合意である。これはロシア系ユダヤ人のイスラエル移住を促進するもので、同国で施行されている帰還法により、移住者は自動的にイスラエル市民権を取得することとなった。
ロシア系ユダヤ人数千人がイスラエルに定住し、その数は毎年増加し続けている。現在、その数は約100万人と推定されている。これらの移民は、ヨルダン川西岸地区と東エルサレムのパレスチナ人(「ユダヤ人入植者」)から奪った土地や財産など、シオニスト国家から多大な利益を得ている。そのため、彼らはイスラエル防衛の最前線となり、これらの地域でパレスチナ人に対する侵略行為に大きな責任を負っている。政治的には、彼らはネタニヤフの伝統的な盟友であり、政権下で大臣を務めたアヴィグドール・リーベルマンが設立して率いる極右政党「イスラエル・ベテニウ」を支持し、投票する傾向がある。
2007年、ロシアとイスラエルは「ビザ免除」協定を締結し、両国の国民はビザの免除を必要とせずに相互に渡航できるようになった。これは国際レベルでは、非常に緊密な関係にある「非常に友好的な」国同士の間でのみ成立するもの。
「我々はイスラエルを支持する」
それ以来、プーチン政権はイスラエルを「ロシア世界」の一部とみなすようになった。2011年、プーチンは「イスラエルは実際、我々にとって特別な国だ。実質的にロシア語圏の国だ。(中略)ロシア語を話すイスラエル国民は私の同胞であり、『ロシア世界』の一部である」と宣言した。
この枠組みの中で、現政権は常にパレスチナ人の闘争と抵抗からイスラエルを擁護してきた。2006年、ハマスがガザ地区を制圧した後、イスラエルを訪問したロシア公式代表団の一員は、「ロシアはイスラエルに対するいかなる暴力も決して許さない」と宣言した。
2014年、イスラエルによるガザへの血みどろの攻撃の最中、プーチン大統領は「国民の安全を守るためのイスラエルの戦いを支持する」と宣言した。
経済的、技術的、そして軍事的連携
プーチン政権とシオニスト国家の緊密な関係は、両国間の経済関係に表れている。2016年以降、ロシアはイスラエルへの原油供給の最大の国となっている(カザフスタンとアゼルバイジャン経由)。イスラエルは自国の石油資源を持たないため、パレスチナに対する軍事力と侵略力はプーチン大統領からの石油供給によって支えられているのだ。
イスラエルは、兵器、一般技術、核技術で資金を拠出している。技術分野では、ロシアのルスナノ・プロジェクトがイスラエルに支部を設立し、ナノテクノロジー分野で共同プロジェクトを展開している。また、モスクワに拠点を置き、イスラエルに支部を持つスコルコボ・センターが開発を進めているプロジェクトもある。
イスラエルがロシアに引き渡した兵器の中には最新のドローンも含まれており、その一部は2015年にドネツク市近郊で撃墜されたもののようにウクライナに対して使用されたこともある。
こうした緊密な関係の一環として、プーチン大統領とネタニヤフ首相は、必要に応じて直接個人的に話すための「暗号化電話回線」を設置した。
プ―チンなりの理由
IWL(第四インターナショナル)は、ロシアを現在弱小帝国主義国と認識しており、プーチン政権は米国帝国主義の衰退に乗じて他国に対する地域的支配空間の強化を目指している。これが両国間の紛争を引き起こし、現在ウクライナ戦争で見られるような紛争を生んでいる。
プーチン政権は世界反革命の一部であり、その枠組みの中でその必要に応じて行動している。イスラエルおよびシオニズムとの緊密な関係は、プーチン政権にとって有益である。一方では、既に述べたように、これは経済関係や技術開発(イスラエルが優位に立っている分野)に表れている。他方では、イスラエルの役割は、爆発的な地域(ロシアの影響下にある共和国にも存在するアラブ・イスラム世界)を「制御下に置く」ことに役立っている。
同時に、ロシアはイスラエルと深刻な地域紛争を抱えるイラン(ハマスの主要な国際的支援国)などの国々と緊密な関係を維持しており、「双方の立場を担っている」。さらに、イランはロシアにドローンを供与しており、ロシアはウクライナでドローンを使用している。
米国とロシアのイスラエルに対する利益と政策は異なる。米国帝国主義はシオニスト国家の主要な支援者であり、これなしにはイスラエルは存続できない。これまで見てきたように、ロシアの利益は一筋縄では行かないため、その政策は「二面性」を持つ。
しかし真実は、プーチンが今日、シオニズムの支持者の一人であり、パレスチナ人民に対する恒常的な侵略を後押ししていることだ。その侵略は現在、ガザへの虐殺的な侵攻という形で展開されている。
※なお、本稿は、寺島メソッド翻訳NEWS http://tmmethod.blog.fc2.com/
の中の「プ―チンとシオニズムの緊密な関係」(2025年10月17日)
からの転載であることをお断りします。
また英文原稿はこちらです⇒The Close Relations Between Putin and Zionism
出典:Internationalist 360°の社説 2025年5月21日https://libya360.wordpress.com/2025/05/21/the-close-relations-between-putin-and-zionism/