植草一秀【連載】知られざる真実/2025年10月27日 (月) 高市挙党内閣の深謀遠慮
社会・経済高市新体制が発足したが二つの地雷が組み込まれている。
小泉進次郎防衛相と赤沢亮正経産相。
高市氏は防衛費GDP比2%を打ち出した。
一般会計予算における防衛関係費は従来年額5兆円規模だった。
岸田文雄元首相が独断で防衛費の激増方針を決めた。
5年で27兆円の防衛費を5年で43兆円に増大させた。
債務負担行為を含めれば実質倍増。
年間5兆円規模の防衛費を年間10兆円に激増させた。
GDP比2%になれば年間12兆円。
財政危機を叫びながら軍事費だけは突出して増大させる。
これは国を守るための支出ではない。
関係者と関係業界に利益を供与する方策。
軍事産業の製品ほど価格が不明朗なものはない。
法外な価格を設定して原価との差額が自民党得意の「裏金」になる。
軍事費=防衛費激増は打ち出の小槌。
しかし、国会論戦というハードルがある。
ここに小泉進次郎氏をぶつけた。
小泉氏は祖父が防衛庁長官を務めただけで防衛の専門家でない。
国会論戦での行き詰まりが想定される。
高市氏はその行き詰まりを想定して小泉氏を防衛相に起用した疑いが強い。
赤沢亮正氏は日米交渉担当の特命相から経産相への横滑り。
石破内閣の任期末期に米国との関税交渉で合意・署名した。
この合意は一言で表現すれば「売国合意」。
25%の追加関税率がトータルで15%の関税率に変わった。
自動車産業は歓迎するがTPP交渉の際の日米並行協議で、日本から米国への乗用車関税率は現行の2.5%をゼロにすると決定されたから、必ずしも大きな得点と言えない。
主力のピックアップトラックの関税率は25%が15%に引き下げられる。
だが、トランプ大統領がただで関税率引き下げを日本に寄贈することはない。
引き換えに日本政府が何を提供したのか。
7月20日に参院選が行われた。
日米交渉の決着は7月22日。
石破首相は参院選敗北での退任圧力を日米合意で跳ね返そうとしたと見られる。
このような「打算」に満ちた交渉決着は極めて危険。
足元を見られて国益を売り渡すことになる。
実際に合意内容を見ると重大な問題を多く確認できる。
ボーイングの旅客機を100機購入する合意は不自然を越えて犯罪的。
民間が購入する航空機のメーカーを国家が指定するという話。
ロッキード事件を知らぬわけがないだろう。
石破氏は田中角栄氏の秘書から政界入りした人物だ。
米国製の高額トラックを日本政府が購入する話も盛り込まれた。
だが、最大の問題は5500億ドルの対米投資。
投資は米国が決定し、利益は9割が米国のものになるという。
その投資資金提供だけを日本が負わされる。
80兆円規模の上納金献上が決定されたと言える。
石破内閣の途方もない負の遺産。
赤沢亮正氏の経産相横滑りは、上納金問題からの逃亡を許さないというもの。
赤沢経産相に問題処理を担わせる。
しかし、この問題で国会が大紛糾する可能性は高い。
高市氏が責任を赤沢経産相一人に押し付けることは不可能だ。
「政治とカネ問題放棄」という最重大問題もある。
高市内閣が行き詰まるのは時間の問題である。
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植草一秀
植草一秀(うえくさ かずひで) 1960年、東京都生まれ。東京大学経済学部卒。大蔵事務官、京都大学助教授、米スタンフォード大学フーバー研究所客員フェロー、早稲田大学大学院教授などを経て、現在、スリーネーションズリサーチ株式会社代表取締役、ガーベラの風(オールジャパン平和と共生)運営委員。事実無根の冤罪事案による人物破壊工作にひるむことなく言論活動を継続。 経済金融情勢分析情報誌刊行業務の傍ら「誰もが笑顔で生きてゆける社会」を実現する『ガーベラ革命』を提唱。人気政治ブログ&メルマガ「植草一秀の『知られざる真実』」を発行。1998年日本経済新聞社アナリストランキング・エコノミスト部門1位。『現代日本経済政策論』(岩波書店、石橋湛山賞受賞)、『日本の独立』(飛鳥新社)、『アベノリスク』(講談社)、『国家はいつも嘘をつく』(祥伝社新書)、『25%の人が政治を私物化する国』(詩想社新書)、『低金利時代、低迷経済を打破する最強資金運用術』(コスミック出版)、『出る杭の世直し白書』(共著、ビジネス社)、『日本経済の黒い霧』(ビジネス社)、『千載一遇の金融大波乱』(ビジネス社、2023年1月刊)など著書多数。 スリーネーションズリサーチ株式会社 http://www.uekusa-tri.co.jp/index.html メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」 http://foomii.com/00050


















