【連載】植草一秀の「知られざる真実」

植草一秀【連載】知られざる真実/2025年11月 2日 (日) 不登校を学校外学習に変える

植草一秀

10月30日に文部科学省が「問題行動・不登校調査」を公表。

2024年度に全国の小中学校で不登校だった児童生徒が35万3970人(前年度34万6482人)となり過去最多を更新した。

まず、「不登校」を「問題行動」と合わせて公表するところに問題の本質がある。

「学校に行かないこと」は子どもの正当な権利。

これを「問題行動」と印象付けていること自体に問題がある。

生徒に

「学校に行く義務」

はない。

「義務教育」という言葉が誤解を生んでいる。

ここにある「義務」は「児童・生徒が学校に行く義務」ではなく、

「保護者が子弟に普通教育を受けさせる義務」のこと。

日本国憲法
〔教育を受ける権利と受けさせる義務〕

第二十六条 すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。

2 すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする。

憲法は「教育を受ける権利」と保護者に対する「保護する子女に普通教育を受けさせる義務」を定めている。

子女に「学校に行く義務」を課していない。

しかも、憲法が定めている「教育の義務」は子女に「普通教育を受けさせる義務」であって「学校教育を受けさせる義務」ではない。

普通教育を受ける場が「学校」以外にも確保されていれば、普通教育を受けるために「学校」に行く必要はない。

しかし、日本では憲法の外側に「学校教育法」を定め、普通教育を受ける場を「学校」に限定している。

学校教育法は保護者に保護する子女を「学校教育法第一条が定める学校」に就学させる義務を課している。

学校教育法第一条が定める学校は「一条校」と呼ばれる。

このため、子どもが「学校教育法の一条校に行くこと」が「義務」であると勘違いされている。

多くの保護者が「子女には学校教育法の一条校に行く義務がある」と勘違いして子女を無理やり学校に行かせようとする。

このことにより多くの悲劇も生まれている。

10月27日に厚生労働省が公表した「自殺対策白書」によると、2024年度の自殺者総数は20320人で前年比1517人減少したが、小中高生の自殺は529人と過去最多になった。

15~29歳の自殺者数は3千人を超えて高止まり。特に若い女性の自殺増加が目立っている。

文部科学省の「問題行動・不登校調査」は、小中高及び特別支援学校における2024年度のいじめの認知件数が769022件(2023年度732568件)となり、前年度比35454件増加して過去最多となったことを明らかにした。

大半の諸外国が普通教育を受ける場を学校に限定していない。

学校ではなく家庭において普通教育を受けることを認めている。

日本においても学校以外の場で教育を受ける場を設ける必要性が指摘されて「教育機会確保法」が制定された。

「教育機会確保法」の正式名称は

「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律」。

しかし、この法律制定に際して「普通教育に相当する教育の機会」を学校以外の場に認めることは見送られた。

与野党議員の多くが義務教育課程を「鍛錬の場」と捉え、子女には鍛錬の場を与えるべきだとの「古い考え」に囚われていると言える。

日本の学校が「強制収容所」を化している現実がある。

子どもには「学校に行かない権利」がある。

日本も批准している「子どもの権利条約」に次の条文が置かれている。

第3条
1 児童に関するすべての措置をとるに当たっては、公的若しくは私的な社会福祉施設、裁判所、行政当局又は立法機関のいずれによって行われるものであっても、児童の最善の利益が主として考慮されるものとする。

「学校に行かないこと」を「不登校」と表現することは適切でない。

コロナで会社に出社しないときに「不出社」と表現せず「在宅勤務」とした。

「不登校」の表現を「在宅学習」ないし「学校外学習」に改めるべきだ。

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植草一秀 植草一秀

植草一秀(うえくさ かずひで) 1960年、東京都生まれ。東京大学経済学部卒。大蔵事務官、京都大学助教授、米スタンフォード大学フーバー研究所客員フェロー、早稲田大学大学院教授などを経て、現在、スリーネーションズリサーチ株式会社代表取締役、ガーベラの風(オールジャパン平和と共生)運営委員。事実無根の冤罪事案による人物破壊工作にひるむことなく言論活動を継続。 経済金融情勢分析情報誌刊行業務の傍ら「誰もが笑顔で生きてゆける社会」を実現する『ガーベラ革命』を提唱。人気政治ブログ&メルマガ「植草一秀の『知られざる真実』」を発行。1998年日本経済新聞社アナリストランキング・エコノミスト部門1位。『現代日本経済政策論』(岩波書店、石橋湛山賞受賞)、『日本の独立』(飛鳥新社)、『アベノリスク』(講談社)、『国家はいつも嘘をつく』(祥伝社新書)、『25%の人が政治を私物化する国』(詩想社新書)、『低金利時代、低迷経済を打破する最強資金運用術』(コスミック出版)、『出る杭の世直し白書』(共著、ビジネス社)、『日本経済の黒い霧』(ビジネス社)、『千載一遇の金融大波乱』(ビジネス社、2023年1月刊)など著書多数。 スリーネーションズリサーチ株式会社 http://www.uekusa-tri.co.jp/index.html メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」 http://foomii.com/00050

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