【連載】今週の寺島メソッド翻訳NEWS

☆寺島メソッド翻訳NEWS(2025年11月5日):包囲されたベネズエラ (ピーター・ケーニッヒ氏へのインタビュー)

寺島隆吉

※元岐阜大学教授寺島隆吉先生による記号づけ英語教育法に則って開発された翻訳技術。大手メディアに載らない海外記事を翻訳し、紹介します。

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背 景

カラカスとワシントンの間の緊張は、収まる気配を見せていない。ベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領は、ベネズエラでのCIAの活動を承認したドナルド・トランプ米大統領を非難した。

マドゥロ大統領は、CIA(米国中央情報局)が過去60年間ベネズエラで活動し、南米諸国の内政に干渉してきたと述べた。さらにCIAは、彼だけでなく、ウゴ・チャベス前大統領に対しても陰謀を企てたと付け加えた。ベネズエラの指導者はさらに、ワシントンがベネズエラ国民を威嚇し、士気を低下させるために心理戦を展開していると警告した。しかし、ベネズエラ国民は結束を保ち、国の平和と安定に対する陰謀を打ち破ることができると主張した。

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ピーター・ケーニッヒ氏へのインタビュー

プレスTV:ケーニッヒ氏、現状をどう見ていますか?

ピーター・ケーニッヒ(PK):トランプ大統領の下で、モンロー主義が再び活発化している。だが今回はラテンアメリカが騙されることはない。そんな時代は終わったのだ。

トランプの絶え間ない攻撃について言えば――ここ数十年における米国政府全体の行動に拡大して言えば――ベネズエラを攻撃し続けているのは、トランプと米国だけではない。

西側全体だ。典型的な傀儡たちの反応だ。皇帝の行動は正しいに違いない。それに、ロシアの場合のようにベネズエラへの致命的な制裁で皇帝を支持しなければ、皇帝は我々を罰するかもしれない。

この反ベネズエラ政治ゲームは、ノーベル平和賞の授与にまで及んでいる。受賞者であるマリア・コリーナ・マチャド女史は、ベネズエラのトラブルメーカーとして知られ、トランプの戦争を公然と支持し、ネタニヤフの虐殺を強く支持する人物だ。「虐殺者ビビ(ネタニアフ)への支持を公言しているのだ。

マチャド氏は既に複数回にわたりマドゥロ政権に対するクーデターを試みており、2002年には、当時のウゴ・チャベス大統領に対するCIAの政権転覆工作を支持していた。

マチャド氏は裕福な実業家一家出身で、保守的な新自由主義者だ。そしてなんと、世界経済フォーラム(WEF)のヤング・グローバル・リーダーでもある。

ベネズエラ政府の乗っ取り、そして主に数兆ドル規模の炭化水素資源を含む同国全財産の民営化を図る彼女の企てには、国際フォーラムからの支援が確実に存在している。

彼女は最近トランプとのインタビューで、もし自分がベネズエラ大統領になれば米国にとって莫大な利益になると発言した。彼女は絶対に平和の仲介者でもなければ、平和を求める者でもない。

ノーベル平和賞は相変わらず政治色が強く、武器化されていると言っても過言ではない。これは平和賞というより戦争賞だ。
この賞はトランプにベネズエラ攻撃の口実を与えるだろう。

トランプはそれを承知していた。だからこそノルウェーのノーベル委員会が授与を決定する前から、マチャドへの受賞を喜んで受け入れたのだ。チャベス、そしてマドゥロに対する米国の攻撃の真の目的――数兆ドル規模の世界最大の炭化水素資源の奪取――を助長するからである。

トランプも前任者たちも、ベネズエラが社会主義政権であることなど全く気にしていない。トランプの目の前にある国でありながら、アメリカにとって脅威では決してなかった。

同様に、トランプがマドゥロ政権を非難する「麻薬密輸」問題も全く気にしていない。トランプは世界最大の麻薬密輸国がアメリカであることをよく知っている。それにつきる。世界もそれを知るべきだ。

トランプ大統領はベネズエラの政権交代に成功するだろうか?私は疑わしいと思う。メディアはカリブ海に展開する巨大な米海軍艦隊がいつでもベネズエラを攻撃できる態勢にあると報じているが、彼らが語らないのは中国も密かに軍事艦隊をカリブ海に派遣している事実だ。中国、ベネズエラ、ロシアは緊密な同盟国である。トランプはそれを承知している。だから、自分が何を危険に晒しているのかよく考えるべきだ。

*
ピーター・ケーニヒは地政学アナリスト。グローバルリサーチの常連寄稿者であり、世界銀行と世界保健機関(WHO)の元エコノミスト。30年以上にわたり世界各地で勤務。著書に『インプロージョン ― 戦争・環境破壊・企業の貪欲を描いた経済スリラー』、シンシア・マッキニー共著『中国がくしゃみをすれば:コロナウイルス封鎖から世界政治経済危機へ』(クラリティプレス刊、2020年11月1日)がある。
ピーターはグローバル化研究センター(CRG)の研究員である。また北京の中国人民大学中陽研究院の非居住上級研究員でもある。
特集画像はベネズエラ分析(venezuelaanalysis.com)より

 

※なお、本稿は、寺島メソッド翻訳NEWS http://tmmethod.blog.fc2.com/

の中の「包囲されたベネズエラ (ピーター・ケーニッヒ氏へのインタビュー)(2025年11月05日)

http://tmmethod.blog.fc2.com/

からの転載であることをお断りします。

また英文原稿はこちらです⇒Venezuela under Siege – PressTV Interview with Peter Koenig
筆者:ピーター・ケーニッヒ(Peter Koenig)
出典:Global Research  2025年10月20日https://www.globalresearch.ca/venezuela-siege-peter-koenig/5903247

寺島隆吉 寺島隆吉

国際教育総合文化研究所所長、元岐阜大学教授

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