【連載】櫻井ジャーナル

【櫻井ジャーナル】 2025.11.19XML : ロシアでショイグ安全保障会議書記の暗殺未遂計画を阻止したとの発表

櫻井春彦

 ​モスクワのトロエクロフスコエ墓地で破壊工作グループがセルゲイ・ショイグ安全保障会議書記を暗殺しようと計画、それをFSB(連邦保安庁)が阻止したと11月14日に発表された。​花瓶に偽装された爆弾を国外からの遠隔操作で作動させる仕掛けになっていたようだ。

 

爆弾を仕掛けようとしたグループには中央アジアからの不法移民、麻薬中毒で有罪判決を受けたロシア人ふたり、そして殺人と武器密売の容疑でロシアが指名手配していたキエフ在住の人物が含まれ、その容疑者とウクライナの情報機関GURの工作員が連絡を取り合っていたことが判明したとされているが、その背後からアメリカやイギリスの情報機関が指揮していたはずだ。

 

すでにNATOはロシアをテロで攻撃している。例えば、ロシア軍の放射線・化学・生物防衛部隊を率いていたイゴール・キリロフ中将は昨年12月17日にモスクワで暗殺された。電動スクーターに取り付けられた爆発物が遠隔操作で作動したという。ウクライナの情報機関が実行したとされているが、その背後にはアメリカやイギリスの情報機関がいる可能性は高い。

 

実は、2022年2月にロシア軍がウクライナを攻撃する前からCIAはロシア政府の高官を暗殺していた疑いが濃厚だ。バラク・オバマ政権は2014年2月にクーデターでビクトル・ヤヌコビッチ政権を倒したが、その2年後の​16年8月、マイク・モレルはチャーリー・ローズの番組に出演した際、司会者のローズに対し、ロシア人やイラン人に代償を払わせるべきだと語ってる。​ローズからロシア人とイラン人を殺すという意味かと問われると、その通りだと答えたうえ、わからないようにと付け加えているのだ。モレルは2010年から13年までCIA副長官を務めた人物。退職した理由はヒラリー・クリントンを支援するためだった。

 

その発言の直後、2016年9月6日にモスクワでウラジミル・プーチン露大統領の運転手を40年にわたって務めた人物の運転する公用車に暴走車が衝突、その運転手は死亡。

 

さらにロシア政府の幹部が変死していく。例えば、2016年11月8日にニューヨークのロシア領事館で副領事の死体が発見され、12月19日にはトルコのアンカラでロシア大使が射殺されている。その翌日、12月20日にはロシア外務省ラテン・アメリカ局の幹部外交官が射殺され、12月29日にはKGB/FSBの元幹部の死体が自動車の中で発見された。2017年1月9日にはギリシャのアパートでロシア領事が死亡、1月26日にはインドでロシア大使が心臓発作で死亡、そして2月20日にはロシアの国連大使だったビタリー・チュルキンが心臓発作で急死した。モレル発言の前、2015年11月5日にはアメリカ政府が目の敵にしてきたRTの創設者がワシントンDCのホテルで死亡している。

 

テロを実行するのは軍事的に相手を倒すことが困難な集団、つまり弱者が採用する戦術だ。CIAやMI6には正規軍を動かす力はなく、破壊活動、つまりテロを使うしかない。ウクライナでは当初、ウクライナ軍を手先として利用していたが、兵士も兵器も枯渇してロシアに勝つことは不可能に近い状態になっている。少しでもロシアを疲弊させようとアメリカやヨーロッパの国々はウクライナ政府に対して対ロシア戦争の継続を命令してきたが、限界に達し、NATO軍が前面に出ざるをえなくなっている。

 

ロシア軍が掃討作戦を進めているポクロフスクではGURが特殊部隊をUH-60Aブラックホークで送り込み、救出しようとしたが、これは包囲された舞台の中にCIAの上級工作員、あるいはNATOの将校がいるからだと見られている。

 

また、キエフ州ボルィースピリにある特殊部隊の訓練基地をロシア軍はマッハ10という極超音速ミサイルのキンジャールで破壊したが、そこで訓練を受けていた傭兵の出身国はドイツ、フランス、イギリス、そしてポーランドだとされている。ロシア軍はスムイにある深さ50メートルという地下バンカーを極超音速巡航ミサイルのツィルコンで破壊したとも伝えられているが、そこにはイギリス軍の将軍とフランス軍の大佐、そしてウクライナのGUR(国防省情報総局)高官がいたという。キリーロ・ブダノフが公の席に現れるかどうかが注目されている。

 

西側ではNATOの正規軍が出てくると主張する人もいるが、アメリカ軍が出てくる可能性は小さく、ヨーロッパ諸国だけではロシア軍に蹴散らされることは必至だ。

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※なお、本稿は「櫻井ジャーナル」https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/のテーマは「ロシアでショイグ安全保障会議書記の暗殺未遂計画を阻止したとの発表 」(2025.11.19XML)
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