【櫻井ジャーナル】2025.11.25XML : グリーン米下院議員が辞職を表明した背景にイスラエルの情報機関ネットワーク
国際政治マージョリー・テイラー・グリーン下院議員は11月21日、来年1月5日に議員を辞職すると発表した。ドナルド・トランプ大統領の同志だとされていた議員だが、ジェフリー・エプスタインに関するファイルの全面的な公開を求める彼女は大統領と対立していた。トランプ大統領がエプスタインと親しかったことを否定できない。またグリーン議員は今年初め、イスラエル軍によるガザにおける破壊と殺戮について「ジェノサイド」だと表現したが、こうした発言もイスラエルと緊密な関係にあるトランプ大統領と対立する一因になっただろう。

アメリカの政界においてイスラエル批判はタブーだ。辞職する理由について彼女は、大統領が支援する「傷つき憎しみに満ちた予備選挙」から家族を守るためだとしている。トランプ大統領はグリーン議員の辞職表明について、「国にとって素晴らしいニュースだ」と発言した。
グリーン議員はイスラエルと小児性愛の関係にも言及している。ラスベガス警察は今年8月16日、小児性愛者を標的にした囮捜査を実施、8名を逮捕した。そのうちのひとりがイスラエルの国家サイバー局で局長を務めるトム・アレクサンドロビッチ。専門家会議に出席するため、アメリカに滞在していたという。この捜査にはFBI、警察、国土安全保障省、ネバダ州司法長官事務所が参加していた。
アレクサンドロビッチは尋問後に釈放されてホテルへ戻り、2日以内にイスラエルに帰国した。警察の記録によると、この容疑者はヘンダーソン拘置所に収監され、その後判事の面前で1万ドルの保釈金を支払って釈放されている。誰が保釈金を支払ったのか、どのようにして出国してイスラエルへ戻れたのかは不明だ。
アレクサンドロビッチはイスラエルが小児性愛者を受け入れていることも知られている。CBSニュースによると、多くのアメリカ人小児性愛者がイスラエルに逃亡、彼らは法の裁きを受けていない。イスラエルには「帰還法」と呼ばれる法律があり、ユダヤ人であれば誰でもイスラエルへ移住し、市民権を取得できる。
小児性愛の容疑者を追跡しているアメリカの団体「JCW(ユダヤ人コミュニティ・ウォッチ)」は2014年から活動を開始、それ以来、60名以上がアメリカからイスラエルへ逃亡したとしているが、実数ははるかに多いと考えられている。
イスラエルのクネセト(国会)では今年6月3日、数人の女性が未成年時代に宗教儀式の一環として受けた性的虐待について証言した。イスラエル軍がイランを攻撃する10日前の出来事だ。
証言した被害者のひとりであるヤエル・アリエルによると、彼女は5歳から20歳まで儀式的な虐待を受け、ほかの子どもたちに危害を加えることを強要されたという。
警察に被害届を出したものの、数カ月で却下。しかも彼女が自分の体験を明かにすると脅迫を受けたとしているが、これは彼女だけではないようだ。別の被害者、ヤエル・シトリットによると、人身売買は全国で行われていた。薬物も使用され、レイプを含むサディスティックで残酷なことも行われ、その行為は撮影されていたとされている。被害者がそうしたことを証言しても荒唐無稽の話だと思われ、信じてもらえなかったという。
被害者たちによると、聖書の物語を模倣した虐待を受けたともいう。例えば、加害者がイサクの縛りを真似て被害者の女性を縛り付け、間に合わせの割礼の儀式を行うという儀式に強制的に参加させられたと複数の女性が証言している。
ひとりの被害者はいとこから虐待を受け、14歳になると地域社会の著名人から拷問と飢餓に苦しめられていたと主張した。「一般公開のイベントがあり、手錠をかけられて高い柱に縛り付けられる内部儀式もありました」と彼女は当時を振り返り、月経血を飲む儀式や猫などの動物の屠殺についても説明した。
1970年代にイスラエル軍の情報機関ERD(対外関係局)に所属、87年から89年にかけてイツァク・シャミール首相の特別情報顧問を務めたアリ・ベンメナシェによると、エプスタインはギレーヌ・マクスウェルや彼女の父親でミラー・グループを率いていたロバート・マクスウェルと同様、イスラエル軍の情報機関、つまりアマンのために働いていた。ロバートは1960年代から、エプスタインとギレーヌは1980年代の後半からその情報機関に所属してたとベンメナシェは語っている。(Zev Shalev, “Blackmailing America,” Narativ, Septemner 26, 2019)
エプスタインの事件を明るみに出す上で重要な役割を果たしたひとりは被害者のバージニア・ジュフリーだが、時速110キロで走行していたバスと自分の自動車が衝突、腎不全に陥ったと3月31日にインスタグラムへ投稿した。彼女の家族によると、警察に通報したものの、現場に駆けつける人がいないと言われたという。その後、容態が悪化したため病院に搬送されたとされている。彼女は退院した後、4月25日に西オーストラリア州の自宅で死亡した。「自殺」とされている。
ジェフリーはフランスのモデル・スカウト、ジャン-リュック・ブルネルがエプスタインの人身売買に協力していたと告発していた。1998年から2005年にかけての時期、ブルネルはエプスタインのプライベート・ジェットに25回搭乗した記録が残っている。
また、ブルネルは2008年にエプスタインが逮捕された際、拘置施設でエプスタインと70回以上面会した記録が残っている。そのブルネルは2020年12月、未成年者へのセクハラと性的犯罪の罪で起訴されたが、22年2月に独房内で「自殺」した。
エプスタインがロスチャイルド家と親しかったことも有名。ギレーヌ・マクスウェルによると、イギリス王室のアンドリュー王子(ヨーク公爵)をエプスタインに紹介したのはエべリン・ド・ロスチャイルドの妻、リン・フォスター・ド・ロスチャイルドだったという。リン・フォスターはエプスタインの友人だ。ビル・クリントンとエプスタインが親しかったことも知られているが、ヒラリー・クリントンがリン・フォスターと親しいことを示す電子メールも漏洩されている。
なお、アンドリューはエプスタインとの関係や子ども時代からの性生活が暴かれた(Andrew Lownie, “Entitled,” William Collins, 2025)こともあり、貴族としての称号を返上すると10月17日に表明、同月30日に国王から剥奪された。
また、エドモン・ド・ロスチャイルド・グループのCEOを務めるアリアンヌ・ド・ロスチャイルドは「2013年から2019年の間に、銀行での通常業務の一環としてエプスタインと面会していた」という。彼女はエプスタインがニューヨークに保有していた自宅を訪れたこともあるようだ。新たに公開された電子メールによると、アリアンヌはエプスタインとブロードウェイ公演や2014年のモントリオール旅行など、私的な旅行や社交を計画していた。
エプスタインはイスラエルの元首相エフード・バラクとも親しく、その関係で同国の軍事情報局特殊作戦部に所属する秘密技術部隊の81部隊の人脈と繋がっていた。またエプスタインはバラクとロスチャイルド家との間のメッセンジャーを務めていたともされている。
エプスタインがイスラエルの情報機関と深く繋がっていたのだが、あくまでもネットワークの一部であり、「中間管理職」にすぎない。エプスタインと同じようなことをしているグループはいくつも存在し、そのネットワークの罠に落ちた「世界の要人」は少なくないはずだ。弱みを握られた人間だけを出世させ、世界を操るということもできる。
西側世界を支配している人たちは、買収、恫喝、暗殺、クーデター、侵略戦争へとエスカレートしていく。弱小国はひとたまりもないが、ロシアや中国が相手になると簡単ではない。
しかし、この「犯罪集団」とも言える勢力はウクライナでロシアに敗北した。西側世界が混乱している大きな原因のひとつはそこにある。
【Sakurai’s Substack】
※なお、本稿は「櫻井ジャーナル」https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/のテーマは「合意の見通しが立たない「 グリーン米下院議員が辞職を表明した背景にイスラエルの情報機関ネットワーク 」2025.11.25XML)
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