【連載】櫻井ジャーナル

【櫻井ジャーナル】2025.11.29XML : NATO加盟国であるハンガリーの首相がモスクワを訪問、欧州が抱える問題を協議

櫻井春彦

 ハンガリーのオルバーン・ビクトル首相が11月28日にモスクワを訪問した。バラク・オバマ政権が2014年2月にキエフでネオ・ナチを使ったクーデターを成功させてから始まったヨーロッパのエネルギー危機を議題にする可能性が高い。

 

ロシア産の安い天然ガスを入手できなくなったドイツでは基幹産業である自動車ビジネスが窮地に陥り、経済崩壊はヨーロッパ全域に広がっている。そうした状況を生み出した欧州委員会の政策に異を唱えている国のひとつがハンガリーにほかならない。

 

歴史的にロシアとの関係が深いセルビアではアレクサンダル・ブチッチ大統領はNATO側へ傾いているが、スロバキアのロベルト・フィツォ首相はモスクワで5月9日に開催された戦勝80周年を祝う式典へ出席している。

 

ロシアとの戦争を推進しているウルズラ・フォン・デア・ライエンが率いる欧州委員会は5月6日、EU域内におけるエネルギー供給をロシアに依存している状況から脱するための行程表を発表したが、ハンガリーやスロバキアはこうしたEUの計画に反対している。12月1日からチェコの首相を務めるアンドレイ・バビシュもロシアとの関係を重視する立場だとされている。西ヨーロッパでも一般国民は欧州委員会の政策に反対している。

フォン・デア・ライエンたちが自滅的な政策を推進、ロシアとの戦争を継続させようとしているのは、彼らの計画がロシアを短期間に屈服させられるという前提で成り立っているからだ。ロシアの肥沃な大地、豊富な資源、蓄積された富を略奪できると考え、莫大な資金を投入している。ウクライナ人とロシア人を戦わせることでロシアを疲弊させ、崩壊させて利権を手にしようとしているのだ。欧州委員会を動かしている勢力はウクライナでの戦争を長引かせ、少しでもロシアを疲弊させようとしている。

 

しかし、ロシア軍の勝利は決定的で、しかも同軍はこれまで慎重な戦い方をしてきた。疲労の色は見えない。それに対し、ウクライナ軍が崩壊状態になってからイギリス、フランス、ポーランドなどは戦闘部隊をウクライナへ派遣、ロシア軍と戦わせているが、少なからぬ戦死者が出ているようだ。

 

そうした中、ドナルド・トランプ政権は28項目の「和平計画」を作成したとAxiosが伝えた。スティーブ・ウィトコフによると、Axiosの執筆者は計画案を「Kから入手した」という。

 

アメリカの有力メディアはこの「K」をロシアのキリル・ドミトリエフ特使だと宣伝したが、その可能性は小さく、ウクライナ特使を務めるキース・ケロッグだろうとされている。ケロッグはネオコンの一員で、ロシア嫌いとしても有名。ネオコンが描いているシナリオを「事実」として主張していた。Axiosへのリークがあった翌日、そのケロッグが来年1月に退任すると伝えられた。

 

この計画についてウラジミル・プーチン露大統領は11月27日、交渉の出発点となるかもしれないとしたものの、戦闘を停止するにはウクライナ側の主要な譲歩が必要だと強調した。プーチン大統領は以前からウクライナにおける戦争の目的として、ウクライナを非軍事化、非ナチ化、中立化したうえで西側諸国が凍結したロシア資産を返還させ、領土の「現実」を認めさせることだとしている。

 

西ヨーロッパの「エリート」が現実を認めない以上、ロシアは戦場で決着させるしかない。NATO諸国は停戦合意、いわゆる2014年の「ミンスク1」と15年の「ミンスク2」を利用し、8年かけてクーデター体制の戦力を増強、ロシアと戦争できるように戦力を増強した。ロシア政府は同じ失敗を繰り返さないだろう。

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※なお、本稿は「櫻井ジャーナル」https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/のテーマは「NATO加盟国であるハンガリーの首相がモスクワを訪問、欧州が抱える問題を協議 」2025.11.29XML)
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