【連載】植草一秀の「知られざる真実」

植草一秀【連載】知られざる真実/2025年11月30日 (日) NHK登場藪中三十二の正体

植草一秀

11月28日のNHK「ニュースウォッチ9」が高市台湾有事発言について外務省元事務次官の藪中三十二氏へのインタビューを放映した。

11月26日のテレビ朝日「報道ステーション」は元駐中国日本大使の垂秀夫氏を出演させて自説を述べさせた。

11月23日放送のテレビ朝日「有働Times」は神田外語大学の興梠一郎氏の発言を放映した。

すべてに共通するのは高市擁護。

11月7日の衆院予算委員会で高市首相は台湾有事に関して

「戦艦を使って武力行使をともなうものであれば、どう考えても
存立危機事態になり得るケースだと私は考える」

と述べた。

この発言を撤回すべきとの主張が存在する。

他方、撤回しなくてもいい、撤回すべきでないとの主張も存在する。

高市首相は撤回しないと主張している。

上記の三つのテレビ番組はすべて高市首相の主張を擁護するもの。

バランスを欠いている。

放送法第4条に次の条文が置かれている。

(国内放送等の放送番組の編集等)
第四条 放送事業者は、国内放送及び内外放送(以下「国内放送等」という。)の放送番組の編集に当たつては、次の各号の定めるところによらなければならない。
二 政治的に公平であること。
四 意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。

鳩山友紀夫元総理は高市首相は発言を撤回すべきだと述べている。

私も同じだ。

高市首相は発言を撤回し謝罪すべきである。

ところが、反対の主張も存在する。

しかし、上記の三つのテレビ番組には重大な問題がある。

NHKとテレビ朝日は元外交官を出演させたが主張が著しく偏っている。

元外務事務次官の薮内三十二氏がどのような人物であるのかを知る必要がある。

重要な手がかりを提供したのがウィキリークスである。

2009年9月に発足した鳩山由紀夫内閣。

鳩山総理は普天間基地の移設先を辺野古から国外あるいは県外に変更する方針を明示した。

鳩山総理はその方針で行政府を指揮した。

その行政府で対米折衝などを担当するのが外務省。

当時の外務省トップに位置したのが藪中三十二事務次官。

2009年も押し迫った12月30日に藪中次官は米国のルース駐日大使との昼食会に出席した。

このときの会談内容をウィキリークスが暴露した。

藪中氏はルース大使にどのような発言を示したのか。

ウィキリークスが伝えている。

「薮中は、岡田外相は就任以来、安全保障問題への理解を深めているとして、日米同盟の重要性について民主党の政策決定者を教育することに楽観的だとした。

(中略)新聞の論説委員や財界は問題をかなりよく理解しているが、テレビのコメンテーターや政治家たちは、安全保障問題をしっかりと把握していない。

彼らを教育することには価値があるかもしれないと、薮中は付け加えた。

特に、薮中は、手を伸ばせばうまく応じてくれることが予想される、影響力も人気もあるテレビのコメンテーターの何人かについて言及した。」

これだけでは何を意味しているのか分かりにくいかも知れない。

解説すると、藪中氏は米国が求める辺野古移設を最終決着とするために何が必要であるのかについて発言しているのだ。

岡田外相はその方向で「理解を深めている」と評価し、民主党の政策決定者を「教育」することに楽観的だと述べた。

テレビのコメンテーターや政治家のなかには辺野古移設に反対する者がいるが、辺野古移設に誘導する上で好都合な影響力と人気のあるテレビのコメンテーターの名前を藪中氏が挙げたということ。

時の総理大臣は普天間移設先を辺野古から国外あるいは県外に変更する方針を示し、行政官庁を指揮していた。

ところが、外務省トップが鳩山総理の指示とは真逆の方向で尽力していることを駐日米国大使に熱心に説明していた。

これだけで藪中三十二という人間がどのような属性の人間であるかは明白である。

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植草一秀 植草一秀

植草一秀(うえくさ かずひで) 1960年、東京都生まれ。東京大学経済学部卒。大蔵事務官、京都大学助教授、米スタンフォード大学フーバー研究所客員フェロー、早稲田大学大学院教授などを経て、現在、スリーネーションズリサーチ株式会社代表取締役、ガーベラの風(オールジャパン平和と共生)運営委員。事実無根の冤罪事案による人物破壊工作にひるむことなく言論活動を継続。 経済金融情勢分析情報誌刊行業務の傍ら「誰もが笑顔で生きてゆける社会」を実現する『ガーベラ革命』を提唱。人気政治ブログ&メルマガ「植草一秀の『知られざる真実』」を発行。1998年日本経済新聞社アナリストランキング・エコノミスト部門1位。『現代日本経済政策論』(岩波書店、石橋湛山賞受賞)、『日本の独立』(飛鳥新社)、『アベノリスク』(講談社)、『国家はいつも嘘をつく』(祥伝社新書)、『25%の人が政治を私物化する国』(詩想社新書)、『低金利時代、低迷経済を打破する最強資金運用術』(コスミック出版)、『出る杭の世直し白書』(共著、ビジネス社)、『日本経済の黒い霧』(ビジネス社)、『千載一遇の金融大波乱』(ビジネス社、2023年1月刊)など著書多数。 スリーネーションズリサーチ株式会社 http://www.uekusa-tri.co.jp/index.html メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」 http://foomii.com/00050

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