【連載】植草一秀の「知られざる真実」

植草一秀【連載】知られざる真実/2025年12月 3日 (水) ごまかし居直りすり替え高市三原則

植草一秀

高市三原則は

ごまかし、居直り、すり替え

台湾有事発言でもこの原則がいかんなく適用されている。

高市首相は台湾有事に関する国会質疑において

前段では

「そのときに生じた事態について、いかなる事態が生じたということの情報を総合的に判断しなければならない」

と述べた。

しかし、後段で

「台湾を中国北京政府の支配下に置くような場合に、それが戦艦を使って、武力の行使をともなうものであれば、どう考えても存立危機事態になり得るケースだ」

と述べた。

発言が問題になってから高市首相は

「歴代内閣の立場と一致している」

「政府としての統一見解とするつもりはない」

と述べたが、これは「ごまかし」だ。

前段の発言を貫いていれば「歴代内閣の立場と一致している」の説明で問題はない。

問題発言は後段部分であって前段部分ではない。

後段部分は「歴代内閣の立場と一致して」いない。

一致していないから

「政府としての統一見解」

にはできない。

「統一見解としない」

のではなく

「統一見解にできない」

というのが実情。

だからごまかしなのである。

高市氏の常套手段。

放送法の「政治的公平」の解釈変更を目論みた過去の経緯に関する総務省内部文書を高市氏は「ねつ造文書」だと述べて、「ねつ造でなければ議員辞職する」としたが、当該文書が総務省の正規の内部文書であったことが明らかになったのに納得のゆく説明をしていない。

これも「ごまかし」のひとつ。

強く批判を受けると居直る。

今回の高市発言はこれまでの日中政府が積み重ねてきた外交文書の合意事項を踏みにじる部分を含む。

撤回が必要だが「撤回しない」と居直っている。

その結果、日本経済に深刻な影響が広がり始めている。

「すり替え」に関する代表事例は「政治とカネ」の「議員定数」へのすり替え。

24年総選挙、25年参院選で自民党は歴史的大敗を喫した。

最大の要因は「政治とカネ」。

史上空前の裏金不正事件が発覚した。

不正な裏金を1000万円以上不記載にした国会議員は21名に及ぶ。

少なくともこの21名は刑事責任を問われる必要があったが警察、検察が腐敗しているために巨大事件は矮小化された

それでも主権者である国民は自民党の「政治とカネ」問題への不誠実な対応を断罪した。

それを表出したのが選挙結果。

自民党は「解党的出直し」を宣言して党首を差し替えた。

その結果として登場したのが高市内閣。

ところが、高市内閣は「政治とカネ」問題への対応を放り投げて、問題を「議員定数」にすり替えた。

「政治とカネ」問題に真摯に取り組む姿勢をまったく示していない。

内閣支持率が高いのは巨大資本に支配されたマスメディアが高市絶賛報道を繰り広げているからだ。

しかし、やり過ぎると裏が透けて見えてくる。

流行語大賞などは噴飯もの。

高市内閣がすり替えた「議員定数」。

「身を切る改革」というなら「議員定数」ではなく「議員報酬」である。

続きは本日の
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第4269

「議員定数でなく議員報酬削減」
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植草一秀 植草一秀

植草一秀(うえくさ かずひで) 1960年、東京都生まれ。東京大学経済学部卒。大蔵事務官、京都大学助教授、米スタンフォード大学フーバー研究所客員フェロー、早稲田大学大学院教授などを経て、現在、スリーネーションズリサーチ株式会社代表取締役、ガーベラの風(オールジャパン平和と共生)運営委員。事実無根の冤罪事案による人物破壊工作にひるむことなく言論活動を継続。 経済金融情勢分析情報誌刊行業務の傍ら「誰もが笑顔で生きてゆける社会」を実現する『ガーベラ革命』を提唱。人気政治ブログ&メルマガ「植草一秀の『知られざる真実』」を発行。1998年日本経済新聞社アナリストランキング・エコノミスト部門1位。『現代日本経済政策論』(岩波書店、石橋湛山賞受賞)、『日本の独立』(飛鳥新社)、『アベノリスク』(講談社)、『国家はいつも嘘をつく』(祥伝社新書)、『25%の人が政治を私物化する国』(詩想社新書)、『低金利時代、低迷経済を打破する最強資金運用術』(コスミック出版)、『出る杭の世直し白書』(共著、ビジネス社)、『日本経済の黒い霧』(ビジネス社)、『千載一遇の金融大波乱』(ビジネス社、2023年1月刊)など著書多数。 スリーネーションズリサーチ株式会社 http://www.uekusa-tri.co.jp/index.html メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」 http://foomii.com/00050

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