【連載】櫻井ジャーナル

【櫻井ジャーナル】 2025.12.07XML : ウクライナで露軍の勝利が決定的になる中、NATOやウクライナの内部で分裂

櫻井春彦

 ウクライナを舞台とした戦争でNATOはロシアに敗北している。アメリカは無様な姿を晒したくないため、ロシアの要求を呑もうとしているようだが、負けるわけにはいかないヨーロッパ諸国はウクライナに「総玉砕」を要求、ロシアの資産を使って戦争を続けようとしている。西側ではトランプ政権が「親ロシア的だ」と文句を言っているが、ロシアが勝利した以上、仕方のないことだ。

 

戦争を始めたのはアメリカのネオコンだが、ここにきてドナルド・トランプ政権の内部でネオコンの力が弱まってきたように見える。そこでネオコンの支配下にあるヨーロッパの勢力は自力で戦わざるをえないようだ。

 

ロシアとの戦争を主張しているヨーロッパの国々の中で中心的な存在はイギリス、フランス、ドイツ。11月25日にはイギリスのキール・スターマー首相、フランスのエマニュエル・マクロン大統領、ドイツのフリードリヒ・メルツ首相が共同議長を務めた会議が開かれ、38カ国、NATO、EUが参加しただけでなく、ジョージ・ソロスの代理としてラドミラ・シェケリンスカが出席した。この中でイギリスはロシアとの対立を望まないとされているが、ミサイルを使った攻撃や工作員を使ったテロ活動を繰り広げている。

 

イギリスは2014年に開かれたNATOの首脳会議において、イギリスはNATOの内部に合同遠征軍(JEF)を創設した。この遠征軍はイギリスの指揮下、デンマーク、エストニア、フィンランド、アイスランド、ラトビア、リトアニア、ノルウェー、オランダ、スウェーデンが参加している。今年11月5日、イギリスはNATO非加盟国であるウクライナをこの合同遠征軍(JEF)に含めた。

 

イギリスの首相を務めていたウィンストン・チャーチルの側近、ヘイスティング・イスメイはNATOの初代事務総長を務めている。そのイスメイはNATO創設の目的について、ソ連をヨーロッパから締め出し、アメリカを引き入れ、ドイツを押さえつけることにあるとしていた。ソ連からの攻撃に備えるためではないということを認めている。実態はヨーロッパを支配する仕組みだった。そのNATOを指揮してきたのはイギリスとアメリカだ。そのイギリスとアメリカがここにきて分裂しているように見える。

 

アメリカ海兵隊の元情報将校でUNSCOM(国連大量破壊兵器廃棄特別委員会)の主任査察官を務めたスコット・リッターのドキュメンタリーによると、ゼレンスキーはイギリスの対外情報機関MI6のエージェントの可能性が高く、そのハンドラー(エージェントを管理する担当オフィサー)はMI6長官だったリチャード・ムーアだと推測されていた​。そのムーアが今年10月1日に退任し、ブレーズ・メトレベリへ引き継がれている。

 

ウクライナではアメリカを後ろ盾とするNABU(ウクライナ国家汚職対策局)とSAPO(特別反腐敗検察)が汚職捜査「ミダス作戦」を進めている。この捜査で法務大臣を名乗っていたヘルマン・ハルシチェンコとエネルギー大臣を名乗っていたスビトラーナ・グリンチュークはすでに辞任、国防大臣を務めていたルステム・ウメロウは7月に辞任を表明し、11月に入って国外へ脱出、カタールにいると言われ、コメディアン時代からゼレンスキーと親しいテレビ制作会社共同オーナーのティムール・ミンディッチはイスラエルへ逃亡したという。

 

2014年2月のクーデター後、ウクライナのGUR(国防省情報総局)とSBU(ウクライナ安全保障庁)はアメリカの情報機関CIAの配下に入ったと考えられているが、GURの工作員が12月3日、療養所の敷地内に侵入、門と柵を破壊し、空中と地上に向けて発砲、A4005部隊の軍人10人を捕虜にし、重傷を負わせたとする話が伝えられている。この話が事実ならば、ウクライナの権力システムは崩壊寸前だ。

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※なお、本稿は「櫻井ジャーナル」https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/のテーマは「 ウクライナで露軍の勝利が決定的になる中、NATOやウクライナの内部で分裂 」2025.12.7XML)
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