【連載】社会学作家・秋嶋亮の「リアリティ・オブ・ジャパン」

秋嶋亮(社会学作家)連載ブログ/36:ハイパーミリタリズムの時代が到来する

秋嶋亮

「戦争熱(war fever)」または「戦争ヒステリー(war hysteria)」 とは、マスメディアや知識人が一斉に好戦的な言説を喚き、国民を戦争に駆り立てる社会状況を表す言葉だが、今の日本はその沸騰の最中にあるのだ。

高市の台湾有事介入発言を受け、日中関係は急速に悪化し、国交断絶どころか有事に発展しかねない事態だが、新聞各紙や通信社は高市の強硬外交を後押しするかのように「高市内閣支持69%」などと(捏造としか考えられない)報道を繰り返しているのだ。

読売新聞は「仮に中国が台湾に武力侵攻した場合、東・南シナ海などの海上交通路の安全が脅かされる。日本にとって海洋の安全確保が死活的に重要であることは自明である」などという社説を掲載し、「経済のために戦争しろ!」と言わんばかりであり、この国が「軍事化社会(軍国主義的な価値観が全体に浸透した社会)」に変容しつつあることを示唆しているのだ。

共同通信は「台湾有事での集団的自衛権行使に賛成48%」という世論調査を配信しているが、ここで注意すべきは修辞の操作である。

つまり本来であれば‘中国との戦争‘と記すべきところを‘集団的自衛権の行使‘というソフトで曖昧な語義にすり替える「ユーフェミズム」という詐術を用い、国民の半数近くが武力行使に賛成という世論調査をでっち上げているわけだ。

そしてそれが全国紙と地方紙に一斉配信され、集団的自衛権の行使≒日中戦争という意味が理解されないまま、それに賛同する世論が形成されており、これがまさにノーム・チョムスキーの言う「作られた同意」なのである。

コメンテーターや有識者たちも「中国に舐められるな!」などと喚き、挙国一致で中国に対抗しろという好戦的な世論を醸しているが、これは「暴支膺懲(暴虐な中国をこらしめよ)」というスローガンの下で日中戦争に突き進んだ時代のデジャヴであり、戦前の昭和のごとき「軍事化された公共圏(メディアと文化人が戦争を正義だと主張する言説空間)」が生じているのだ。

 

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秋嶋亮 秋嶋亮

☆秋嶋亮(あきしまりょう:響堂雪乃より改名) 全国紙系媒体の編集長を退任し社会学作家に転向。ブログ・マガジン「独りファシズム Ver.0.3」http://alisonn.blog106.fc2.com/ を主宰し、グローバリゼーションをテーマに精力的な情報発信を続けている。主著として『独りファシズム―つまり生命は資本に翻弄され続けるのか?―』(ヒカルランド)、『略奪者のロジック―支配を構造化する210の言葉たち―』(三五館)、『終末社会学用語辞典』(共著、白馬社)、『植民地化する日本、帝国化する世界』(共著、ヒカルランド)、『ニホンという滅び行く国に生まれた若い君たちへ―15歳から始める生き残るための社会学』(白馬社)、『放射能が降る都市で叛逆もせず眠り続けるのか』(共著、白馬社)、『北朝鮮のミサイルはなぜ日本に落ちないのか―国民は両建構造(ヤラセ)に騙されている―』(白馬社)『続・ニホンという滅び行く国に生まれた若い君たちへ―16歳から始める思考者になるための社会学』(白馬社)、『略奪者のロジック 超集編―ディストピア化する日本を究明する201の言葉たち―』(白馬社)、『ニホンという滅び行く国に生まれた若い君たちへOUTBREAK―17歳から始める反抗者になるための社会学』(白馬社)、『無思考国家―だからニホンは滅び行く国になった―』(白馬社)、などがある。

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