【連載】櫻井ジャーナル

【櫻井ジャーナル】 2025.12.11XML : 高市首相が東アジアに火をつけたことを受け、中露が軍事的な連携をアピール

櫻井春彦

 自衛隊隊によると、​ロシアのTu-95爆撃機と中国のH-6爆撃機が12月9日、宮古島と沖縄島の間を通過して太平洋へ入り、四国沖まで飛行した​という。途中、沖縄島と宮古島の間で中国のJ-16戦闘機も合流、日本海ではロシアのA-50早期警戒管制機とSu-30戦闘機が飛行していた。それに対して自衛隊は戦闘機を緊急発進させたという。アメリカ国防総省の計画に従って自衛隊がミサイル発射施設を建設中の地域を中露の軍用機が飛行して日本側の反応を見たのだろう。

バラク・オバマ政権がウクライナでクーデターを実行、香港でアメリカのCIAやイギリスのMI6が「佔領行動(雨傘運動)」なる反中国運動を展開した2014年頃から中国は欧米諸国の敵対的な姿勢を認識、すでに攻撃を受けていたロシアに接近し始めた。両国は経済的な繋がりだけでなく軍事的な協力関係も強化している。高市早苗首相の言動はそうした動きを加速させることになった。

 

そうした中、ロシアのセルゲイ・ショイグ安全保障会議議長はアジア太平洋地域に出現しつつある「NATOの萌芽」について語り、日本の急速な軍備拡張と防衛予算の増加は地域の情勢が変化していることを示しているとしている。

 

ウクライナでは崩壊したクーデター体制軍を保管するため、イギリスやフランスをはじめとするNATO軍の将兵が入り、ロシア軍と戦っていたが、ここにきてロシア軍はそうしたNATO軍に対する攻撃を強めている。これまでも劣勢にあったウクライナ軍だが、ここにきて総崩れになりつつある。アメリカのドナルド・トランプ大統領が戦争を終結させようと焦っているのはそのためだ。

 

終結が遅れればその分ロシアに攻め込まれてしまうからだが、EUを動かしている人びとは戦争の終結を嫌っている。1990年代から旧ソ連圏を支配するために多額の資金を投入している巨大資本、あるいは米英の情報機関は戦争を止められない。ウクライナで暗躍している金融機関はブラックロックやJPモルガンなど。故ジェイコブ・ロスチャイルド、その息子であるナット・ロスチャイルド、ロスチャイルド金融資本と関係の深いジョージ・ソロスなどの名前も出てくる。

 

ガザでの虐殺を容認、ウクライナでの戦争を推進しているドイツのフリードリヒ・メルツ首相はブラックロックで監査役を務め、エマニュエル・マクロン仏大統領はロスチャイルド銀行で働いていた人物。イギリスのキア・スターマー首相はシオニスト、つまり親イスラエルであることを公言している。

 

ウクライナの魅力として資源が喧伝されてきたが、穀倉地帯が広がっていることでも有名。その穀倉地帯の約4分の1を外国企業が所有している。2022年には約3分の1をカーギル、デュポン、モンサントの3社が所有、この3社は効率性を高めるため、コンソーシアムとして契約を締結して事業を開始した。

 

このコンソーシアムは事実上、ウクライナの土地の半分以上を支配しているのだが、カーギル、デュポン、モンサントには黒幕が存在する。3社の主要株主には巨大金融機関のブラックロック、バンガード、ブラックストーンが名を連ね、ウォロディミル・ゼレンスキーはブラックロックのほかJPモルガン・チェースやゴールドマン・サックスと協力関係にあるのだ。ブラックロックは2022年後半からウクライナ政府のコンサルタントを務め、ブラックロック傘下の企業はウクライナの戦略的資産の大部分を支配するようになったと報道されている。

 

ロシア政府はウクライナの非軍事化、非ナチ化、中立化、西側諸国が凍結したロシア資産の返還、そして領土の「現実」を求めているが、ロシア政府はその目的を軍事的に達成するしかないと考えている。軍の進撃を止めるにはロシア側の要求を呑むしかないとトランプ大統領は考えているようだが、EUの「エリート」たちはそれができない。ウクライナへ流入した資金がどこへ流れたかを明らかにできないという事情もあるだろう。

 

ヨーロッパには「停戦」で戦力を立て直す時間を稼ぎ、何年か後に再びロシアを攻めようと目論んでいる勢力もいるようだが、当然、ロシアはそれを認識している。だからこそ軍事的に解決すると決断したのだ。

 

日本にはいまだにロシア軍が兵器や予算が欠乏しているというような御伽話を語っている人もいるようだが、2022年以降、ロシアは兵器の生産能力が大幅に向上、生産量は消費量を上回っている。新しく開発された高性能兵器の生産も本格化しているようだが、それほど使われていないのはNATO軍との全面戦争に備えているからだと見られている。

 

こうしたウクライナでの展開を受け、軍事的な緊張が急速に高まったのがカリブ海と東アジアだ。

 

東アジアでアメリカは同じアングロ・サクソン系国のイギリスやオーストラリアとAUKUSを創設、アメリカ、オーストラリア、インド、日本はクワドなるグループを編成、軍事的な連携を強化してきたが、インドはロシアや中国に接近、アメリカと距離を置いている。

 

NATO(北大西洋条約機構)の事務総長だったイェンス・ストルテンベルグは2020年6月、オーストラリア、ニュージーランド、韓国、日本をメンバーとするプロジェクト「NATO2030」を開始すると宣言しているが、こうした目論見をロシアは警戒してきた。ロシアのニコライ・パトロシェフ大統領補佐官はAUKUSが中国やロシアを仮想敵とする「アジアのNATO」だと批判している。

 

本ブログでは繰り返し書いてきたことだが、日本は1995年にアメリカの戦争マシーンに組み込まれた。

【​Sakurai’s Substack​】
※なお、本稿は「櫻井ジャーナル」https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/のテーマは「高市首相が東アジアに火をつけたことを受け、中露が軍事的な連携をアピール 」2025.12.11XML)
からの転載であることをお断りします。

https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202512110000/

– – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – –– – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – –

☆木村朗のX:https://x.com/kimura_isf
※最近Xを本格的に始めましたので、アクセスとフォローをよろしくお願いいたします。

※ISF会員登録およびご支援のお願いのチラシ作成しました。ダウンロードはこちらまで。
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202410130000/

ISF会員登録のご案内

「独立言論フォーラム(ISF)ご支援のお願い」

櫻井春彦 櫻井春彦

櫻井ジャーナル

ご支援ください。

ISFは市民による独立メディアです。広告に頼らずにすべて市民からの寄付金によって運営されています。皆さまからのご支援をよろしくお願いします!

Most Popular

Recommend

Recommend Movie

columnist

執筆者

一覧へ