【連載】櫻井ジャーナル

【櫻井ジャーナル】2025.12.15XML : ウクライナでロシア軍が圧倒する中、ベーリング海峡にトンネル建設構想

櫻井春彦

 ウクライナでの戦乱はアメリカの軍事と外交を支配してきたネオコンによって始められたのだが、現在のアメリカ大統領、ドナルド・トランプはウクライナから距離を置き、ロシアへ接近している。

 

そこで浮上してきたのがベーリング海峡の下に天然資源を輸送するためのトンネルを建設し、アメリカ大陸とユーラシア大陸を結ぶという話だ。RDIF(ロシア直接投資基金)のCEOを務めるキリル・ドミトリエフはこの構想を打ち出している。

アメリカはロシアとの関係を強化し、ロシアと中国との関係を壊そうとする可能性があるが、ロシアはアメリカと手を組んで中国と対峙するつもりはないと明言している。

 

これに対し、EU/NATOの現リーダーは反ロシア感情が強く、戦争でロシアを疲弊させると主張しているのだが、ロシアは疲弊せず、ヨーロッパ諸国の経済は壊滅的なダメージを受け、社会は崩壊しそうだ。いずれの国でも政府に対する国民の怒りは高まっている。

 

ウクライナではアメリカを後ろ盾とするNABU(ウクライナ国家汚職対策局)とSAPO(特別反腐敗検察)が汚職捜査「ミダス作戦」を進めているが、この捜査で法務大臣を名乗っていたヘルマン・ハルシチェンコとエネルギー大臣を名乗っていたスビトラーナ・グリンチュークはすでに辞任、国防大臣を務めていたルステム・ウメロウは7月に辞任を表明し、11月に入って国外へ脱出、カタールにいると言われている。コメディアン時代からゼレンスキーと親しいテレビ制作会社共同オーナーのティムール・ミンディッチはイスラエルへ逃亡したという。

 

アメリカの国防総省はウクライナで生物兵器の研究開発を進めていたが、それだけでなく、資源や耕作地の略奪、マネーロンダリング、人身売買、臓器売買などさまざまな犯罪行為の舞台になっている。ゼレンスキーの周辺が不正な蓄財をしているだけでなく、西側諸国の政治家などへのキックバックが相当額に上ると噂されている。

 

ウクライナにおける資金の動きをコントロールしているのは巨大金融機関のブラックロックやJPモルガン。ブラックロックは2022年後半からウクライナ政府のコンサルタントを務め、ブラックロック傘下の企業はウクライナの戦略的資産の大部分を支配するようになったと報道されている。なお、ドイツのフリードリヒ・メルツ首相はブラックロックで監査役を務め、エマニュエル・マクロン仏大統領はロスチャイルド銀行で働いていた人物。イギリスのキア・スターマー首相はシオニスト、つまり親イスラエルであることを公言している。

 

西側の巨大資本はウクライナの穀倉地帯を狙っているが、2022年には約3分の1をカーギル、デュポン、モンサントの3社が所有、この3社は効率性を高めるため、コンソーシアムとして契約を締結して事業を開始した。このコンソーシアムは事実上、ウクライナの土地の半分以上を支配している。

 

カーギル、デュポン、モンサントの主要株主にはブラックロックのほか、バンガードやブラックストーンといった「闇の銀行」が名を連ね、ゼレンスキーはブラックロックのほかJPモルガンやゴールドマン・サックスと協力関係にある。

 

ウクライナの利権、あわよくばロシアの富を盗もうとしていた西側の巨大資本にとって現在の戦況は良くない。停戦でNATOに戦力回復の時間を与えるつもりのないロシアは攻勢を強めている。8年かけて築いた要塞線はすでに崩壊、ロシア軍の進撃速度についていけず、取り残されたNATOの軍幹部も少なくないようだ。

 

時間の経過に伴って西側の置かれた状況は悪くなると判断したアメリカはロシア政府の要求を呑み、経済関係の改善と発展へと舵を切ろうとしているのかもしれないが、ネオコンに操られてきたEUの現指導部は戦争を長引かせようと必死だ。ゼレンスキーやその周辺が資金の流れを話し始めたなら、彼らは破滅だろう。ロシアとの戦争を始めた勢力は、戦争でウクライナやロシアの富を手に入れられるという前提で計画を書き上げていたように見える。

 

ウクライナにおける現在の戦争はアメリカのバラク・オバマ政権が始めた。2013年11月から14年2月にかけてキエフにあるユーロマイダン(ユーロ広場、元の独立広場)でクーデターを開始、合法的に選ばれていたビクトル・ヤヌコビッチ大統領は排除されるのだ。ヤヌコビッチの支持基盤だった東部や南部ではクーデターを拒否、クリミアはロシアと一体化し、ドンバスでは武装抵抗を始めて内戦になった。

 

内戦は反クーデター派が有利な展開になったが、その理由のひとつは軍や治安機関の約7割のメンバーが離脱、一部はドンバスの抵抗組織に入ったことにある。そこで2014年の「ミンスク1」や15年の「ミンスク2」と呼ばれる停戦合意で武装抵抗を弱め、NATO諸国は年少者を集めて軍事訓練する一方で兵器を供与し、地下要塞を中心に要塞線を建設した。そうした作業は2022年2月まで続く。キエフのクーデター政権は停戦合意を守らなかった。

 

2014年6月から19年5月までウクライナの大統領を務めたペトロ・ポロシェンコも反ロシア感情の強い人物だが、その背後にはアメリカが存在していた。歴史的にロシアとウクライナは一体だったこともあり、親戚が両国にまたがっていることが少なくない。西側諸国やウクライナの「エリート」とは違い、ウクライナ人の多くはロシアとの友好的な関係を望んでいた。

 

そうした気持ちを利用して2019年の大統領選挙で勝利したのがウォロディミル・ゼレンスキーだが、​その翌年、彼がイギリスの対外情報機関MI6のエージェントである疑いが強まった。イギリスを公式訪問した際、秘密裏にMI6の本部を訪れ、MI6長官だったリチャード・ムーアと会った​のだ。そこで、そのムーアがゼレンスキーのハンドラー(工作員を管理する担当オフィサー)だと見られている。

 

このようにイギリスと関係が深いゼレンスキーだが、ウクライナの戦況は圧倒的にロシアが優勢。イギリスの内部にもゼレンスキーを排除したがっている人たちがいる。そうした人たちがゼレンスキーの後継者と考えられているのはバレリ・ザルジニー元軍最高司令官だ。ザルジニーは2024年5月から駐英大使を務めている。

【​Sakurai’s Substack​】
※なお、本稿は「櫻井ジャーナル」https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/のテーマは「ウクライナでロシア軍が圧倒する中、ベーリング海峡にトンネル建設構想 」2025.12.15XML)
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