植草一秀【連載】知られざる真実/2025年12月21日 (日) 高市18兆円補正がダメな理由
社会・経済メディアの高市内閣擁護の背景は米国の意向。
日本のメディアが偏向報道で支援するのは常に「米国傀儡政権」である。
米国の命令に従順な政権はメディアが擁護する。
米国の命令に従わない政権はメディアが攻撃する。
極めて単純な図式が存在する。
鳩山内閣は日本の対米隷属からの脱却を指向した。
ゆえにメディアの総攻撃を受けた。
いまなお鳩山元総理はメディア攻撃の標的とされている。
この事実は鳩山元総理の存在の大きさを示すもの。
取るに足らぬ相手であれば執拗な攻撃をしない。
激しく攻撃されることは「本物の証明」である。
激しく攻撃されている人物の多くは「本物」である。
この点を認識することが重要だ。
2000年以降の政権でメディアが全面支援したのは小泉純一郎内閣、第二次以降の安倍内閣、そして高市内閣だ。
すべてに共通するのは「米国傀儡政権」ということ。
米国の巨大資本は利潤追求の対象が先細りになっている。
断末魔の叫びを上げる巨大資本が狙いを定める対象が軍事費である。
軍事緊張を創作し、戦争を創作し、巨大な軍事費を発生させる。
これが現代の錬金術だ。
ウクライナでも実践した。
同じ図式でアジアの緊張創作が行われている。
緊張創作こそ軍事費拡大の原動力だ。
この図式に沿って行動するのが高市首相。
だからメディアが全面支援する。
世論調査の数値などいかようにも誘導できる。
創作された「高市人気」である。
しかし、「存立危機事態発言」、「核武装発言」で政権運営に重大な支障が生じている。
2026年には矛盾が爆発して高市内閣は終焉することになると思われる。
その高市内閣が大型補正予算を編成した。
過去5年間、日本の財政運営は「超緊縮」で推移した。
年間10兆円規模の財政緊縮が実行されてきた。
GDPを1.7%も押し下げる影響を発揮する。
25年度は補正予算編成で10兆円の緊縮が5兆円の緩和に転じる。
「超緊縮」を「中規模緩和」に転換させたことは正しい。
しかし、方法に大きな問題がある。
財政緩和は「歳出拡大」ではなく「減税」で行うべきだ。
「歳出拡大」は「放漫財政」とほぼ同義。
これに対して「減税」は「財政スリム化」につながる。
実は日本財政は2020年度に空前の「放漫財政」を実行した。
「コロナ」にかこつけて放蕩三昧が展開された。
「放蕩三昧」の中心に位置したのが財務省。
これを後段において数値解説する。
21年度から25年度の「超緊縮」財政運営は20年度の放漫財政修復の意味を兼ねていた。
「超緊縮」財政運営は経済成長を妨げる要因になるが、放蕩三昧の放漫財政を放置するわけにはいかない。
他方、税収推移を見ると20年度の60.8兆円の一般会計国税収入が25年度に80.7兆円に膨張した。
年額で20兆円もの税収増が発生したのだ。
国民負担が1年あたりで20兆円も増大。
20兆円の恒久増税が実施されたのと同じ経済効果が生まれている。
25年度補正予算で「超緊縮」を「中規模緩和」に転換するなら「歳出拡大」でなく「減税」で対応すべきだった。
高市財政政策の最大の問題点は「放漫財政」を基礎に据えていることにある。
続きは本日の
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植草一秀
植草一秀(うえくさ かずひで) 1960年、東京都生まれ。東京大学経済学部卒。大蔵事務官、京都大学助教授、米スタンフォード大学フーバー研究所客員フェロー、早稲田大学大学院教授などを経て、現在、スリーネーションズリサーチ株式会社代表取締役、ガーベラの風(オールジャパン平和と共生)運営委員。事実無根の冤罪事案による人物破壊工作にひるむことなく言論活動を継続。 経済金融情勢分析情報誌刊行業務の傍ら「誰もが笑顔で生きてゆける社会」を実現する『ガーベラ革命』を提唱。人気政治ブログ&メルマガ「植草一秀の『知られざる真実』」を発行。1998年日本経済新聞社アナリストランキング・エコノミスト部門1位。『現代日本経済政策論』(岩波書店、石橋湛山賞受賞)、『日本の独立』(飛鳥新社)、『アベノリスク』(講談社)、『国家はいつも嘘をつく』(祥伝社新書)、『25%の人が政治を私物化する国』(詩想社新書)、『低金利時代、低迷経済を打破する最強資金運用術』(コスミック出版)、『出る杭の世直し白書』(共著、ビジネス社)、『日本経済の黒い霧』(ビジネス社)、『千載一遇の金融大波乱』(ビジネス社、2023年1月刊)など著書多数。 スリーネーションズリサーチ株式会社 http://www.uekusa-tri.co.jp/index.html メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」 http://foomii.com/00050


















