
日米原子力協定第6条の議論抜きに、核武装議論する意味あるのでしょうか。
『日米原子力協定第6条』
1 この協定に従つて移転された核物質又はこの協定に従つて移転された核物質若しくは設備の使用を通じて生産された特殊核分裂性物質については、両当事国政府が文書により合意する場合に限り、次のことを行うことができる。
(a) 照射された当該核物質の再処理
(b) 当該核物質(プルトニウム、ウラン二三三、高濃縮ウラン又は照射された核物質に限る。)の形状又は内容の変更(照射された核物質の再処理を除く。)
2 1の規定に基づく合意は、次のことを含む適切な条件の下で行う。
(a) 保障措置、物理的保護及びその他の関連する事項に関する両当事国政府の間の継続的な協力
(b) 第九条及び第十条に規定する基準に従つて行われる保障措置及び物理的保護の適用
3 1の規定にかかわらず、両当事国政府は、この協定の効力発生の時に、附属書一、附属書二又は附属書三に掲げる施設における1(a)及び(b)に規定する活動について合意する。
1の(a)の条文は、特殊核分裂性物質を所有すること、そしてプルトニウムの再処理のことを謳っており、(b)は仮に核兵器材料を取り出す場合はアメリカの合意が必要です。
2は1の条件をアメリカ、そしてIAEA査察を公式に認める条文。
3は青森県六ケ所村再処理工場については個別文書がなくとも「日米原子力協定に基づき(アメリカとの事前に合意された範囲内なら)」原子力再処理しても良い、とする条文です。
つまり、この日米原子力協定を結んでいる以上、そしてNPT(核兵器不拡散条約)を批准している以上、アメリカとの協議、そしてNPTを脱退するということは国際条約を破るということであり、それらを無視して「核武装」という議論はまさに空疎な議論。
これらを理解した上で「核武装云々」を語るのならばまだ議論としての筋は通りますが、これらを無視した「核武装云々」は筋違い。
ようは「日米原子力協定改定=日米同盟是正」まで踏み込まなければ、今の核武装議論は全く意味のない議論であり、現在世論を騒がしている話は自分から見ればただのメディアプロパガンダです。
さすがに自民党前総理大臣の話を聞くと、ここまで理解されている感の発言をしていますが、その他の人々の議論を聞いていると、全くこの「日米原子力協定」を理解しているように見えません。
「日米同盟」を甘く見てはいけません。
「核武装議論」をしたいのであれば、日米同盟、日米安全保障条約、日米原子力協定まで語らなければ、全く意味のない議論なのです。